スバル・レガシィツーリングワゴン2.5i Sパッケージ(4WD/CVT)【試乗記】
新価値発見 2010.01.05 試乗記 スバル・レガシィツーリングワゴン2.5i Sパッケージ(4WD/CVT)……342万8250円
5代目レガシィ開発に当たっての狙いは、「乗員に豊かな時間を提供すること」だったという。そんなレガシィのほんとうの姿を、2.5リッターNAモデルに乗って探ってみた。
全幅1780mmは大きすぎ?
熱いマニアに支えられているという意味では、「スバル・レガシィ」は国産車でも屈指の存在である。だから、なにかトピックがあるごとに賛否がうずまくのは当然だが、今年春にフルチェンジした5代目ではとくに騒がしい。いわく「デカくなりすぎ」、「日本人は無視か!?」、「プレミアムでなくなった」、そして「カッコ良くない」……つまりは、一部のファナティックにとって、新型レガシィは「らしくない」ということなのだろう。
レガシィは確かに大きくなった。しかし、現在の国際的なDセグメント平均でレガシィは大きすぎるクルマではない。抑制のきいたサイズだった先代から乗り換えると「やけにデカイなあ」と感じるのは否定しないが、北米をはじめとする世界戦略のなかで勝負すべきレガシィに、「日本のために小さいままでいろ」というのは、少しばかり酷な注文だとも思う。先代は、室内がせまい……という声が日本でも小さくなかったというし。少なくとも新型レガシィのキャビンは前後席とも健康的な姿勢で座ることができ、開放感にも富んでいる。
インテリアの仕立ては正直いって高級感に欠ける。この点は先代と比較しても進化が感じられない……というか、ある意味で後退した部分といっていい。コストがかかるソフトパッドトリムが皆無に近いのに加えて、シルバーのメタル調プラスチックパネルの仕上げがあまり巧妙とはいえないのに、面積だけがやけに大きいというデザイン上の問題もある。ただし、縦置きエンジンで不利になりがちな運転席周辺の収納スペースのために、わざわざ電動パーキングブレーキ(200万円台のクルマとしては贅沢だ)を新採用したのは、良心的なエンジニアリングの表れともとれる。
新型レガシィのカッコが良いかどうかは個々人の判断にお任せするが、少なくとも古典的な流麗さを表現しにくいパッケージであることは事実だ。新しいレガシィは背が高い。シリーズで最も低いB4セダンでも1.5mオーバーで、このツーリングワゴンでは全高が1535mmもある。いっぽうの1780mmという全幅はクラスでは最もナローだ。