【スペック】全長×全幅×全高=4380×1865×1241mm/ホイールベース=2600mm/車重=1680kg/駆動方式=FR/5.9リッターV12DOHC48バルブ(517ps/6500rpm、58.1kgm/5750rpm)/価格=2173万5000円(テスト車=2238万2850円/ライトウェイトシート=23万3100円/ブライトフィニッシュグリル=5万400円/フロントパーキングセンサー=5万400円/ピアノブラックベニア=8万4000円/アストン・マーティン700wプレミアムオーディオ=17万9550円/ポリッシュドアロイトレッドプレート=5万400円)

アストン・マーティンV12ヴァンテージ(FR/6MT)【試乗記】

モータースポーツ香る 2010.05.17 試乗記 アストン・マーティンV12ヴァンテージ(FR/6MT)
……2238万2850円

アストン・マーティンの2シータースポーツ「ヴァンテージ」シリーズに、V12ユニットを搭載する最強モデルが登場! その実力や、いかに?

ため息をつくことでしょう

「タイヤひと転がりでクルマがわかる」と笑いながらおしゃった評論家はどの方だったか。「アストン・マーティンV12ヴァンテージ」はしかし、駐車場からハンドルを切りながら発進しただけで、存分に「ただ者でない」ことを感じさせるスポーツカーである。「V8ヴァンテージ」のボディに、「DB9」のそれをチューンした「DBS」ゆずりの5.9リッターV12(517ps、58.1kgm)をフロントに押し込んだホットモデル。ゆっくりと動き始めたとたん、ステアリングホイールを握る手と路面とのダイレクトな関係に驚く。舗装の上に、薄いセロファンを敷いて手のひらをつけているかのよう。足元の19インチホイールには、前255/35、後ろ295/30サイズの薄いゴムを巻いている。

アクセルペダルを踏む量に対する5.9リッターV12ユニットの反応がまた緊密で、右足の先にすこし力を入れただけで、軽合金で構成された2ドアクーペは軽くスピードにのる。高速道路の料金所で戯れにペダルを床まで踏みつけてみると、12気筒ヴァンテージは身震いして後輪を鳴らす。乱れそうな姿勢を制御する DSC(Dynamic Stability Control)を作動させながら。

そして570Nm(58.1kgm)というぶっといトルクゆえ、「ターボ!?」と錯覚させる怒濤(どとう)の加速を示し、もちろん過給器付きエンジンの無粋な「爆発」を見せることなく直線的に速度を上げていく。1速で70km/h超、6000rpm手前からシフトアップインジケーターが点灯をはじめ6750rpmでギアを変える。回転計の針は4500rpm付近に落ちるがすぐさま6500rpmのピークパワーに向かって貪欲(どんよく)に回転を上げる。潤沢なアウトプットによる急角度の速度上昇とごく短い期間で訪れるシフトアップの連続ゆえ、「V12ヴァンテージ」の6段MTはずいぶんとクロースしているように感じられる。最新アストンの0-100km/h加速は、「DBS」のそれを0.1秒うわまわる4.2秒だとか。

忙しい作業が一段落すると、締まった足まわりとバランスよく安定した走りがもたらすクールで硬質なハイスピードクルージングを堪能できる。もしも自分が「V12ヴァンテージ」のオーナーならば、スピードに飽いてブレーキで速度を殺すとき、満足のため息をつくことでしょう。そのとき思い浮かべるのはジェームズ・ボンドか、新世代アストン・マーティンのレースカーか。

コクピットのデザインは、基本的に「V8ヴァンテージ」と同じ。スエードのステアリングホイールや、カーボン製のドアプルは、このモデルならではの特徴だ。
コクピットのデザインは、基本的に「V8ヴァンテージ」と同じ。スエードのステアリングホイールや、カーボン製のドアプルは、このモデルならではの特徴だ。
乗降時にまたぐサイドシルには、「V12ヴァンテージ」のネームプレートが輝く。
乗降時にまたぐサイドシルには、「V12ヴァンテージ」のネームプレートが輝く。

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