【スペック】全長×全幅×全高=4650×1860×1375mm/ホイールベース=2755mm/車重=1810kg/駆動方式=4WD/4.2リッターV8 DOHC32バルブ(450ps/8250rpm、43.8kgm/4000-6000rpm)/価格=1204.0万円(テスト車=1232.0万円/アダプティブクルーズコントロール+アウディサイドアシスト=28.0万円)

アウディRS 5(4WD/7AT)【試乗記】

試されるのは美学 2010.09.28 試乗記 アウディRS 5(4WD/7AT)
……1232.0万円

アウディのハイパフォーマンスクーペ「RS 5」が日本上陸。「R8」をも上回る、450psのパワーがもたらす走りとは?

にじみ出る“いいモノ感”

「アウディRS 5」のドライバーズシートに着く。シルクナッパレザーと呼ばれる上質革が張られた専用スポーツシートは、しなやかすぎず、かといって張りが強すぎず、スーパースポーツモデルのシートとしてバランスが絶妙だ。これだけとっても、「ハイパフォーマンス」を「格闘」と考えているようなクルマと「RS 5」は、立ち位置が完全に違っている。オトナだ。

ドライバーをずらりと囲むスイッチは、形状、素材、タッチのいずれもがいつもどおりのアウディ流の質感で貫かれていて、「精緻(せいち)」という言葉を思い出さずにはいられない。それを4.2リッターV8エンジンのアイドリング音をBGMに眺めると、“いいモノ感”がジワーッと増してくる。
この“いいモノ感”というやつ、ドイツの開発者たちは「ヴェルティヒカイト(Wertigkeit)」という言葉を使って表現することがある。辞書で調べると「原子価」などという難解な化学用語だが、「Wert」が表す「価値」という意味から派生した便利な使い方もあるらしい。

このヴェルティヒカイトのニュアンスを、かつて筆者はフォルクスワーゲングループ全体のデザインを統括しているワルター・デ・シルヴァ氏にうかがったことがある。RS 5のベースとなる「A5」のデザイン責任者でもある氏は、「イタリア語だとプロドット・ヴァリド(prodotto valido)と言います」と母国語を交えて、こう語ってくれた。

「(ヴェルティヒカイトを表現する際、重要なのは)美しさにこだわることです。美しさには、目で見てそう感じるものだけでなく、触って美しい、ということだってあるでしょう。またデザインの精密さや正確さもヴェルティヒカイトにつながります。すなわち精密、正確であることは、まぎれもなく美なのです」
美によって支配されたいいモノ感。ちょっと気恥ずかしさもあるけれど、ハイパフォーマンスカーはそれぐらいピュアでロマンチックで哲学的な方が夢がある。やっぱりオトナだ。

450psのV8エンジンと組み合わされるトランスミッションは、7段の湿式Sトロニック。
450psのV8エンジンと組み合わされるトランスミッションは、7段の湿式Sトロニック。

アウディRS 5(4WD/7AT)【試乗記】の画像

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