クルマ好きの熱気は健在 〜東京オートサロン2010リポート

2010.01.19 自動車ニュース

草食系になりながらも熱気は健在 〜東京オートサロン2010リポート

クルマ好きの熱気は健在 〜東京オートサロン2010リポート

2010年1月15〜17日の3日間、千葉・幕張メッセで新春恒例のチューニング/ドレスアップカーの祭典「東京オートサロン2010」が開催された。


草食系になりながらも熱気は健在 〜東京オートサロン2010リポート
「日産GT-R」はチューニング素材としては、すでに下火か……。
草食系になりながらも熱気は健在 〜東京オートサロン2010リポート

■大手メーカーは撤退したが

今回で28回目となる「東京オートサロン」。主催者発表によれば、出展台数625台は前年比12%増、出展者数402は20%増で過去最高。そして入場者数も3.8%増の23万7954人だったそうだ。
成長率は軒並み前年比マイナス、上がっていくのは失業率ばかりというデフレの世の中、なかでも暗いニュースばかりが続く自動車業界にとっては久々に聞く明るい話題である。

とはいうものの、展示内容は昨年までとはだいぶ様子が変わっていた。数年前までは競い合うように出展規模を拡大していた自動車メーカーは、トヨタ、日産、ホンダを残して撤退。業界の牽引役だった大手チューニングパーツメーカーの出展も、数えるばかりとなってしまった。今や大きなブースを構えているのは、自動車メーカーを除いてはタイヤメーカーと一部のホイールメーカーくらいだった。

展示車両、とくにベースとなるモデルの傾向にも変化があった。フェラーリやランボルギーニなどのエキゾチックカーを除いては、超高級車は姿を消し、もともと日本車が大勢を占めるオートサロンでも強かったメルセデス・ベンツもめっきり減った。一昨年、昨年の主役で、本来の主流だったチューニング系復権のアイコンでもある「日産GT-R」でさえ、少数派となってしまっていた。

■チューニングカーも“草食”化!?

代わって目に付いたのは、「トヨタ・プリウス」と「ホンダ・インサイト」。もちろんパワートレインには手は加えられておらず、ローダウンして内外装をドレスアップしたモデルが目白押しだった。そもそもはバッドボーイズ系のクルマの祭典だったオートサロンも時代の波には抗えず、草食化してしまったということか。いや、単純にそういうわけでもないだろう。10年ほど前は会場内がミニバンだらけだったことを思い起こせばわかるように、新車の市場動向が反映されただけとも言えるのだ。流行に目ざといオートサロン出展者が、昨年度のベストセラーだったプリウスやインサイトを無視するわけはないのである。
あとは先に述べた高級車の減少とは矛盾するが、高級スポーツセダンである「ポルシェ・パナメーラ」が早くも数台出展されていたのが意外だった。

出展者で目立っていたのは、トヨタ。前述したように自動車メーカーの多くが撤退し、縮小方向にあるなかで、GAZOO Racingから派生した「G Sports」という新たなスポーツコンバージョン(メーカー製コンプリートカー)のブランドを立ち上げていた。しかも豊田章男社長が来場し、ブースで行われた「トークセッション」に参加するなど、ずいぶんと力が入っていた。

「FT-86 G Sports Concept」
草食系になりながらも熱気は健在 〜東京オートサロン2010リポート

草食系になりながらも熱気は健在 〜東京オートサロン2010リポート

■クルマ好きが作るイベントだからこそ

しかし、大手の出展者が続々と手を引く状況で、広い幕張メッセを埋めるだけの出展者と車両を集めるのは、さぞかし大変だったことだろう。そうした半ば意地とも思える主催者の努力の甲斐あって、会場内に穴埋めのための唐突な展示コーナーや巨大な飲食スペースが出現するような事態は避けられた。

冒頭に記したように、今回の東京オートサロンは数の上では規模の縮小を食い止めていた。とはいえ不況の影響は避けられるはずもなく、出展車両の単価は全体的に下がっていたし、ブースの作りも簡素化されていた。しかし、ここが大事なところなのだが、これまた数字が示しているように入場者数はわずかながらも増えているし、実際に会場内は熱気にあふれていた。

その理由がなにかといえば、東京オートサロンがストリートから生まれた、クルマ好きがクルマ好きに向けて発信するために始まったショーだからではないだろうか。イベントとして成長するにしたがってビジネス的な側面が強くなっていったものの、根底となる部分は変わらずに残っていたのではないだろうか。
主催者も出展者も、そして来場者も、みんなクルマが好き。不況だからといって、好きなクルマをそう簡単にあきらめられない。見放すことはできない。だから東京オートサロンも、まだまだ健在であってほしい。会場内のそうした思いが熱気を生んだのではないだろうかと、考えた次第である。

(文=田沼 哲)

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