元アウディのデザイナーが手がけるEV、日本で誕生!?

2010.06.01 自動車ニュース

元アウディのデザイナーが手がけるEVが日本で誕生!?

京都府に本社をかまえるナノオプトニクス・エナジーは2010年5月27日、同社が開発する電気自動車(EV)のデザイン担当者を発表した。

■新しい価値に向かっての一歩

「ナノオプトニクス・エナジー」という会社をご存じだろうか。環境エネルギーを得意とするベンチャー企業であるが、最近はEVの分野でも注目を集めている。

2009年8月、慶應義塾大学の清水浩教授が中心になり設立されたEV研究開発会社「シムドライブ」のプロジェクトに名を連ねると、2010年3月には鳥取県米子市のJT工場跡地にEV工場を建設すると表明した。そして5月27日、今度はEV事業のクリエイティブデザイナー決定と、米子工場におけるITを用いたエネルギー管理網構築についての発表があった。

エネルギー管理については、ユビキタス技術を駆使したオフィスビル内のエネルギー管理を中心事業とする会社「ユビテック」との業務提携が紹介されたが、この日最大のニュースは同社が起用したデザイナーについてであろう。元アウディで、今年1月から自らの会社「SWdesign」を立ち上げた、和田智氏だったからだ。

アウディの和田氏がどうしてEVを? と不思議に思われる読者も多いかもしれないが、発表会で本人から直接説明を聞くことで、同氏のEVにかける思いが理解できた。

和田氏がアウディに入る前、日産のデザイナーとして活躍していたことはよく知られている。そこでの最後の作品となったのが、超小型EV「ハイパーミニ」だった。
「ハイパーミニはわずか3〜4人で進めていたプロジェクトで、社内から冷たい視線を送られることも多かったのですが、将来を見据えたクルマということで、個人的には意欲的に取り組むことができました」

アウディに移ってからは、「A6」「Q7」「A5」といった市販車のほか、コンセプトカー「アヴァンティッシモ」「パイクス・ピーク・クワトロ」も手がけ、海外メーカーで活躍する日本人デザイナーの第一人者となった。ところが当の和田氏は5年ほど前から、「次の一歩」を考えていたという。
「EVが目的だったわけではありません。新しい価値を提供する仕事がしたいと考えたのです。アウディの上司に思いを伝えると『私もまったく同じ気持ちを抱いている。挑戦してみなさい』と気持ちよく送り出してくれました」

■EV、だけど人間らしく

ナノオプトニクス・エナジーでCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)という役職に就いた和田氏は、エクステリアだけでなく車体設計の部分から関与していく予定。さらにはインフラや工場も手がけることで、グランドデザインとしての美しさを目指していくという。
コンセプトとして掲げたのは「primitive(原始的な)」。ハイテクに走るだけでなく、人間らしさを大切にし、原点に立ち返るという意味を込めたもので、EVだからモダンというイメージにとらわれないことを示している。さらに和田氏は、「美しい奇跡」を生み出す気持ちで取り組むと思いを語った。

おりしもナノオプトニクス・エナジーとつながりのあるシムドライブは、2010年1月の発表会で、デザインディレクターに元ピニンファリーナの奥山清行氏の起用を表明したばかり。海外で活躍した日本人デザイナーと和製EVベンチャーのジョイントは、これで2組目となる。

単なる偶然だろうか? そうではないはずだ。クルマは大きく、速く、豪華なものほどエライと考える人はまだ多い。しかしクリエイターには、社会や環境との調和というテーマのほうが、新鮮に映るのではないだろうか。生まれ育った国のベンチャー企業がそういったテーマに取り組んでいると知れば、地位や名誉とは無関係に参加したくなるのは自然な流れといえる。米子工場は2010年の夏にJTからの引き渡しを終え、2011年春に操業を開始。2012年には車両が発売されるという。時代は少しずつ、しかし着実に動いていることを実感した発表会だった。

(文と写真=森口将之)

ナノオプトニクス・エナジーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任した和田智氏。
ナノオプトニクス・エナジーのチーフ・クリエイティブ・オフィサーに就任した和田智氏。
和田氏がアウディ在籍時に手がけたモデルの数々。
和田氏がアウディ在籍時に手がけたモデルの数々。
「日産ハイパーミニ」
「日産ハイパーミニ」
和田氏が使ったチャートは、他の自動車メーカーに戦いを挑むのではなく、人、モノ(EV)、エネルギーが調和することで地球環境に貢献していくようなデザインを目指すという考えを示したもの。
和田氏が使ったチャートは、他の自動車メーカーに戦いを挑むのではなく、人、モノ(EV)、エネルギーが調和することで地球環境に貢献していくようなデザインを目指すという考えを示したもの。
左から、株式会社ユビテック代表取締役・荻野司、SWdesign代表・和田智、ナノオプトニクス・エナジー代表取締役社長・藤原洋、鳥取県知事・平井伸治。
左から、株式会社ユビテック代表取締役・荻野司、SWdesign代表・和田智、ナノオプトニクス・エナジー代表取締役社長・藤原洋、鳥取県知事・平井伸治。
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