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【スペック】全長×全幅×全高=4915×1860×1490mm/ホイールベース=2970mm/車重=1880kg/駆動方式=FR/2.5リッター直6DOHC24バルブ(204ps/6300rpm、25.5kgm/2750-3000rpm)/価格=640万円(テスト車=714万3000円/Hi-Lineパッケージ(ダコダレザーインテリア+フロントシートヒーティング+電動フロントシート)=39万円/オートマチックテールゲートオペレーション=8万1000円/電動パノラマガラスサンルーフ=21万5000円/ラゲージコンパートメントパッケージ=5万7000円)

BMW523iツーリング(FR/8AT)【試乗記】

戻って正解 2010.09.29 試乗記 BMW523iツーリング(FR/8AT)
……714万3000円

セダンに続いて日本で販売が始まった、新型「BMW5シリーズツーリング」。最も新しいワゴンの実力は、どれほどのものなのか? エントリーグレード「523iツーリング」で試した。

一発で、コロリ

「恋に落ちるまで、わずか3秒。あとの4分57秒は、深い絆(きずな)でむすばれるために必要な時間です。」
そんな歯が浮くような(失礼!)フレーズが太字で記載されるのが、新しいBMW5シリーズの立派なカタログである。「ニューBMW5シリーズセダンを初めて体験する、5分間。」と題して、「0分07秒 ドアハンドルに手をかける」から深い絆で結ばれるまでが経過時間とともに解説される。

どこかむずがゆい気持ちを逆手にとって(?)、「では、ワゴンと恋に落ちるのはどれくらいか」と思いながら「5シリーズツーリング」のプレス試乗会に参加した。3秒でした。……というのはウソだが、なるほど、スターターボタンを押してエンジンをかけ、ハンドルを握って走りはじめたとたん、いや、遅くとも駐車場から公道に出る段差を越えるときまでには「BMW5シリーズツーリング」と恋に落ちていた。「シルキースムーズ」というあまりに月並みな、皆が感じるからこそ月並みになるのだが、いまや珍しい形式となったストレート6の粒がそろったエンジン音と、「これぞ高級車」といわんばかりの重厚な乗り心地、そして豪華な内装にあっけなくノックアウトされた。

セダンに遅れること約半年。「523i/528i/535iツーリング」の3グレードで構成されるワゴンボディのラインナップのうち、まずは2.5リッターNAを搭載した「523iツーリング」が日本に入れられた。希望小売価格は、先代「525iツーリング」の675万円よりわずかに安い640万円。とはいえ、恋に落ちたからといってすぐには結びつけない、高嶺(たかね)の花であることに変わりはない。

リアのコンビランプは、兄貴分の「7シリーズ」などとおそろいのデザイン。そのうえに「4つ★マーク」があるとおり、「523iツーリング」はエコカー減税(50%減税)の対象となっている。
リアのコンビランプは、兄貴分の「7シリーズ」などとおそろいのデザイン。そのうえに「4つ★マーク」があるとおり、「523iツーリング」はエコカー減税(50%減税)の対象となっている。 拡大
センターコンソールが7度運転席側を向く、ドライバーオリエンテッドなインテリア。写真の革内装はオプションで、「ダイアゴナルクロスシート」が標準となる。
センターコンソールが7度運転席側を向く、ドライバーオリエンテッドなインテリア。写真の革内装はオプションで、「ダイアゴナルクロスシート」が標準となる。 拡大
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ステキに「高そう」

「メルセデスは型落ちになると味が出てよくなるけど、BMWの古いのはちょっとね……」というのが、クルマ好きの率直なところではないか。よくも悪くもトレンドセッターで、一目散に前へ進んで振り返らない存在がBMWで、だからこそヤンエグ(死語)や世の成功者が好むブランドなわけだが、新しい「5シリーズ」はずいぶんと保守的な印象だ。専門家の目をもって深読みすれば、スターデザイナーだったクリス・バングルの流れや、アグレッシブなラインを読み取ることもできようが、一般的な感覚からすると「振り子が戻ってきた」といったところ。それでおおよそ正解だと思う。

先代「7シリーズ」以来、ニューモデルが出るたびに度肝を抜かれてきたセールスマン諸氏は、ニュー「5シリーズ」に大いに期待しているらしい。「ディーラーに引っ張ってくるのはダンナさまですが、実際に買うときにOKを出すのは奥さまですから」というわけだ。ストレートに高級車然としている「5シリーズ」、それも家族(奥さま)サービスにも使えるワゴンボディとなれば、クルマ好きのダンナにも、奥さまを説得する余地が出るのではないか。

