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【スペック】全長×全幅×全高=4080×1740×1395mm/ホイールベース=2435mm/車重=1130kg/駆動方式=FF/1.5リッター 直4SOHC16バルブ(114ps/6000rpm、14.8kgm/4800rpm)、モーター(14ps/1500rpm、8.0kgm/1000rpm)/価格=249万8000円(テスト車=310万9500円)

ホンダCR-Z α(FF/6MT)【試乗記】

草食系「グリーンマシン」 2010.04.30 試乗記 ホンダCR-Z α(FF/6MT)
……310万9500円


受注好調が伝えられる「CR-Z」。MTとCVT、買うならどっち? 売れ線「白のアルファ」に乗って、下野康史の出した答えは?
【テスト車のオプション装備】
車体色(プレミアムホワイトパール)=3万1500円/Honda HDDインターナビシステム(リアワイドカメラ付き)+ETC車載器=28万6000円/スカイルーフ=10万5000円/本革シート=10万5000円/前席用i-サイドエアバッグシステム+サイドカーテンエアバッグシステム=8万4000円
ホンダCR-Z α(FF/6MT)【短評】

え、日本向けじゃなかった?

ニッポンのクルマ好き再興のために送り出されたホンダ渾身(こんしん)の作、かと思ったら、「CR-Z」は実は対欧戦略車である。現在、市場シェアで5%にも満たないヨーロッパでのプレゼンスを上げるために、若年層向きのコンパクトスポーツとしてつくられたのがこのクルマだ。

IMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)と呼ばれるホンダのシンプルなハイブリッドは、複雑な動力分割機構をシステムの中心に置くトヨタ方式と違って、マニュアル変速機に対応しやすいのがメリットである。「クルマはマニュアル」が今もあたりまえのヨーロッパ向けに、当然、MT仕様がラインナップされた。というか、欧州仕様のCR-ZはMTモデルのみである。日本も、フタを開けてみると販売の4割がMTだという。ちなみに、MTもCVTも価格は同じだ。MTの「α(アルファ)」(249.8万円)に乗って、「『CR-Z』はMTかCVTか」というモンダイを考察してみた。

ハイブリッドと気づかない

「CR-Z」は「インサイト」をベースにした2+2の3ドアスポーツクーペである。車台と足まわりは「基本インサイト」だが、“スポーツ化”するためにパワーユニットは強化された。4気筒i-VTECは2バルブの1.3リッターから4バルブの1.5リッターに代わり、エンジン出力はインサイトの88psから114ps(CVTは113ps)に向上している。
一方、14psのモーターや駆動用バッテリーは変わらない。試作段階では、エンジンを1.3リッターのままにして、モーターの出力のほうを上げるトライもやってみたらしいが、コスト面での制約もあり、厚さ6cmの薄型モーターを使うコンパクトなインサイトの電動アシストメカを流用することになった。

このことが、まさにCR-Zというハイブリッドカーの性格を特徴づけている。このクルマ、IMA独特の“電動アシスト感”が希薄なのだ。つまり、ハイブリッドらしさがあまりない。電力系はイジらずに、エンジンだけをパワーアップした。相対的にモーターのプレゼンスが減じたのだから、そうなるのも当然だ。停車すればアイドリングストップするので、エコカーということは意識させるものの、アイドリングストップしなければ、ハイブリッドであることに気づかない人もいると思う。
だから、MTのCR-Zは、フツーのエンジン車のMTとそう変わらない。CR-Zの新趣向は「スイッチひとつで走りのテイストを選択できる」3モードドライブシステムだ。ノーマルのほかにエコノミーとスポーツがあり、パワーユニット/CVT/ステアリング/エアコンなどの作動特性をモードに合わせて統合制御する。MTモデルにも標準装備されるが、ギアチェンジはドライバーの仕事だから、当然、変速機の制御はカットされる。

