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【スペック】全長×全幅×全高=4870×1795×1470mm/ホイールベース=2850mm/車重=1850kg/駆動方式=FR/3.5リッターV6DOHC24バルブ(296ps/6400rpm、37.5kgm/4800rpm)、交流同期電動機(200ps、 28.0kgm)/価格=620万円(テスト車=638万6900円)

トヨタ・クラウンハイブリッド“Gパッケージ”(FR/CVT)【ブリーフテスト】

トヨタ・クラウンハイブリッド“Gパッケージ”(FR/CVT) 2010.04.06 試乗記 ……638万6900円
総合評価……★★★

トヨタ伝統のブランド「クラウン」のハイブリッドモデルも、デビューから約2年が経った。エコカー市場が拡大する今、その魅力を再確認する。

新たな“日本の高級車”として

2010年2月にマイナーチェンジを受けた新型「クラウン」の広告を見ると、大きくうたわれているのは環境性能の話であり、エコカー減税の話であり、そして価格の話である。そしてビジュアルを見ても、前面には「ハイブリッド」が立ち、「アスリート」と「ロイヤル」を従えている。まるで今がどんな時代かを象徴しているようであり、またクラウンのラインナップの中でのハイブリッドの役割の大きさが、よく表れているように思う。
変更されたポイントはアスリート/ロイヤルに比べると少ない。エクステリアの意匠がこれまでのアスリートに準じたものからロイヤル系のそれに変更されたのが、最大のトピックと言ってもいいだろう。個人的には、やたら青が目立った前後のレンズの色が落ち着いたのも小さくない変更だと感じる。また、それを含めた装備の見直しなどによって、価格が引き下げられているのも目をひくところだろうか。
しかし、それはクラウンハイブリッドが、今の時代に対応する十分な商品力をすでに持っていたということだとも解釈できる。実質的にフラッグシップとなるモデルにふさわしい345psのシステム出力と、15.8km/リッターという好燃費との両立したハイブリッドシステムの実力は、今もまだ追随する者は現れていない。そしてあらためて走らせてみても、その魅力を十分に堪能することができた。
とはいえ、先進的なハイブリッドというパワートレインを得て、良くも悪くもクラウンの歴史や伝統に縛られたクルマの、時代と乖離(かいり)した感覚が、より強調されてしまっている感はある。メーター意匠や煩雑なスイッチ類に代表されるようなインテリアのしつらえであったり、シートのつくりであったり、あるいは走りの感触についても、あくまで“日本の高級車”として、新たな次元を志向してもいいころでは? そんなクラウンのハイブリッドだからこそ面白いのだとも思いつつ、未来へ通じるなにかにも期待を抱いてしまった。時代は刻一刻と変化しているのだから。

【概要】どんなクルマ?

(シリーズ概要)
2008年2月にフルモデルチェンジを果たし、13代目となったトヨタの高級サルーン「クラウン」。伝統の「ロイヤル」、スポーティな「アスリート」と、ハイブリッドシステムを搭載する「ハイブリッド」の3本立てで構成される。エンジンラインナップは2.5、3、3.5リッターのガソリンに加え、3.5リッターエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドまで取り揃えられる。

(グレード概要)
「クラウンハイブリッド」は、2008年5月に発売。今回、2010年2月のマイナーチェンジで、「アスリート」由来だったフロントマスクは「ロイヤル」ベースのものへと変更された。機関面では従来と変更はなく、3.5リッターV6エンジン(296ps/6400rpm、37.5kgm/4800rpm)とモーター(200ps、28.0kgm)を組み合わせたハイブリッドシステム「THS II」を搭載する。
今回の試乗車は上級装備を与えられた新グレード「Gパッケージ」。プリクラッシュセーフティシステムやレーダークルーズコントロールなどの安全・快適装備や、本革シートなどが与えられる。


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TFT液晶パネルに映し出されるメーターは、走行モード(ノーマル、エコ、スポーツ)によってカラーリングが変更される。写真は「スポーツ」モード時のもの。
TFT液晶パネルに映し出されるメーターは、走行モード(ノーマル、エコ、スポーツ)によってカラーリングが変更される。写真は「スポーツ」モード時のもの。 拡大

【車内&荷室空間】乗ってみると?

(インパネ+装備)……★★
乗り込んですぐ明るい雰囲気を感じたのは、インストゥルメントパネル手前側の合皮が貼られた部分が、シートと同じ明るい色調とされたことが大きい。他にも、木目調パネルの模様を変更し、シルバーの加飾もこれまで以上に各部にちりばめられるなど、変更点はいずれも細かなだが、効果は十分と言えそうである。
TFT液晶パネルにアナログ計風のメーターを映し出すファイングラフィックメーターは機能的には不満は無いが、相変わらず絵柄がおもちゃっぽいのが残念。TVゲームじゃないのだ。“高級車”クラウンにふさわしい、もっと格調あるグラフィックがあるだろう。視認性の面でも、たとえばクルーズコントロールの速度表示など、一目見てすぐに理解できるものにはなっていない部分もある。
スイッチ類も、ハイブリッド関連のものなどが付け足されたことで煩雑さを増している。古くからのユーザーを大切にする姿勢はわかるが、それならばなおのこと、視認性、操作系全般はトータルで見直しを図るべきではないだろうか。

