マクラーレンの新型スポーツカー誕生!

2010.03.24 自動車ニュース

新型スーパースポーツ「マクラーレンMP4/12C」デビュー

2010年3月18日、マクラーレンは新しいハイパフォーマンススポーツカー「マクラーレンMP4/12C」を2011年前半に発売すると発表、あわせて車両の詳細を公開した。

■お値段控えめ、3000マン

マクラーレンといえば、フェラーリと並ぶ名門F1チームである。1966年に初参戦して以来、これまでに164勝を挙げ、8度もワールドチャンピオンに輝いた。最近では、2008年にルイス・ハミルトンがドライバーズチャンピオンを獲得したことは記憶に新しい。

そんな彼らが、公道を走るスポーツカーを造るという。言ってみれば、最大のライバルであるフェラーリに自動車メーカーとして勝負を挑むようなものである。果たして、彼らに勝ち目はあるのだろうか?

よく知られているとおり、マクラーレンはこれまでに「マクラーレンF1」と「メルセデス・ベンツSLRマクラーレン」というふたつのロードカーを手がけている。それらに比べると、今回発表された「MP4/12C」は“ややおとなしい”と言えなくもない。価格だけを見ても、マクラーレンF1の約1億円(!)やSLRマクラーレンの6000万円前後に対して、ベース価格が12万5000〜17万5000ポンド(約1700〜2400万円。実質的には3000万円前後となる見通し)になると発表されている。つまり、これまでの超ド級スーパースポーツカーから、たとえば「フェラーリ430スクーデリア」あたりまで価格帯を下げてきたことが、MP4/12Cの最大の注目点といえるだろう。

■骨の髄までマクラーレン

ただし、内容に関しては一切の手抜きがない。それは、F1チームとしてのマクラーレンを成功に導いたロン・デニスの完璧主義が反映されたものといえる。F1チームといえば、最近はどこも病院のように掃除が行き届いているが、そのなかにあってもマクラーレンの清潔さは別格で、ガレージ内はどこもピカピカに磨き上げられ、すべてが一分のすきもないほど整理されている。同じことは、ノーマン・フォスターがデザインしたマクラーレン本社(マクラーレン・テクノロジー・センター)にも言える。いったい、どこのF1チームが、大理石を敷き詰めたかのようなフロアでマシンの整備を行っているというのだろうか?

そういった“マクラーレン・スタンダード”を知っている者にとって、MP4/12Cの緻密(ちみつ)な仕上がりはある意味、当然のものである。カーボンコンポジット製モノコックを使用する基本構成はこのモデルにも引き継がれている。MP4/12Cのために開発された3.8リッターV8ターボエンジンは600bhp以上を発生し、最高速は200mph(約320km/h)以上、0-400mのタイムは11秒前後、0-200km/h加速は10秒以下というとてつもないパフォーマンスを発揮する。

しかも、動力性能のみならず、運動性能も徹底的に追求した点がいかにもF1チームらしい。たとえば、200km/hから停止するまでに要する時間はわずか5秒以下。100km/hからの停止であれば3秒以下で事足り、その距離は車両の全長7台分(おそらく30mほど!)しか必要としないというのだから、驚くしかない。こうした驚異的な制動能力を可能にしているものの一部に、エアブレーキがある。これは通常のフットブレーキに連動して動作するリアスポイラーの一機能で、ドライバーがブレーキを強くかけるとリアウィングがつい立てのように切り立った角度となり、空気抵抗を増やして制動距離を短くするとともに、リアのダウンフォースを増やして車体のスタビリティを確保するというもの。SLRマクラーレンにも似た装備があったが、こちらはさらに洗練された仕上がりとなっているはずだ。

■普段も使える“完璧さ”

シャシー関連では前後左右のダンパーを油圧で連結し、通常走行時の乗り心地は快適にしつつ、ロールやピッチングは効率的に押さえ込んで機敏なハンドリングを実現するプロアクティブ・シャシー・コントロールというシステムが用意される。

ロン・デニスの完璧主義はインテリアや実用性にも貫かれている。キャビンは上質なレザーまたはアルカンターラに包まれ、空調やオーディオ、ナビゲーション・システムも完備。さらに、フロントにはたっぷりした容量のラゲッジルームが用意されている。マクラーレン・オートモーティブのマネージング・ディレクターであるアンソニー・シェリフが「ロンドンからモンテカルロまで旅行するにも、近所のスーパーマーケットまで買い物に行くにも使えます」と主張するのも無理はない。

マクラーレンMP4/12Cはマクラーレン・テクノロジー・センターに隣接するマクラーレン・プロダクション・センターで生産され、世界35カ国で販売される。初年度となる2011年には1000台以上がデリバリーされる計画だ。

(webCG)

イギリスはウォーキングのマクラーレン・テクノロジー・センターで公開された「MP4/12C」。良好な前方視界を確保するためにボンネットは低く、前輪の位置を把握しやすくするためにフロントフェンダーの“峰”を明確にしたという。
イギリスはウォーキングのマクラーレン・テクノロジー・センターで公開された「MP4/12C」。良好な前方視界を確保するためにボンネットは低く、前輪の位置を把握しやすくするためにフロントフェンダーの“峰”を明確にしたという。
発表会に出席したマクラーレンF1チームのルイス・ハミルトンとジェンソン・バトン。実に、2008年チャンピオンと2009年チャンピオンのふたりが、このチームには在籍していることになる。
発表会に出席したマクラーレンF1チームのルイス・ハミルトンとジェンソン・バトン。実に、2008年チャンピオンと2009年チャンピオンのふたりが、このチームには在籍していることになる。
専用設計のV8ターボエンジンは、カーボン・モノコックから後方に伸びるアルミ製サブフレームにマウントされる。ドライサンプ方式のため、エンジン全高は低い。
専用設計のV8ターボエンジンは、カーボン・モノコックから後方に伸びるアルミ製サブフレームにマウントされる。ドライサンプ方式のため、エンジン全高は低い。
「MP4/12C」の核であるカーボンコンポジット製モノコック。ワンピース構造ながら、新しい製造方式によりコスト低減が図れたという。
「MP4/12C」の核であるカーボンコンポジット製モノコック。ワンピース構造ながら、新しい製造方式によりコスト低減が図れたという。
クリーンなイメージのサイドビュー。デザイナーは、初代「ニューMINI」や「ミトス」などを手がけたフランク・ステフェンソン。サイドのエアインテークに「マクラーレンF1」との共通性が見て取れる。
クリーンなイメージのサイドビュー。デザイナーは、初代「ニューMINI」や「ミトス」などを手がけたフランク・ステフェンソン。サイドのエアインテークに「マクラーレンF1」との共通性が見て取れる。

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