さらに細かい話をすると、アイドリングストップが長く続いて、駆動用バッテリーの電圧が低下しても、CVTのように自動でエンジンが再始動することはない。ギアがニュートラルなら勝手にエンジンがかかってもいいはずだが、それをやるとMTドライビングとの間にソゴが生じて、違和感を与えてしまうからだそうだ。電圧が低下しても、MTの場合、計器盤に「クラッチペダルを踏んでエンジンを再始動させてください」というメッセージが出るだけである。ハイテク次世代車とはいえ、MTモデルは文字どおりマニュアル領域が広いわけだ。

同じホンダのハイブリッド「インサイト」とは違い、「CR-Z」はMTモデルが選べる。受注割合はCVTが6割で、MTが4割(2010年3月時点)。
同じホンダのハイブリッド「インサイト」とは違い、「CR-Z」はMTモデルが選べる。受注割合はCVTが6割で、MTが4割(2010年3月時点)。 拡大
メーターパネルの右側には、走行モードを選ぶスイッチが(上からSPORT/NORMAL/ECONの順に)並ぶ。
メーターパネルの右側には、走行モードを選ぶスイッチが(上からSPORT/NORMAL/ECONの順に)並ぶ。 拡大
計器部中央のリング「アンビエントメーター」は、走行モードと走り方によって、その色が変化する。通常は、青または緑。「スポーツモード」選択時は写真のように赤になる。
計器部中央のリング「アンビエントメーター」は、走行モードと走り方によって、その色が変化する。通常は、青または緑。「スポーツモード」選択時は写真のように赤になる。 拡大
ホンダCR-Z α(FF/6MT)【試乗記】の画像 拡大

やっぱり期待は“あのモデル”

もっぱら街なかでMTのCR-Zを走らせていて、気になることもあった。アイドリングストップに入るタイミングがちょっと早すぎるのである。たとえば、一時停止箇所のような場面。なにもエンジンきれなくていいのに、と思うところできれてしまう。CVTならアクセルを少しでも踏めば再始動するが、MTの場合、左足を床まで踏みきらないとかからない。クラッチペダルそのものは軽いが、動きが大きいので面倒くさく感じる。もう少しアイドリングストップを待つ設定に変えたほうがいいと思う。

しかし、個人的にはやはりCVTよりMTをとる。CVTだと、動力性能がややモッサリした印象になる。とくにエンジン回転の落ちが悪くなるのがいやである。とはいえ、MTのCR-Zだって、「シビック タイプR ユーロ」のようなガツンとくるスポーティカーではない。アイドリング付近のトルク感はオヤッと思うほど細いし、6600rpmのレブリミットまで回しても、アドレナリンは出ない。そこはやっぱり草食系の「グリーンマシン」である。
ヨーロッパでトルクのぶっといターボディーゼルのコンパクトスポーツハッチと戦うのは、けっこうタイヘンかもしれない。だからホンダさん、CR-Zの“タイプR”お待ちしてますよ。

(文=下野康史/写真=河野敦樹)

テストドライバーもデザイン決定に加わったというこだわりのシフトノブ。写真の、アルミに本革を巻いた球形のものは「α(アルファ)」用で、「β(ベータ)」用のモノは形状が異なる。
テストドライバーもデザイン決定に加わったというこだわりのシフトノブ。写真の、アルミに本革を巻いた球形のものは「α(アルファ)」用で、「β(ベータ)」用のモノは形状が異なる。 拡大
ワンモーションフォルムに躍動感と凝縮感を表現したという「ホンダCR-Z」のサイドビュー。「低・短・ワイド」をコンセプトに掲げるその寸法は、同社のハイブリッドセダン「インサイト」より310mm短く、45mm幅広く、30mm低い。
ワンモーションフォルムに躍動感と凝縮感を表現したという「ホンダCR-Z」のサイドビュー。「低・短・ワイド」をコンセプトに掲げるその寸法は、同社のハイブリッドセダン「インサイト」より310mm短く、45mm幅広く、30mm低い。 拡大

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