日産スカイラインフェスティバル2010 開催

2010.07.12 自動車ニュース
スペシャルイベントを除いて、この日もっともエキサイティングだったのは、通称「ハコスカ」こと3代目と「ケンメリ」こと4代目スカイラインのスポーツ走行。ロールケージの入ったサーキット専用車であるこれら3台をはじめ高度なモディファイを施されたクルマが多く、メカチューン特有のカン高い音を響かせながらレースさながらのバトルを展開していた。
サーキットで硬派な同窓会 〜「日産スカイラインフェスティバル2010」開催

サーキットで硬派な同窓会 〜「日産スカイラインフェスティバル2010」開催

2010年7月11日、静岡県小山町の富士スピードウェイで「日産スカイラインフェスティバル2010」が開かれた。

1972年の東京モーターショーにイメージモデルとして出展されたものの、一度もサーキットに姿を現さず「幻のGT-R」と呼ばれたケンメリGT-R(KPGC)。数年前に日産でショーカーがレストアされ「ニスモフェスティバル」でサーキットデビューを果たしたが、これはそのレプリカ。よく出来ている。
1972年の東京モーターショーにイメージモデルとして出展されたものの、一度もサーキットに姿を現さず「幻のGT-R」と呼ばれたケンメリGT-R(KPGC)。数年前に日産でショーカーがレストアされ「ニスモフェスティバル」でサーキットデビューを果たしたが、これはそのレプリカ。よく出来ている。
スペシャルイベントの前に行われたグリッドウォークで、星野氏とガッチリ握手を交わしているのは、82年には「BMW M1」で富士スーパーシルエットの、87年には「フォード・シエラRS500」で全日本ツーリングカーのチャンピオンに輝いた長坂尚樹氏。「お互い歳とったねえ」と言い合いながらも、「R32GT-R」と「シエラ」で揃って大暴れ。
スペシャルイベントの前に行われたグリッドウォークで、星野氏とガッチリ握手を交わしているのは、82年には「BMW M1」で富士スーパーシルエットの、87年には「フォード・シエラRS500」で全日本ツーリングカーのチャンピオンに輝いた長坂尚樹氏。「お互い歳とったねえ」と言い合いながらも、「R32GT-R」と「シエラ」で揃って大暴れ。
星野一義氏が駆る「カルソニックブルー」の「R32GT-R」が従えているのは、これまた懐かしいカラーリングの「オートテック(BMW)M3」。しかもステアリングを握っているのは、当時ドライブしていた中谷明彦氏。90年代前半にタイムスリップしたような光景である。
星野一義氏が駆る「カルソニックブルー」の「R32GT-R」が従えているのは、これまた懐かしいカラーリングの「オートテック(BMW)M3」。しかもステアリングを握っているのは、当時ドライブしていた中谷明彦氏。90年代前半にタイムスリップしたような光景である。

■走りざんまいのイベント

1957年に誕生した「スカイライン」は、それより2年早い55年に登場した「クラウン」に次いで、日本で2番目に古い歴史をもつ乗用車の銘柄(ブランド)だ。そして、日本車には珍しくブランドが確立されているという点でも、クラウンと双璧である。
しかも、1964年に開かれた「第2回日本グランプリ」におけるポルシェとの激闘に始まるレースでの活躍によって築かれた「伝説」あるいは「神話」は、いまや揺らぎようがない。
「信者」と呼べるほどの熱烈な愛好家が存在するという点においては、スカイラインは日本車では他の追随を許さないだろう。

そんなスカイラインを愛してやまない男(と女)たちが一堂に集うイベントである「日産スカイラインフェスティバル2010」が、富士スピードウェイで開かれた。
主催者によれば「新旧スカイラインオーナー&ファンの大同窓会」であるだけに、対象となるのは初代「ALSI」から12代目現行「V36」までのスカイラインの歴代全モデルと、スカイラインの名は外れたものの、その血統を受け継ぐ現行「R35GT-R」。残念ながら初代のエントリーはなかったものの、2代目から現行までの約400台が全国から集まった。

レースで鍛えられた硬派のクルマであるスカイラインの、しかもサーキットイベントとあって、プログラムは当然ながら走りが中心。家族や仲間を乗せ、ペースカーが先導してのファミリー走行から、ヘルメット着用が義務づけられたスポーツ走行、そしてスペシャルイベントとして行われたプロドライバーによるデモラン、締めくくりのエントリー全車両によるパレード走行まで、一日中走りざんまい。参加したからにはパドックに止めておくだけではなく、メインコースを走ってこそ楽しめるといった内容だった。

