欧州車にクローズアップ【LAショー2010】

2010.11.23 自動車ニュース
北米上陸60周年を記念した特別展示が行われた、ポルシェのブース。
欧州車にクローズアップ【LAショー2010】

【LAショー2010】欧州車にクローズアップ

ロサンゼルスオートショーの成長ぶりを高く評価し、ワールドプレミアをいくつもお披露目した日本メーカー。それに対して、ドイツを中心とする今年の欧州勢は、すでにパリサロンでデビューした新型車やコンセプトカーを多数持ち込んだものの、世界初公開のクルマは追加モデルやフェイスリフトがほとんど。大物といえるのはサーブの新しいクロスオーバー「9-4X」のみと結構控えめだったが、以下を注目モデルとして紹介したい。

オランダのスパイカーによる買収後、初のニューモデルとなった「サーブ9-4X」。
欧州車にクローズアップ【LAショー2010】
エンジン以外の機関部分の多くを「キャデラックSRX」と共用している。
欧州車にクローズアップ【LAショー2010】

■サーブ復活の旗印

オランダのスーパーカーメーカー、スパイカーの買収により会社清算の危機から逃れたサーブのニューモデルが「9-4X」。これが買収後初のニューモデルとなる。ただし、以前のオーナーであるGMの傘下時代に開発されたモデルで、「キャデラックSRX」と兄弟関係にあたる。

GMと共同開発したクルマだが、内外装はサーブの完全オリジナルだ。現行「9-3」に似た3分割グリルのフロントマスク、クロームのガーニッシュで左右のテールライトをつなぐ新型「9-5」と同じ意匠のリアまわり、ドライバーを囲むようにデザインされたインパネなど、目に見える部分や体が触れる部分については、まごうかたなきサーブテイストに仕立てられている。

エンジンは最高出力265psの3リッターV6自然吸気と同300psの2.8リッターV6ターボの2種類。後者はスポーティモデルの「エアロ」に搭載される。駆動方式は「サーブXWD」と呼ばれる4WDで、6段ATとの組み合わせとなる。

今年7月にピーシーアイがサーブの輸入権を取得したことにより、サーブの日本市場からの撤退は回避された。ピーシーアイの手で、「9-4X」も間違いなく日本上陸を果たすことになるだろう。ただし、販売開始は最も早い北米でも2011年5月から、そのほかの地域は8月から順次ということなので、日本の道でその姿を見ることができるのは、早くても2011年末頃になりそうだ。

「メルセデス・ベンツCLS63AMG」。つや消しのボディカラーがさらに精悍(せいかん)さを増している。
欧州車にクローズアップ【LAショー2010】
最高出力550psオーバーの5.5リッターV8ツインターボを搭載。4本出しのマフラーエンドが目を引く。
欧州車にクローズアップ【LAショー2010】

■「CLS」に早くもAMG仕様

パリサロンで新型「CLS」をお披露目したメルセデス・ベンツは、早くもそのAMGモデルをロサンゼルスオートショーに持ち込んだ。

先代よりも男性的な印象となった新型「CLS」だが、AMGお得意のエアロパーツを装着したことで、さらにアグレッシブな外観を手に入れた。内装も黒を基調にしたスポーティな仕上がりとなっている。

AMGモデルの大きな魅力である強心臓は、従来の6.2リッターV8自然吸気から5.5リッターV8ツインターボへと変更された。新しい「CL63AMG」と同じく、排気量の縮小分を過給することで補うという、いま流行のダウンサイジングを取り入れた最新ユニットだ。最高出力は先代モデル(514ps)を上まわる525hpで、「ハイパフォーマンスパッケージ」を装着した場合は、557hp。それに対して、燃費性能は30%以上も向上させたという。

「ポルシェ・ケイマンR」。「911GTS」に続き、「ケイマン」にもさらなるスポーツモデルが追加された。
欧州車にクローズアップ【LAショー2010】
固定式のリアウイングが“R”の証。シャシーの見直しにより、全高も20mm低くなる。
欧州車にクローズアップ【LAショー2010】
「フォルクスワーゲン・イオス」は、最新の「ゴルフ」などに通じる新しい意匠のフロントマスクを手に入れた。
欧州車にクローズアップ【LAショー2010】

■“R”を掲げる「ケイマン」

小さいながらも、他のメーカーとは別にひとつのホールを占有したポルシェ。昨2009年は「ボクスタースパイダー」、2008年は「ボクスター」と「ケイマン」のマイナーチェンジモデル、2007年は「ケイマンS ポルシェデザイン エディション1」など、ここ数年は毎年LAでボクスター&ケイマンのニューモデルを発表している。

北米での販売開始から60周年を迎えた今年、「GTS」と「スピードスター」という北米初公開の「911」2台とともにひな壇を飾ったのは、ケイマンの軽量スポーツモデルとなる「ケイマンR」だ。

アルミ製ドアの採用などによる「ケイマンS」比で55kgの軽量化に加え、「ケイマンS」と同じ3.4リッター水平対向6気筒ながら10psのパワーアップも実施。シャシーにも専用のチューニングが施され、全高は20mm低くなる。専用の固定式リアウイングをはじめ、フロントリップスポイラーや黒で縁取られたヘッドライトなど、内外装にも専用パーツがおごられている。

軽量化と高出力化により加速性能は向上。PDKに「スポーツクロノパッケージ」を追加したモデルの0-100km/h加速は4.7秒と、「ケイマンS」のPDK仕様の5.1秒からさらにコンマ4秒削り取った。ちなみに、4.7秒というタイムは「911カレラ」のPDK仕様と同タイムだ。

なお、LAでの発表を追うように日本での受注開始も発表。価格は、6段MT仕様が975万円、7段PDK仕様が1022万円。「ケイマンS」よりも130万円程度値上げされている。

このほか、最新のフォルクスワーゲンデザインへとフェイスリフトが行われた「フォルクスワーゲン・イオス」、パリでは写真のみがお披露目されたランドローバーの新しいコンパクトモデル「レンジローバー イヴォーク」の5ドアバージョンなども、欧州メーカーの注目モデルとして挙げられるだろう。

(文と写真=新井一樹)

「レンジローバー イヴォーク」の5ドアバージョン。3ドアに負けず劣らずスタイリッシュ。
欧州車にクローズアップ【LAショー2010】

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。