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【スペック】GAZOO Racing レクサスLFA:全長×全幅×全高=4455×1950×1200mm/ホイールベース=2605mm/駆動方式=FR/4.8リッターV10DOHC40バルブ(500ps以上)

トヨタ ワクドキ 体験会(レクサスLFA、トヨタMR-S/iQ)【試乗記】

もうひとつのトヨタ 2010.09.15 試乗記 GAZOO Racing レクサスLFA/GRMN スポーツハイブリッドコンセプト/iQ GRMN+スーパーチャージャーコンセプト


トヨタが展開する、クルマ好きの輪を広げるためのプロジェクト「GAZOO Racing」。その一環として開発されたマシンは、どのようなものなのか? 代表的な3台の走りをレーシングドライバー木下隆之がリポートする。
レーシングドライバーの木下隆之氏。文中のニュルブルクリンク24時間耐久レースには、2008年から3年連続で「LFA」を駆り参戦している。
レーシングドライバーの木下隆之氏。文中のニュルブルクリンク24時間耐久レースには、2008年から3年連続で「LFA」を駆り参戦している。 拡大
フロントに積まれるV10ユニット。基本的な仕様は、市販版「レクサスLFA」のものと変わらない。
フロントに積まれるV10ユニット。基本的な仕様は、市販版「レクサスLFA」のものと変わらない。 拡大

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GAZOO Racing レクサスLFA

トヨタが「レクサスLFA」でニュルブルクリンク24時間への挑戦を開始したのは2008年5月のこと。
2010年末に本格的デリバリーが開始されるモデルを、3年近く前倒しで実戦投入するという異例の戦略をとった。その理由は、コンペティションの世界で得られるノウハウを、市販モデルにフィードバックすることにある。

ということはつまり、レース仕様車もまた市販車から大きく逸脱することなく改良が施されていることを意味する。
今回紹介するGAZOO Racingの「レクサスLFA」も、競技車として定められた最低限のモディファイを施しただけで、フロントに搭載されるV10エンジンも、トランスアクスル方式の2ペダル式6段MTも、カーポンモノコックのボディも市販車そのまま。だから、レース仕様といっても、ハンドリングやエンジン特性は、市販車に限りなく似ている。

たとえば、レース仕様としては異例に乗り心地がいい。段差を乗り越えても、路面の突起を拾っても、拍子抜けするほど突き上げが優しいのだ。このままの足で公道を走っても、それほど不満はないはず。これよりも乗り味の荒い市販スポーツカーはたくさんある。

エンジン特性も同様で、神経質なものではない。レース中の最高許容回転数は9500rpmだから、パワーバンドはかなり高回転域に寄せられているのだが、中回転域からもトルクが充実している。もちろん本格的なパワーゾーンは7000rpmからなのだが、誤って回転を落としたら立ち上がらない……といったレースカー特有の“癖”はないのである。
ハンドリングもしなやか。ハイグリップのスリックタイヤを履くために、コーナリングフィールはドキドキするほど鋭いのだが、かといってカウンターの助けを頻繁に借りる必要もない。

もっといえば、車体を安定させるための電子制御システム「VDIM」も組み込まれており、そのまま実際のレースでも使っていた。いってみれば「スピンの不安から解放されていながら、最速タイムを叩きだせるような仕様」になっているのである。

フロントホイールを外したところ。ブレーキディスクを冷却するためのダクトや、ホイールハウスを囲むカーボン材が目を引く。
フロントホイールを外したところ。ブレーキディスクを冷却するためのダクトや、ホイールハウスを囲むカーボン材が目を引く。 拡大

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このマシンに乗ってほとんどの人が異口同音に、その乗りやすさを口にする。「こんなに優しいのなら誰でも乗れるね……。」とちゃかす人もいたほどだ。実際に競技に参加した僕にはちょっと耳の痛いコメントなのだが、否定しようもない。実際に、誰もが安心して攻められるように開発したのだから。

