イタリアメーカーのブース紹介【パリサロン2010】
2010.10.04 自動車ニュース
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【パリサロン2010】華は多いけれど、実は乏し……、イタリアメーカーブース
今年のパリサロン、イタリア勢で目立っていたのはエキゾチックカー、あるいはプレミアムスポーツカーといったたぐいのモデルたちである。フェラーリ、ランボルギーニ、マセラティが目を引くニューカマーをそろえていた。
■ド派手なニューカマー
まずはショーの華、フェラーリ。ブースの中央に陣取っていたのはピニンファリーナ80周年を記念して80台限定で生産される「SAアペルタ」。Sはセルジオ、Aはアンドレアのピニンファリーナの3、4代目の名から取られたもので、アペルタ(Aperta)はイタリア語でオープンを意味する。「599」をベースにするボディはその名の通りのオープントップとされ、V型12気筒エンジンは「599GTO」譲りの670ps仕様が搭載される。ただし、いつものことだが80台はすでにソールドアウトである。
大多数の(?)ユーザーにとっては「カリフォルニア」の進化の方が重要かもしれない。アイドリングストップ機構の採用をはじめ、補機類のオンデマンド化、軽量化や空力特性の改善などによって、CO2排出量を29g/km減の270g/kmとしたのである。これはイコール燃費の改善でもあることは言うまでもないだろう。
もう一方の雄たるランボルギーニが発表したのはコンセプトカー「セスト エレメント」だ。今までの「パワーと最高速」から、「軽さとハンドリング」重視で行くと宣言しているランボルギーニらしく、ボディだけでなくホイールなど細かなパーツまで新世代のカーボンファイバー製とすることで、なんとと車重は999kgを達成。これに「ガヤルド」用の570psを発生するV型10気筒5.2リッターユニットを搭載し、パワー・トゥ・ウェイト・レシオは1.75kg/psを達成している。
このまま市販ということは無さそうな、セスト エレメント。しかし、このコンセプト、そしてデザインエレメントは今後登場するモデルに必ず生かされるだろう。
そしてマセラティは、「グラントゥーリズモ」シリーズの最高峰となる「MCストラダーレ」をお披露目した。「グラントゥーリズモS」をベースに、カーボン素材の多用や2シーター化などによって車重を110kg軽減する一方、4.7リッターエンジンは10psアップの最高出力450psにまで強化されている。
マセラティといえば近年はレース活動が盛ん。MCストラダーレは、そのノウハウ、そしてイメージを継承する、もっとも硬派なマセラティと言えるだろう。
■実用車の展示はおあずけ?
セグメントは異なるが、ホットな走りという意味ではアバルトも見逃せない1台を出展していた。「アバルト500C」、そして「プントエヴォ」の“エッセエッセ”キットである。エッセエッセといえばパワーアップに専用のサスペンション、そしてブレーキなどによって硬派に走りを突き詰めたモデルであり、オープンボディのアバルト500Cとは一見、不似合いにも思えるのだが、こういうモデルを望むユーザーは間違いなくいる。一方、プントエヴォについては「グランデプント」時代には設定があったものが、モデルチェンジに伴って再度、導入が図られたというかたちだ。
今回のイタリア勢で残念だったのは、ニューカマーといえばこうしたド派手な存在ばかりで、実用車にあまり目を見張るものが無かったことである。強いて言えば、アルファが「MiTo」に続いて「ジュリエッタ」にTCTと呼ばれるツインクラッチギアボックスの設定を発表したことくらいだろうか。
エキゾチックカーファンにとっては大満足だったかもしれない。けれど個人的には、ちょっと残念だったなぁという思いが強い。もしかすると、そのあたりの発表は12月開催の地元ボローニャショーまで取っておかれているのかもしれないけれど……。
(文と写真=島下泰久)
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