(前席)……★★★
フロントシートは典型的なクラウンらしいもの。室内を広く見せるためなのか座面のサイズは小さく、ちょこんと腰掛けるような感じになる。バックレストの形状も、腰を深く入れると肩が浮き、肩で合わせると腰まわりのサポートが期待できないなど、どうにもしっくりこない。そんなにたいした距離を乗ったわけでもないのに、クルマに乗って久しぶりに腰が痛くなってしまった。
一方、さすがだなと思わせるのは視界の良さだ。前方はワイパーに邪魔されることなくボンネットフードがしっかり見えるし、これだけハイデッキに見えて、後方だって決して見えにくくはない。ステアリングもよく切れて、取り回し性は上々。その点でサイズを意識させないのは高く評価できる。

(後席)……★★★
前席と同様、シートは小振り。せめて、もう少しお尻の部分がきれいに沈み込んでくれれば体が落ち着いて、小ささを感じずに済むのではないだろうか。広さ自体は十分に確保されていて、前席を身長177cmの筆者のポジションに合わせた状態でも膝の前には握り拳が縦にひとつ、ゆうに入るだけの余裕があるし、つま先を前席座面の下に入れられるから足元も見た目よりさらに広く使える。頭上も余裕しゃくしゃくだ。

(荷室)……★★★★
後席の背後にハイブリッドシステム用のニッケル水素バッテリーが設置されることからラゲッジスペースはクラウン他グレードに対して148リッター減の376リッターにとどまる。とはいえ奥行きはそれほど狭くはないし、幅は非常に広く、またトランクリッドもバンパーレベルまで大きく開くことから思った以上に詰め込むことができるし、使い勝手も悪くはない。カーペットが全面にしっかり貼られているのもマル。天井側は鉄板むき出しということ、いわゆるプレミアムブランドの輸入車にだってままあることなのだ。

【ドライブフィール】運転すると?

(エンジン+トランスミッション)……★★★★
低回転域から加速をアシストするモーターの力はやはり大きく、首都高の合流のような場面でも、右足に軽く力を入れるだけで速やかに欲しいだけの加速力を手に入れることができるので、運転がとても楽に感じられる。感覚的には、その時のアクセル開度は普通の3.5リッターの半分程度にも思える。
スポーツモードに入れれば、レスポンスはさらに高まる。しかし全開にしてしまえば加速はほぼ一緒。それなら普段はノーマル、もしくはエコで十分だろう。いや、そもそもモードはエコとスポーツの2段階でいいのではないだろうか。
エネルギーモニターと瞬間燃費計に気を配りながらアクセルの踏み加減を調節して、燃費良く、速さを犠牲にしないところを探って走る、トヨタTHS IIハイブリッドシステムに共通の知的な楽しさは、クラウンハイブリッドにも受け継がれている。そうやって高速道路を法定速度内で走らせていると、リッター当たり15〜20kmをキープし続けることすら可能。動力性能を考えれば、十二分に納得できる数値と言えるだろう。
静粛性の高さも印象的だった。モーターによる発進の際のみならず、エンジン回転数が低く抑えられる高速巡航中の室内も、とても静か。アクティブノイズコントロールや騒音を抑えた専用タイヤも効いているのだろう。

(乗り心地+ハンドリング)……★★★
走り始めてしばらくの間は、フワフワ頼りない感触に不安を覚えて「ああクラウンっぽいな」と思うのだが、昔とは違って、ペースを上げるにつれてステアリングの据わり感にしろ乗り心地にしろ、あらゆる部分がしっとりと落ち着いてくる。一番気持ちが良いのは、法定速度をやや下回るくらいの速度域。そう、パワートレインのスイートスポットと一緒である。つまりこのあたりでクルージングするのが、クラウンハイブリッドのもっともおいしい味わいかたなのだろうと理解できる。
細かく観察すれば、他にも不満はある。特に、普段は柔らかいのに、大きめの目地段差などを越えた時に思いのほか強く突き上げてくる乗り心地は、登場当時と変わっていない。ボディ剛性、大幅に増えた車重、バネ下の重さなど理由は絡み合っていそうだが、これが走りの質を低く感じさせることにもつながっている。
ワインディングロードでの走りも、2年前のデビュー時には悪くないと思っていたのだが、今回ほぼウェットでタイトコーナーの連続するところを走らせた時には、クルマとの一体感が得られず楽しめなかった。走らせる状況によって印象が変化するのは、本質的には何か問題があるのかもしれない。車重のせいだろう、10kmくらい軽くペースを上げて走らせただけでブレーキが焦げ臭いにおいを発していたのもマイナスポイントである。

(写真=郡大二郎)


トヨタ・クラウンハイブリッド“Gパッケージ”(FR/CVT)【ブリーフテスト】

【テストデータ】

報告者:島下泰久
テスト日:2010年3月24日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2010年型
テスト車の走行距離:1377km
タイヤ:(前)225/45R18(後)同じ(いずれも、ダンロップSP SPORT2050)
オプション装備:インテリジェントパーキングアシスト+クリアランスソナー&サイドモニター(9万7650円)/トヨタプレミアムサウンドシステム(8万9250円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(4):山岳路(3)
テスト距離:201.1km
使用燃料:20.0リッター
参考燃費:10.0km/リッター