それでいて、これ、実に官能的なのである。レース車にドライビングプレジャーを求めるなんてピントがズレてるかもしれないけれど、高回転域での青空に抜けるような甲高いサウンドや、ハイレスポンスのトランスミッションが奏でる軽快なリズムなどは、快感を誘うものだ。

「速い」。それは、激戦のニュルブルクリンク24時間SP8クラスで優勝したというリザルトが語っているけれど、本当の魅力は「楽しい」にある。こんな個性的なレーシングマシン、世界で1台だと断言していい。


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赤×黒のツートンカラーで統一されたインテリア。ステアリングホイールの裏には変速用のパドルが備わる。
赤×黒のツートンカラーで統一されたインテリア。ステアリングホイールの裏には変速用のパドルが備わる。 拡大
ベースとなった「MR-S」と比べると、ボディサイズは300mm長く、200mm幅広く、65mm低い。ホイールベースは85mmプラス。車重は約300kgの上乗せとなる。
ベースとなった「MR-S」と比べると、ボディサイズは300mm長く、200mm幅広く、65mm低い。ホイールベースは85mmプラス。車重は約300kgの上乗せとなる。 拡大

GRMN スポーツハイブリッドコンセプト

ベースは「MR-S」である。それにハイブリッドエンジンを搭載したのが最大の特徴だ。
流用したのは先代「ハリアーハイブリッド」用の3.3リッターV6「3MZ-FE」ユニット。ご覧のようにオープンボディであることも、ミドシップレイアウトであることも「MR-S」の原形を残す。ところが、パワーユニットをハイブリッド化したのである。ただし、駆動方式は、フロントをモーター駆動とする4WDになっている。

いやはや、このクルマは、実にエキセントリックな走り味を披露する。ハイブリッドだからアイドリングストップをする。だから、蓄電が十分な場合、停止中は無音である。穏やかな加速でもやはり無音。モーターだけのパワーでスルスルと滑るように走るのだ。

だが、ひとたびスロットルに乗せた足に力を込めると、景色は一転する。V6エンジンは、かなり盛大に咆哮(ほうこう)し、刺激的なサウンドがマシンを包み込む。リアには力強いサウンドを残すマフラーが装着されており、アクセルオンでは、とてもハイブリッドとは思えぬ雰囲気に包み込まれるのだ。

開発を担当したトヨタのマスターテストドライバー、故・成瀬弘氏は、かつてこのクルマをこう表現した。
「モーターヨットのような爽快感を求めたんですよ。穏やかな気分の時にはまるでヨットのように、風や青空を味わうことができる。だけど、ひとたび戦闘モードになれば、刺激的なスポーツフィールが味わえる」。

なるほど「スポーツハイブリッド」は、ヨットとパワーボートのように爽快感と躍動感という二面性を持つのだ。

しかもそのパワーボート領域は、エコカーという先入観を一切忘れさせる。サウンドが刺激的なだけではなく、動力性能もかなり攻撃的だ。トランスミッションは無段階CVTであり、アクセルオンに同調して回転が跳ね上がる。そして強烈な加速を披露するのだ。


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ドライバーの背後に積まれる、先代「ハリアーハイブリッド」用のパワーユニット。トランスミッションはCVTが組み合わされる。
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【スペック】GRMN スポーツハイブリッドコンセプト:全長×全幅×全高=4195×1895×1170mm/ホイールベース=2535mm/車重=1300kg/駆動方式=4WD/3.3リッターV6DOHC24バルブ+フロント交流モーター+リア交流モーター
【スペック】GRMN スポーツハイブリッドコンセプト:全長×全幅×全高=4195×1895×1170mm/ホイールベース=2535mm/車重=1300kg/駆動方式=4WD/3.3リッターV6DOHC24バルブ+フロント交流モーター+リア交流モーター 拡大

加速に定評のあった「ハリアーハイブリッド」は、2トン近いSUVである。一方、「スポーツハイブリッド」の車重は1300kgに抑えられている。となれば、その加速感がどれだけ強烈か想像できるはず。
ハンドリングも刺激的だ。車高はベタベタに下げられているから重心点はかなり低く、コーナリングは地面にへばりついているかのようだ。ステアリングレスポンスは鋭く、テールスライドに持ち込むのも容易だ。しかも4WDゆえにスタビリティも期待できる。

