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【スペック】全長×全幅×全高=4625×1855×1375mm/ホイールベース=2750mm/車重=1930kg/駆動方式=4WD/3.2リッターV6DOHC24バルブ(265ps/6500rpm、33.7kgm/3000-5000rpm)/価格=784.0万円(テスト車=859.0万円/バング&オルフセンサウンドシステム=15.0万円/アウディドライブセレクト=32.0万円/アダプティブクルーズコントロール+アウディサイドアシスト=28.0万円)

アウディA5カブリオレ 3.2 FSI クワトロ(4WD/7AT)【試乗記】

厳しく乗り手を選ぶ 2009.12.01 試乗記 アウディA5カブリオレ 3.2 FSI クワトロ(4WD/7AT)
……859.0万円

スタイリッシュなクーペ「アウディA5」に、さらなるハレを加える、オープンモデルの「カブリオレ」。肝心の走りは? 乗り心地は?

馬車がかぼちゃにならないように

「アウディA5」のカブリオレを試乗するにあたって、実に困った問題が持ち上がった。着ていく服がない!! こんなステキなカブリオレ、幌を開けたらきっとみんなが見るだろう。自分が通行人の立場だとして、「どんな優雅な人が乗っているのだろう?」と興味津々でのぞき込むことは間違いない。また、お借りした広報車両の色が、いかにもセンスがよさそうな茶色のメタリックにベージュのインテリアというのも困りモノ(?)。このエレガントな内外装に合う服がない。

40を過ぎて初めて、お城の舞踊会に行く前のシンデレラの気持ちがわかった気がする。このクルマにはきっと、重さなんてないぐらい軽くて、フワフワ柔らかくて、薄っぺらいのに暖かい、天女の羽衣みたいな洋服が似合うはずだ。もちろん、そんな洋服は持ってない。仕方がないので、ごわごわしたリーバイスのGジャンで馬車がかぼちゃに戻らないように祈りながら乗り込む。

気恥ずかしいので屋根を閉めて出発。この状態で走る限り、タウンスピードから高速走行まで、カブリオレだとは思えないくらい静かだ。それはなぜかと言いますと、本国ではオプションとなるアコースティックトップが日本仕様では標準装備されているから。これは厚手のクロス地の内部にポリウレタンフォームを充填した幌で、遮音性と気密性が高まるという。その効果はてきめん。

個人的にはソフトトップのカブリオレは少しぐらいうるさくても気にしないつもりだったけれど、静かだとやっぱり嬉しい。人間、一度ぜいたくすると元に戻れないものですね。静かなので、オプションのバング&オルフセンのカーオーディオを試したくなる。あいにくCDを持っていなかったのでいつもの通り文化放送の『くにまるワイド ごぜんさま〜』にラジオをセット、野村邦丸さんの笑い声がいつもよりよく通って嬉しい。

インテリアそのものにクーペからの大きな変更はない。シートの表面には、日光があたっても表面温度が上昇しにくい素材が使われている。
インテリアそのものにクーペからの大きな変更はない。シートの表面には、日光があたっても表面温度が上昇しにくい素材が使われている。 拡大
 
アウディA5カブリオレ 3.2 FSI クワトロ(4WD/7AT)【試乗記】の画像 拡大
A5カブリオレの開発にあたって、ソフトトップを採用することは最初から決まっていたという。最大の理由はデザイン。格納式ハードトップはルーフラインの自由度が低く、幌を閉めた状態でのたたずまいの美しさを追求するとおのずとソフトトップに決まったという。また、ソフトトップのほうが重心が低くなり、走行性能向上にも寄与するとのこと。
A5カブリオレの開発にあたって、ソフトトップを採用することは最初から決まっていたという。最大の理由はデザイン。格納式ハードトップはルーフラインの自由度が低く、幌を閉めた状態でのたたずまいの美しさを追求するとおのずとソフトトップに決まったという。また、ソフトトップのほうが重心が低くなり、走行性能向上にも寄与するとのこと。 拡大

スポーティカーであり、高級車でもあり

見た目だけでなく、走らせても「A5カブリオレ」は優雅だ。乗り心地がしっとりとしていて、しずしずと走る。その理由は、オープン化に伴うボディの補強でクーペより200kg以上重くなっているからだろう。これだけ重量が増えると確実に燃費が悪くなっているはずだけれど、一方で高級車っぽい重厚感を獲得していることも確か。補強は行き届いている模様で、ボディのガッチリ感は大したものだ。幌を閉めて前を向いて運転している限り、屋根がやわらかいことを忘れてしまう。

日本仕様のA5カブリオレのグレードは、「3.2 FSI クワトロ」のみ。パワートレインは、3.2リッターの直噴V6エンジンとツインクラッチ式7段Sトロニックの組み合わせで、駆動方式はクワトロとなる。ちなみにクーペ版の「A5 3.2 FSI クワトロ」にはトルコン式6段ATが組み合わされるけれど、変速のもたつきがないことや、エンジンとダイレクトに繋がっているフィーリングなど、新しいSトロニックのほうが好ましいと思った。クルマ全体がすっきりした印象になる。

