ルマン24時間2010、プジョーを先頭に開幕【ルマン 2010】

2010.06.11 自動車ニュース
集合写真におさまるプジョーのワークスチーム。予選で上位を独占し、今年は決勝での表彰台独占も狙う。
ルマン24時間2010、プジョーを先頭に開幕【ルマン 2010】

【ルマン 2010】ルマン24時間2010、プジョーを先頭に開幕

2010年6月10日、第78回ルマン24時間レース2日目の予選が行われた。結果は、予選初日にトップタイムをマークしたNo.3 プジョー908HDi-FAPがそのままポールポジションを獲得。さて、決勝レースはどんな戦いになるのか……?

こちらは、アウディ陣営で予選最高位(5位)となった9号車。
こちらは、アウディ陣営で予選最高位(5位)となった9号車。
アウディの予選順位は、プジョーに続いて5、6、7位。しかし、アウディモータースポーツ代表のウォルフガング・ウルリッヒ氏は、「2度の予選で昨年よりマシンの性能を向上させることができた」と期待のコメント。
アウディの予選順位は、プジョーに続いて5、6、7位。しかし、アウディモータースポーツ代表のウォルフガング・ウルリッヒ氏は、「2度の予選で昨年よりマシンの性能を向上させることができた」と期待のコメント。
予選トップのNo.3 プジョー908HDi-FAP。
予選トップのNo.3 プジョー908HDi-FAP。

■今年も「プジョー対アウディ」

2010年のルマン24時間耐久レースは、参加台数55台。その中でトップ争いを繰り広げるのは、去年同様プジョーとアウディだ。「908HDi-FAP」で参戦3年目を迎え、熟成の進むプジョーの目標は2連覇。一方のアウディは、去年デビューさせた「R15 TDI」の進化版(通称「R15プラス」)を投入し、リベンジを狙う。

アウディは長時間の戦いを視野に入れ、燃費向上に注力。広範囲にわたって改善を行ってきた。レギュレーションの見直しにより、リストリクターのサイズ変更など規制は厳しくなったが、入念なテスト走行を実施。空力面では、昨年のルマンで露呈したウィークポイントを徹底的に追究。レース中盤以降、頻繁に掃除を強いられたラジエターの設置箇所も変更するなどし、作業の省力化を図る。

この耐久レースで2度の優勝経験を持つNo.7 アウディR15 TDIのアラン・マクニッシュをして、「速さではプジョーにかなわないかもしれない」と言わしめるほどの状況ではあるものの、「マシンは順調に進歩しているし、チームは優勝を見据えてさまざまな開発も行っている」とのこと。レース展開については、「今年もまたものすごい接戦になるだろうね」としつつ、日本の熱心なレースファンから応援旗を贈られたことにも触れ、「僕らには“ヒューマンパワー"があるよ!」と闘志を燃やす。

当のプジョーは、9日水曜日の予選初日、最初に行われたフリー走行からトップタイムを連発。このセッションでマークしたファステストラップが去年のポールポジションタイムを2秒強上回るなど、快調そのものだ。
予選2日目は、終了30分前に3号車のセバスチャン・ブルデーが3分19秒711という驚異的なタイムで暫定ポールの座を確保。この日は結局昼過ぎから雨となり、路面コンディションの向上も望めなかったことから、トップタイムの更新はならず。そのままポールポジションはプジョーのものとなり、4位まで「908HDi-FAP」が独占することとなった。

昨年は、レース序盤のピット作業で接触事故という思わぬハプニングに見舞われるなど、表彰台の独占までは果たせなかったプジョーだが、今年はその実現も十分ありうる。

両隣の息子たちとともにサイン書きに追われるのは、元F1ドライバーのナイジェル・マンセル。
両隣の息子たちとともにサイン書きに追われるのは、元F1ドライバーのナイジェル・マンセル。
こちらは、日本でもおなじみのふたり。フェラーリを駆るジャン・アレジ(写真左)とジャンカルロ・フィジケラ。
こちらは、日本でもおなじみのふたり。フェラーリを駆るジャン・アレジ(写真左)とジャンカルロ・フィジケラ。