もっぱらビーエムの名に恥じない走りと豊かなイメージを積むことに注力している、ようにも見えたこれまでと異なり、今度の「5シリーズツーリング」は、リアシートを3分割して倒して見せたり、同じことを荷室のレバーを引いてやってみたり、はたまた大きなリアゲートではなくリアガラスだけを手軽に開けて、「近所のお買い物もスマートに」と日常への配慮をにじませることもできる。その際、荷室を隠すパーテーションが自動に開閉するさまも、「さすがは高級車」と納得させる小さな要因になりうる。

伸びやかな肢体をもつ新型「BMW5シリーズツーリング」。先代モデルに比べると、ボディの幅と高さにはほとんど差はないが、全長は60mm長くなっている。
伸びやかな肢体をもつ新型「BMW5シリーズツーリング」。先代モデルに比べると、ボディの幅と高さにはほとんど差はないが、全長は60mm長くなっている。 拡大
リアシートは、4:2:4の分割可倒式。荷室側からもワンタッチの操作で畳むことができる。
リアシートは、4:2:4の分割可倒式。荷室側からもワンタッチの操作で畳むことができる。 拡大
オプションの電動パノラマガラスサンルーフ。お値段は、21万5000円也。
オプションの電動パノラマガラスサンルーフ。お値段は、21万5000円也。 拡大
荷室は、小さな荷物なら、ハッチゲートではなくリアガラスを開けるだけで収納できる。容量は560〜1670リッター。
(写真をクリックするとシートの倒れるさまが見られます)
荷室は、小さな荷物なら、ハッチゲートではなくリアガラスを開けるだけで収納できる。容量は560〜1670リッター。
	(写真をクリックするとシートの倒れるさまが見られます) 拡大

走りもエコも抜かりなし

とはいえ、ひとたび運転席に座ってしまえば、「5シリーズツーリング」はまごうかたなきドライバーズカーである。センターコンソールは、これまで通り角度がついてドライバー側に向けられている。

最新「5シリーズ」は「やや小ぶりな7シリーズ」とでもいうべき成り立ちをもつが、「プアマンズ7とは決して言わせない」といわんばかりに室内は豪華だ。試乗車はダコタレザー仕様。まずは10.2インチの大きなディスプレイが目に飛び込んでくる。アルミの飾りがついた手の込んだウッドパネル。クールなデザインのシフトレバーとiDrive用のダイヤル。灰皿のかわりにカップホルダーとなった場所に、キーを差すくぼみが設けられたのはご愛敬(あいきょう)。ディスプレイの奥底に潜り込まされた空調・オーディオ関係のボタン類が物理的にコンソールに戻ってきたのは、IT原理主義者以外には大歓迎だろう。

フロントの2.5リッター直列6気筒は、204ps/6300rpmの最高出力と25.5kgm/2750-3000rpmの最大トルクを発生する。欧州ではリーンバーン仕様も用意されるが、日本ではNOxを嫌って直噴タイプがカタログに載る。10・15モード燃費は10.4km/リッターと、先代525iツーリングから2割強燃費が向上した。エコカー減税対象モデルである。

組み合わされるトランスミッションは、8段AT。空荷で走っているかぎり、自然吸気の2.5リッターで何ら不満はない。個人的な嗜好(しこう)に照らすと足まわりが少々ヤワだなと感じたので、iDriveをいじってドライブトレインはそのままに、シャシーのみをスポーツにすると、こちらの不満もなくなった。

すっかり「523iツーリング」が気に入って、くだんのカタログページを思い出した。そういえば、最後のフレーズはこうだった。
「4分55秒 ……そして、ひとたび走り出したら、二度と止まりたくなくなることも、すでに気づいてしまっているのです」。
4分55秒 ……。もうすこしかかったかな。

(文=細川 進/写真=峰昌宏)

 
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ATは多段化が進み、先代モデルの6段から8段に。レバーの先、カップホルダーのかたわらには、写真のように電子式のキーを立て置くスペースも設けられる。
ATは多段化が進み、先代モデルの6段から8段に。レバーの先、カップホルダーのかたわらには、写真のように電子式のキーを立て置くスペースも設けられる。 拡大
「523iツーリング」の心臓、2.5リッター直6エンジン(204ps、25.5kgm)。さらに上級のグレードとして、3リッター直6(258ps、31.6kgm)を積む「528iツーリング」と、3リッター直6ターボ(306ps、40.8kgm)の「535iツーリング」もラインナップする。
「523iツーリング」の心臓、2.5リッター直6エンジン(204ps、25.5kgm)。さらに上級のグレードとして、3リッター直6(258ps、31.6kgm)を積む「528iツーリング」と、3リッター直6ターボ(306ps、40.8kgm)の「535iツーリング」もラインナップする。 拡大
こちらは、1インチ大きな、18インチホイール「Vスポークスタイリング328アロイホイール」を装着したもの。13万円のオプションとなっている。
こちらは、1インチ大きな、18インチホイール「Vスポークスタイリング328アロイホイール」を装着したもの。13万円のオプションとなっている。 拡大

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