低回転域からトルキーな3.2リッターエンジンは、1.9トンを超える重量級ボディを苦もなく動かす。出来のいいSトロニックを操作すれば、高回転域まで引っ張ってスポーティに走らせることも、エンジン回転を低く抑えてお上品に乗ることも自由自在。人間に向かって「あなたは八方美人だ」と言ったらムッとされるけれど、このエンジンには八方美人だと言いたい。で、足まわりも八方美人。低速でひたひた走ってもいい感じだし、山道でちょっとヤル気を出してもついてくる。

今回の試乗では、市街地1:高速道路7:山岳路2の割合で369.3kmを走行。7.6km/リッターの燃費を記録した。
今回の試乗では、市街地1:高速道路7:山岳路2の割合で369.3kmを走行。7.6km/リッターの燃費を記録した。 拡大
3.2リッターのFSIエンジンとツインクラッチ式7段トロニックの組み合わせは、「2010年度燃費基準」をクリア。ということはつまり、13年超のクルマから乗り換えると25万円のエコカー補助制度が利用できる。ちなみに7段Sトロニックは、MT仕様より燃費がいいという。
3.2リッターのFSIエンジンとツインクラッチ式7段トロニックの組み合わせは、「2010年度燃費基準」をクリア。ということはつまり、13年超のクルマから乗り換えると25万円のエコカー補助制度が利用できる。ちなみに7段Sトロニックは、MT仕様より燃費がいいという。 拡大
リアシートは50:50の分割可倒式。シートを倒せば、かなりの長尺物も積載可能となる。
リアシートは50:50の分割可倒式。シートを倒せば、かなりの長尺物も積載可能となる。 拡大

ドレスコードあり!?

特に試乗車には、オプションのアウディドライブセレクトが装着されていたので、このクルマの万能性がさらに強調される。これはダンパーの減衰力、エンジン特性、ステアリングフィールまでをトータルで調整するメカニズムで、たとえば「ダイナミックモード」を選べば一気に戦闘モードになるし、「コンフォートモード」では温厚な高級車にスイッチする。

ここで幌を開けてみる。資料には50km/hまでフルオートで開閉できるとあるけれど、その速度はさすがに怖い。幌がぶっ壊れそうな気がするので、20km/hぐらいで走りながら開けてみる。はたして、幌は20秒弱で見事に収納された。自分で運転しながらも、幌を開けた状態がすごくカッコいいことがわかる。なぜなら、周囲の人がじろじろ見るから。このクルマの購入を検討している方は、ものすごく注目を集めることを肝に銘じておいたほうがいい。

乗り心地も動力性能もハンドリングもハイレベルだし、クワトロだからタイヤさえ換えればゲレンデ行き超特急としても使える。荷室には思ったよりちゃんと荷物が積めるし、トランクスルー機構を利用して長尺物を積むこともできる。後席は大人が座るには狭いけれど、子ども2人のファミリーだったら家族旅行にも使える。もしそういう使い方をしたら、世界でも有数の優雅なファミリーカーでしょう。

飛ばしてよし、使ってまずまずの万能カブリオレ。かなり風を巻き込む後席に座ったAカメラマンの帽子が飛ばされて大騒ぎになった以外は、実に平和だ。欠点が見当たらないので、可愛い気がなく思えるほど。ま、これはクルマの欠点ではないけれど、A5カブリオレは厳しく乗る人を選ぶと思いました。Gジャン姿で運転する自分を見た多くの人が、がっかりした表情だったので。

(文=サトータケシ/写真=荒川正幸)

資料によると開けるときは15秒、閉めるときは17秒で仕事を終える電動ソフトトップを装備。手動でロックする必要のないフルオート式。車重はクーペから200kg増えて1.9トンを超えた。ホイールはカブリオレ専用デザインとなっている。
(写真をクリックするとルーフの開閉シーンが見られます)
資料によると開けるときは15秒、閉めるときは17秒で仕事を終える電動ソフトトップを装備。手動でロックする必要のないフルオート式。車重はクーペから200kg増えて1.9トンを超えた。ホイールはカブリオレ専用デザインとなっている。
	(写真をクリックするとルーフの開閉シーンが見られます) 拡大
クワトロシステムは前後に40:60の割合でトルクを配分。やや後輪に重きを置いて、“曲がり”を意識したセッティングとなっているのは最近のアウディのトレンド。
クワトロシステムは前後に40:60の割合でトルクを配分。やや後輪に重きを置いて、“曲がり”を意識したセッティングとなっているのは最近のアウディのトレンド。 拡大
安全性の確保にもぬかりはない。後席ヘッドレストの後方には自動でせり上がるポップアップ式のロールバーを装備。これは横転の危険を察知すると0.25秒以内に作動するという。
安全性の確保にもぬかりはない。後席ヘッドレストの後方には自動でせり上がるポップアップ式のロールバーを装備。これは横転の危険を察知すると0.25秒以内に作動するという。 拡大

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