日産の先進技術、ぶつからないクルマを目指して

2010.08.04 自動車ニュース
日産の先進技術を体験する(後編)

日産の先進技術を体験する(後編)ぶつからないクルマを目指して

日産自動車は2015年までに自社のクルマがかかわる死亡者・重傷者数を、1995年の半分にまで減らすという目標を掲げている。そのために、“クルマが人を守る”セーフティ・シールドという考えに基づき、安全技術が開発されている。その最新の具体例を「先進技術説明会」で体験した。(前編はこちら)


日産の先進技術、ぶつからないクルマを目指しての画像
衝突回避支援コンセプトの作動図。
衝突回避支援コンセプトの作動図。

■日産は60km/hから急制動

万一の衝突を回避する装備としては、すでにボルボの「シティ・セーフティ」やスバルの「アイサイト」がある。どちらも衝突事故の大半は低速で発生しているという考えから、対象物との速度差がシティ・セーフティでは15km/h以下、アイサイトでは30km/h以下で衝突を回避するようになっている。しかし日産の衝突回避支援コンセプトは60km/hという、より高い速度域からの衝突事故を回避することが目標とされている。

対象物との距離の計測にはミリ波のレーダーセンサーが用いられ、システムは60m手前から作動し始める。まずは表示と「ピッピッピッ」という警告音で注意を喚起し、ドライバーの減速操作をうながすと同時にアクセルペダルを押し戻し、緩制動を開始する。それでもドライバーによる安全な減速が行われず、追突の危険があるとシステムが判断すると、よりはっきりとした「ピーピーピー」という警告音に変わり、しかる後に前席のシートベルトを巻き上げ、5m手前でドンッと急制動におよぶ。今回の体験試乗では、対象物の約70cm手前でピタリと停止した。機能としてはVDCを使って制動しているため、ブレーキペダルは奥に入らない。

60km/h走行で対象物まで残り5mという状況では、機械と同等の動作を的確に行うのはおよそ無理である。そういう意味では偉大な機能であるが、我々が論じるべきは、そうなる前にどうすべきかということの方だ。

アラウンドビューモニターに追加された「ムービング・オブジェクト・ディテクション(MOD)」機能。移動物があることをディスプレイ上に赤い枠で表示しながらブザーで知らせ、安全確認をサポートする。写真はトップビュー画面の表示。
アラウンドビューモニターに追加された「ムービング・オブジェクト・ディテクション(MOD)」機能。移動物があることをディスプレイ上に赤い枠で表示しながらブザーで知らせ、安全確認をサポートする。写真はトップビュー画面の表示。
ムービング・オブジェクト・ディテクション(MOD)のリアビュー画面の表示。
ムービング・オブジェクト・ディテクション(MOD)のリアビュー画面の表示。
日産の先進技術、ぶつからないクルマを目指しての画像

■安全性を高めるふたつの新機能

また今回は衝突回避支援コンセプトの他に、車体後方の両側面に設置されたレーダーセンサーで横方向からの車両の接近を検知する「バックアップ・コリジョン・インターベンション(BCI)」を公開した。検知する範囲は左右それぞれ20m程度。他の車両の接近を検知すると警告音と表示でドライバーに注意をうながし、VDC機能を使って自車を停止させ、衝突を未然に防ぐというもの。ショッピングセンターや高速道路のサービスエリアの駐車場などに前進で止め、後退で出ようとするケースなどを想定した運転支援機能だ。

もうひとつは「ムービング・オブジェクト・ディテクション(MOD)」と呼ばれる機能。これはすでに実用化されているアラウンドビューモニターの新機能に位置づけられるもので、レーダーセンサーは用いず、車両の前後左右に設置された4つのカメラ映像から画像認識によって移動物を検知する。検知するとディスプレイ上に表示するだけでなく警告音も発するが、ブレーキはかけない。新たなセンサーを追加することなく、画像認識技術だけで安全技術を進化させた合理的な機能ということができる。

(文=竹下元太郎/写真=菊池貴之)

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