マツダ、次世代技術「スカイアクティブ」発表

2010.10.21 自動車ニュース
「スカイアクティブD」
マツダ、次世代のベース技術「スカイアクティブ」を発表

マツダ、次世代のベース技術「スカイアクティブ」を発表

マツダは2010年10月20日、次世代技術の総称となる「スカイアクティブ(SKYACTIV)」と、それを構成するパワートレイン、プラットフォームの技術概要を発表した。

「ブレークスルー」をキーワードに、これからのマツダのクルマ作りを示した山内孝代表取締役会長 社長兼CEO。このブレークスルーをあらゆるパワートレインやプラットフォームで具現した「スカイアクティブ」は、順次既存の車種に技術を投入し、2012年には「フルスカイアクティブ」の車種が登場するという。
「ブレークスルー」をキーワードに、これからのマツダのクルマ作りを示した山内孝代表取締役会長 社長兼CEO。このブレークスルーをあらゆるパワートレインやプラットフォームで具現した「スカイアクティブ」は、順次既存の車種に技術を投入し、2012年には「フルスカイアクティブ」の車種が登場するという。
「スカイアクティブG」エンジンは、現在1.3〜2.5リッターの直4エンジンを対象に開発中。今回の発表にロータリーエンジンの話は出なかったが、「スカイアクティブ」とは別に開発は進められているようだ。
「スカイアクティブG」エンジンは、現在1.3〜2.5リッターの直4エンジンを対象に開発中。今回の発表にロータリーエンジンの話は出なかったが、「スカイアクティブ」とは別に開発は進められているようだ。

■6つのスカイアクティブ

マツダは、2007年に発表した「サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言」で、2015年までに世界規模での平均燃費を約30%引き上げると公言している。その実現のために、車両の軽量化、パワートレインの効率化、プラットフォームの見直しといったベース技術を進化させたうえで、アイドリングストップやエネルギー回生、ハイブリッドといった電子デバイスを段階的に導入するという「ビルディングブロック戦略」を採用している。

2009年の東京モーターショーでは、次世代のベース技術を「スカイコンセプト」と名づけ、次世代ガソリンエンジンの「スカイG」やディーゼルエンジンの「スカイD」などを紹介。そのスカイコンセプトが、具体的な商品の登場を前に「スカイアクティブ」に名称が変更され、より詳しい内容が示された。

スカイアクティブを構成するのは、ガソリンエンジンの「スカイアクティブG」、ディーゼルエンジンの「スカイアクティブD」、オートマチックトランスミッションの「スカイアクティブ・ドライブ」、マニュアルトランスミッションの「スカイアクティブMT」、軽量高剛性ボディの「スカイアクティブ・ボディ」、高性能軽量シャシーの「スカイアクティブ・シャシー」の6つ。

その第1弾として、スカイアクティブG搭載の「デミオ」を2011年前半に日本に導入する。アイドリングストップシステムの「i-stop」とCVTを搭載したデミオで30km/リッターの10・15モード燃費を達成するというというのだ。さらに、スカイアクティブ・ドライブを2011年に、スカイアクティブDを2012年に市場に投入するなどして、サステイナブル“Zoom-Zoom”宣言の実現を目指す。

「スカイアクティブG」では、高圧縮エンジンの課題であるノッキングの発生を抑えるため、ピストンの形状を変更するなどの工夫が凝らされている。
「スカイアクティブG」では、高圧縮エンジンの課題であるノッキングの発生を抑えるため、ピストンの形状を変更するなどの工夫が凝らされている。
「スカイアクティブ・ドライブ」。発進と停止時以外はすべてロックアップすることで、伝達効率の向上と、MTのようなダイレクト感を実現したとうたわれる。燃費は従来の約4〜7%改善できるという。
「スカイアクティブ・ドライブ」。発進と停止時以外はすべてロックアップすることで、伝達効率の向上と、MTのようなダイレクト感を実現したとうたわれる。燃費は従来の約4〜7%改善できるという。
「スカイアクティブMT」。2速と3速用のギアを共用(3軸タイプMT)、1速とリバースギアを兼用する構造をとることで、さらなるコンパクト化を実現したという。もちろんパーツの削減は、軽量化にも貢献する。
「スカイアクティブMT」。2速と3速用のギアを共用(3軸タイプMT)、1速とリバースギアを兼用する構造をとることで、さらなるコンパクト化を実現したという。もちろんパーツの削減は、軽量化にも貢献する。

