中国クルマ事情早わかり(その2)〜クルマを買うのはどんな人?【北京モーターショー2010】

2010.04.27 自動車ニュース
北京の町を走るメルセデス・ベンツと自転車。大都会ではよく見る風景だ。
中国クルマ事情早わかり(その2)〜クルマを買うのはどんな人?【北京ショー2010】

【北京モーターショー2010】中国クルマ事情早わかり(その2)〜クルマを買うのはどんな人?

2009年、中国の経済規模は日本に追いつき、2010年はアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国になるのが確実だ。とはいえ、彼の国の人口は日本の10倍を超える13億人。国民1人あたりの所得は10分の1以下ということである。「なのにどうしてクルマが日本の3倍も売れるの?」「一体どんな人が買っているの?」と、首をかしげる向きも多いだろう。

農村部では3輪バイクも大活躍。
農村部では3輪バイクも大活躍。
上海GMのベストセラー「ビュイック・エクセル」。写真は最近追加された5ドアハッチバックの「エクセルXT」。
上海GMのベストセラー「ビュイック・エクセル」。写真は最近追加された5ドアハッチバックの「エクセルXT」。

■どうしてこんなに売れる?

そのナゾを解く鍵は“格差”にある。中国では都市部にざっと6億人、農村部に7億人が暮らしているが、両者の間には大きな所得格差があるのだ。中国政府の統計によると、都市住民の1人あたりの年間可処分所得(2009年)は23万円ほど。一方、農村住民は7万円にとどかず、実に3倍以上の開きである。

これは1人あたりの金額だから、都市の1世帯あたり可処分所得は3人家族なら70万円近くになる。都市の中でもさらに豊かな北京、上海、広州などでは、1世帯あたり可処分所得は100万円を超える。

ということは、固く見ても都市住民の3割から半分、つまり2〜3億人が、すでにクルマを買える生活水準に達していると考えていいだろう。中国でも、クルマはもはや一部のお金持ちだけのものではないのだ。フツーの市民たちが主役の、本格的なモータリゼーションに突入しているのである。

北京のタクシーの多くは北京ヒュンダイの旧型「エラントラ」だ。
北京のタクシーの多くは北京ヒュンダイの旧型「エラントラ」だ。
「北京の六本木」と呼ばれる三里屯の大型ショッピングモール。日本のユニクロも出店している。
「北京の六本木」と呼ばれる三里屯の大型ショッピングモール。日本のユニクロも出店している。
三里屯付近を走行中の「ポルシェ・カイエン」。週末の夜には本当によく見かける。
三里屯付近を走行中の「ポルシェ・カイエン」。週末の夜には本当によく見かける。

■どんなひとが買っている?

今の中国でクルマの購入意欲が最も高いのは、「白領(バイリン)」と呼ばれる都市の若いホワイトカラーだ。日本の高度成長期と同様に、若者にとってクルマは一種のステータスシンボル。月給は5000元(約7万円)くらいでも、コンパクトカーでは友人にイバリが効かないからと、背伸びして1.6リッタークラスの小型車を買うケースが多い。

前回のランキングに出てきた北京ヒュンダイの「エラントラ」や上海GMの「エクセル」がこのクラスのベストセラーで、価格は10万元(約135万円)前後だ。日本車では東風日産の「ティーダ」なんかが白領に人気が高い。

事業や不動産でもうけたお金持ちも、むろん健在だ。こちらは今、高級車や個性的なクルマ(SUVやスポーツカー)にシフトしつつある。メルセデス・ベンツは昨年、中国で「Sクラス」を1万5000台も売った。これは国別の販売台数で世界一だ。ポルシェの販売台数は約8600台で、すでに日本(約3200台)の2倍以上である。「北京の六本木」と呼ばれる三里屯界隈に行くと、Sクラスや「ポルシェ・カイエン」がうじゃうじゃと走っている。

ちなみにフェラーリは約200台とまだ少ないが、今後は急速な拡販を狙っている。「599GTO」のワールドプレミアを北京モーターショーにぶつけたのは、確固たる需要の裏付けがあるからなのだ。

北京の郊外にある汽車城。ここはアメリカ車のディーラーが集まる一角。
北京の郊外にある汽車城。ここはアメリカ車のディーラーが集まる一角。
こちらは農村部の業販店。駐車場ではありません。
こちらは農村部の業販店。駐車場ではありません。
ガソリンスタンドの看板の「93」はレギュラー、「97」はハイオク。「98」はスーパープレミアムか?
ガソリンスタンドの看板の「93」はレギュラー、「97」はハイオク。「98」はスーパープレミアムか?

■クルマはどこで買う?

クルマのディーラーは、都市部ではメーカー系列の専売店が主流。一方、田舎町や農村部では複数のブランドを扱う業販店が多い。ここまでは日本と同じである。

中国ならではの特徴は、「汽車城(チーチェーチョン)」と呼ばれるクルマの“専門店街”があることだ。かつては個人経営の業販店、部品屋、修理屋などが無数に軒先を並べる市場みたいなところだったが、近年は広大な敷地に専売ディーラーをいくつも集めた汽車城が増えている。ここに来れば、お客さんはさまざまなメーカーのクルマを見て、試乗して、比較検討できるわけだ。

クルマのように大きな買い物をする時、中国人は家族や友人と連れだって出かけ、皆で「ああでもない、こうでもない」と品定めする習慣がある。おかげで週末になると、ディーラーのショールームは大勢の来店客で文字どおりごったがえす。商戦のピークである旧正月前は、歳末のデパート並みに混雑することも珍しくない。

クルマを買う時にかかるお金は、車両価格(付加価値税を含む)に加え、取得税にあたる「購置税」、自動車税にあたる「車船税」、強制保険、任意保険などが必要。諸費用の合計は1.6リッタークラスで15万円くらいだ。ちなみに、ガソリンの価格は地方ごとに政府が決めており、どこのガソリンスタンドでも同じ。北京の場合、レギュラーに相当する「93号汽油」が1リッターあたり6.92元(約94円)である。中国との物価差を考えると、日本だったら200円以上する感覚だ。

(文と写真=岩村宏水)

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