発端が開発車両というスタンスであり、まだまだ発展途上のコンセプトモデルである。だから、ボディ剛性には不足を感じるし、足の煮詰めも甘い。だが、その気になって熟成を進めれば、市販化も遠くないとみた。真っ赤な本革を基調に仕上げられた内装を見れば、時間と金がしっかりかけられていることがわかる。完成は、間近なのだ。

「iQ GRMN+スーパーチャージャーコンセプト」。個性的なエアロパーツが、ただの「iQ」ではないことを主張する。
「iQ GRMN+スーパーチャージャーコンセプト」。個性的なエアロパーツが、ただの「iQ」ではないことを主張する。 拡大
スーパーチャージャーが鈍い光りを放つ、エンジンルーム。
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iQ GRMN+スーパーチャージャーコンセプト

「iQ GAZOO Racing tuned by MN」が発売されたのは2009年の夏。わずか100台という小ロットの限定販売だったのだが、その人気は高く、たった1週間で完売した。それに続くと期待されているのが、この「iQ GRMN+スーパーチャージャーコンセプト」なのである。
「『iQ GAZOO Racing tuned by MN』を買ってくれた人の中に、もうちょっとパワーがあってもいいかな、という意見があった。だったら、ということで。」開発にあたった、成瀬弘氏の言葉だ。

エンジンは1.3リッター直4「1NR-FE」ユニットに、スーパーチャージャーを合体させたものだ。詳細なパワースペックは公表されていないが、最高出力と最大トルクはベースエンジン(98ps、12.5kgm)の約20%増しだというから、118psと15.0kgmあたりまで増強されていることになる。

もっとも、実際に攻め込んでみると、強化されたパワーはその数字からの想像を上回る。かなり力強いダッシュ力を示す。
その理由はまず、もともとが980kgという軽量ボディにある。それでいて、スーパーチャージャー特有の太い低回転トルクもある。アクセルオンとともに、スーパーチャージャーらしい金属質なサウンドが耳に届く。それは回転の上昇と比例して高まり、トップエンドまで弾け、強引に速度をかさ上げしていく。

6段MTを組み合わせているのも特徴だ。次々とシフトアップをせかされるが、たとえ変速を無精にしても、持ち前のトルクで粘り強く走るわけで、そのあたりはターボチャージャーとは異なる雰囲気だった。

とにもかくにも、その小気味良さは快感である。パワーは増強されているものの、シャシー性能を大きく超えるほどではなく、パワーと足のバランスは絶妙である。強化された足まわりによりロールは皆無。まるでカート感覚でコーナリングするのである。

元気な走りに対応すべく、シートはサイドサポートの豊かなレカロ製を採用。
元気な走りに対応すべく、シートはサイドサポートの豊かなレカロ製を採用。 拡大

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【スペック】iQ GRMN+スーパーチャージャーコンセプト:全長×全幅×全高=3025×1695×1480mm/ホイールベース=2000mm/車重=980kg/駆動方式=FF/1.3リッター直4DOHC16バルブスーパーチャージャー付き
【スペック】iQ GRMN+スーパーチャージャーコンセプト:全長×全幅×全高=3025×1695×1480mm/ホイールベース=2000mm/車重=980kg/駆動方式=FF/1.3リッター直4DOHC16バルブスーパーチャージャー付き 拡大

ヒョイッとリアタイヤを持ち上げ気味で旋回するのは「iQ」らしい特徴だが、前輪を軸に超信地旋回するかのようなその感覚は、一度味わったら病みつきになるだろう。
「iQ GAZOO Racing tuned by MN」にモアパワーを求めたその発想には同感である。駆け回る子犬のようにすばしっこく走り回りながら、刺激的なパワーフィールが味わえるわけで、これならビックパワーに慣れた人にもなじむだろう。

(文=木下隆之/写真=高橋信宏)

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