■ガソリンエンジンは世界一の高圧縮比に

次世代直噴ガソリンエンジンのスカイアクティブGは、15%の燃費向上と、低中速トルクの15%向上を狙う。これを達成するために、14.0という非常に高い圧縮比を量産エンジンとして初めて実現。ガソリンエンジンでは圧縮比が高いほうが燃費には有利だが、あまりに高いとノッキング(異常燃焼)が発生して、かえってトルクが低下してしまうという問題があった。そこでマツダは4-2-1排気システムや、最適化したピストン形状、マルチホールインジェクターなどにより課題を克服。さらに、機械抵抗やポンピングロスの低減などにより、目標とする性能を得るとしている。

一方、次世代クリーンディーゼルターボのスカイアクティブDでは、燃費の20%向上や低中速トルクのアップに加えて、日本、アメリカ、ヨーロッパの排ガス規制を、リーンNOx触媒や尿素SCRシステムなどを使わずにクリアするのが特徴だ。ここでキーとなるのが、ディーゼルエンジンとしては極めて低い圧縮比の実現。スカイアクティブGとは対照的に、スカイアクティブDでは圧縮比を世界一低い14.0に設定。圧縮比が低ければ、シリンダー内の燃料が均等に燃えるためNOxが減少し、また、燃料分子のまわりに酸素が十分に供給されるため、“すす”が少なくなるという。低圧縮比とすることで、均質な混合気を最適なタイミングで燃焼させることが可能になるため、出力アップや燃費の向上も期待できるという。

新世代エンジンに組み合わされることになるスカイアクティブ・ドライブは、CVTやデュアルクラッチトランスミッション(DCT)の利点をトルクコンバーター式オートマチックに取り入れたものだ。発進と停止以外はロックアップ機構を働かせ、トルクコンバーターのすべりをなくすことで、マニュアルトランスミッション並みのダイレクト感を実現。そのぶん伝達効率も高まり、従来比4〜7%の燃費向上を見込んでいる。マニュアルのスカイアクティブMTは、ショートストロークと軽い操作性を両立させるとともに、内部抵抗を減らすことでさらなる高効率を目指す。

基本骨格をストレート化、連続化させることで、より高い剛性と軽量化を両立したという「スカイアクティブ・ボディ」。
基本骨格をストレート化、連続化させることで、より高い剛性と軽量化を両立したという「スカイアクティブ・ボディ」。
中低速域での軽快感と、高速域での安定感を重視、“Zoom-Zoom”なハンドリングを目指した「スカイアクティブ・シャシー」。
中低速域での軽快感と、高速域での安定感を重視、“Zoom-Zoom”なハンドリングを目指した「スカイアクティブ・シャシー」。

■ボディとシャシーも進化

パワートレインの進化に加えて、プラットフォームにも見直しが図られる。スカイアクティブ・ボディは、高張力鋼板の使用比率を増やすことに加えて、基本骨格をできるかぎり直線で構成するなどして、高い剛性と衝突安全性能を実現しつつ、軽量化を図る。説明によれば、剛性は30%の向上、重量は8%の低減となる。一方、スカイアクティブ・シャシーは、軽量サスペンションや電動パワーステアリングの開発により、14%の軽量化を図りながら、マツダらしい「人馬一体のドライビングプレジャー」を追求する。

これらの技術により、エンジンで15〜20%、オートマチックトランスミッションで4〜7%、軽量化ボディなどにより3〜5%の燃費向上が見込まれ、ベース技術だけでも20〜30%の低燃費が図られることになる。マツダでは、今後登場する新型車に順次スカイアクティブ技術を適用し、これに電子デバイスを段階的に追加することで、多くのユーザーに低コストで燃費の優れたクルマを供給したい考えだ。すべてが出そろうにはまだしばらく時間が掛かるが、われわれとしてはそのひとつひとつの仕上がりに注目していきたい。

(文=生方聡)

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