前述したスペシャルイベントの主役は、往年の日産ワークスのスタードライバーである黒澤元治氏と星野一義氏。現在は自動車評論家として知られる「ガンさん」こと黒澤氏は、1960年代半ばから70年代初頭にかけて日産ワークスで活躍、6リッターV12を積んだモンスターであるプロトタイプスポーツの「R382」による「69年日本グランプリ」制覇を筆頭に、輝かしい戦績を残している。いっぽう現在は「チームインパル」の監督を務める星野氏は、1960年代末に二輪のモトクロスから四輪レースに転向。日産チームの2軍から叩き上げ、「日本一速い男」の称号を手に入れてからもつい最近まで日産の顔として活躍した。

黒澤氏は、ファンの間では「KPGC10」の型式名で呼ばれる「スカイライン・ハードトップ2000GT-R」のレーシング仕様をドライブした。「KPGC10」は、69年から72年にかけて通算50勝以上を挙げた、スカイライン伝説のもっとも重要な担い手と言っても過言ではないマシンである。
残念ながらワークスカーは1台も残されていないので、黒澤氏がステアリングを握ったのは、当時のプライベーターが駆っていたマシンをレストアしたものだ。とはいうものの残存が確認されている、実際にレースを戦ったマシンはこれ1台きりであり、なおかつ50数勝のうち2勝を挙げたヒストリーを持つ超希少な存在である。

星野氏は、「ニスモフェスティバル」などでもすっかりおなじみの、グループA時代の覇者である「カルソニック」ブルーに塗られた「R32GT-R」のレーシングを駆った。しかも同時代にグループAを戦った「フォード・シエラRS500」や「BMW M3」と模擬レースのごとく混走するという、ファンにはたまらない演出つきだった。

黒澤元治氏のドライブで、メインストレートを疾走する型式名「KPGC10」こと「スカイライン・ハードトップ2000GT-R」。当時のプライベート仕様のマシンだが、生き残っていること自体が非常に希少である。しかも1971年5月の「富士フレッシュマン・シリーズ3」優勝、73年7月の「全日本富士1000km」クラス優勝という実績を残している。
黒澤元治氏のドライブで、メインストレートを疾走する型式名「KPGC10」こと「スカイライン・ハードトップ2000GT-R」。当時のプライベート仕様のマシンだが、生き残っていること自体が非常に希少である。しかも1971年5月の「富士フレッシュマン・シリーズ3」優勝、73年7月の「全日本富士1000km」クラス優勝という実績を残している。
5周のデモランを終えた黒澤元治氏。日産ワークス時代には「KPGC10」で7勝を挙げている。以前にもこのマシンにちょっぴり乗ったことがあるそうが「前に比べたらだいぶよくなったね。ブレーキも最初は効かなかったけど、2周目からは(暖まって)ちゃんと効いた。4速と5速のギア比がクロースしたこのミッションには、覚えがないなあ」などとコメントしていた。
5周のデモランを終えた黒澤元治氏。日産ワークス時代には「KPGC10」で7勝を挙げている。以前にもこのマシンにちょっぴり乗ったことがあるそうが「前に比べたらだいぶよくなったね。ブレーキも最初は効かなかったけど、2周目からは(暖まって)ちゃんと効いた。4速と5速のギア比がクロースしたこのミッションには、覚えがないなあ」などとコメントしていた。
ファイナルのパレードランに備えてピットロードに並んだエントリー車両の一部。すでにウェットコンディションとなっているが、この直後に雨は一段と激しさを増して……。
ファイナルのパレードランに備えてピットロードに並んだエントリー車両の一部。すでにウェットコンディションとなっているが、この直後に雨は一段と激しさを増して……。

この日の富士スピードウェイは、朝からどんよりとした雲に覆われ、いつ雨が降り出してもおかしくない状況だった。梅雨時の開催とあって覚悟はしていたのだが、ときおりパラパラッとはくるものの、なんとか持ちこたえていた。ところが最後のスポーツ走行が終わるとほぼ同時に、こらえきれなかったように本降りとなり、フィナーレの全車によるパレードランの開始直前には、ゲリラ豪雨のような状態になってしまった。たちまちメインコースは水浸しとなり、視界も利かなくなってしまったことから危険と判断され、当初は2周の予定だったパレードは1周に減り、メインストレートを通過しないで終わってしまった。
あと30分、いや15分もってくれれば、グランドスタンド前を通り過ぎる400台のスカイラインが眺められたのに……それだけがちょっぴり心残りだった。

(文と写真=田沼 哲)

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