■F1界の有名人も参戦

さて、今年のルマンに参戦する、その他注目ドライバーも紹介しよう。

そのうちもっとも有名なのは、元F1ドライバーのナイジェル・マンセルだろう。息子ふたり(長男レオ、次男グレッグ)とともに、自らのチームで参戦する彼は、3人揃ってのインタビューで、自分のことよりも息子たちが気がかりなのか、そのコメントに熱心に聞き入ってばかり。パパぶりを発揮していた。

同じくF1界からは、ジャン・アレジとジャンカルロ・フィジケラがチームメイトとしてNo.95 フェラーリ430GTCをドライブ。1989年以来のルマン参戦となるアレジは、他のカテゴリーでサルトサーキットを経験済みとはいえ、24時間の耐久レースはやはり特別と評する。「でも、ただ走るだけじゃ満足しない。GT2クラスでの優勝を目指してベストを尽くすよ」と笑顔を見せた。

ほか、元F1ドライバーだけでも名前を挙げればキリがない。ルマンは、華やかさの点ではF1に一歩譲るかもしれないが、なによりもドライバー自身がレースを楽しんでいる。去年の総合ウィナーのひとり、デビッド・ブラバムは今年、ひとつ下のクラス、LMP2からの参加だが、「どのカテゴリーで走ってもいい。ルマンに参加できるということが誇りなんだ」と、その魅力を教えてくれた。

日本チームとして唯一参戦しているのが、JLOC(日本ランボルギーニオーナーズクラブ)。日本のSUPER GTにも参戦する(写真左から)山西康司、余郷敦、井入宏之の3人がステアリングを握る。
日本チームとして唯一参戦しているのが、JLOC(日本ランボルギーニオーナーズクラブ)。日本のSUPER GTにも参戦する(写真左から)山西康司、余郷敦、井入宏之の3人がステアリングを握る。
ごらんのように、「アートカー」としてカラフルなカラーリングが施されたBMWもコースを疾走。
ごらんのように、「アートカー」としてカラフルなカラーリングが施されたBMWもコースを疾走。

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■日本でおなじみの顔も

SUPER GTやフォーミュラ・ニッポンといった国内レースで活躍するブノワ・トレルイエとアンドレ・ロッテラーのふたりも、8号車の「アウディR15 TDI」で参戦する。優勝経験豊富なワークスチームからの出走は、彼らにとってもビッグチャンス。表彰台の一角も夢ではない。

さらに、去年フォーミュラ・ニッポンを制したロイック・デュバルは、No.4 オレカマットムートプジョーから参戦。ワークスではないものの、「プジョー908HDi-FAP」をドライブする機会に恵まれた。今年は日本と欧州を忙しく行き来しているが、「飛行機を降りて、サーキットに行って、そしてクルマに乗り込むだけだよ」と屈託がない。予選ではアウディ、プジョーのワークスチームの間に割って入り、4位を獲得。彼らのトップ争いがルマンでも見られるかもしれない。

そして日本から参戦するNo.69 JLOC。今年で4回目のルマンチャレンジとなるが、まだ完走は果たしていない。とはいえ、昨年、岡山国際サーキットで初開催されたアジアン・ルマンでクラス優勝したこともあり、期待はできる。観客の人気も高い、参加55台中唯一のランボルギーニ(ムルシエラゴ)。野太いサウンドを最後まで響かせてもらいたい。

例年どおり、ジャコバン広場での公開車検から始まったルマン24時間レース。やや不安定な天候が続いているが、雨に限らず、これからどのチームも数々の不安要素と戦わなくてはならない。
今年は、どんな「24時間ドラマ」が繰り広げられるのか。決勝は6月11日土曜日、現地時間の午後3時に幕を開ける。

(文と写真=島村元子/text&photo=Motoko Shimamura)

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