王者バトンがマクラーレンへ移籍、ライコネンは休養【F1 09】

2009.11.19 自動車ニュース

【F1 09】王者バトンがマクラーレンへ移籍、ライコネンは休養

2009年のF1ワールドチャンピオン、ジェンソン・バトンのマクラーレン移籍が、11月18日に明らかになった。来年のマクラーレンは、バトンとルイス・ハミルトンという、2人のイギリス人王者がステアリングを握ることになる。

■マクラーレンの誘惑、バトンの賭け

ブラウンGPで悲願の初タイトルを勝ち取ったバトンが、先週マクラーレンのファクトリーを訪れたことで、いま一番ホットなドライバーが常勝チームに移籍するという噂は瞬く間に世界を駆け巡った。

シーズン最終戦を過ぎてもブラウンとの契約更新をしなかった理由は、両者に契約金に対する意見の相違があったからとされている。2008年末にホンダが撤退を決めたことで、バトンをはじめチーム全体が非常事態に陥ったのだが、その際バトンは大幅なサラリーカットを受け入れていた。その献身的な姿勢が実を結び、ブラウンとバトンは2つのタイトルを初年度に獲得。さらに先頃メルセデスのチーム買収も決まり、体制も資金面にも目処が立ってきていたのだが、最終的に両者は合意に至らなかった。

ただバトンにとっては、ブラウンとの契約金問題もさることながら、マクラーレンという常勝チームのシートが魅力的だったことも大きいだろう。2009年は序盤こそ大苦戦したものの、シーズン後半、マクラーレン/ハミルトンは2勝し見事に復活した。これは、厳しいテスト規制下において他には真似できない、高度なチーム力の賜物だった。
ブラウンGPには、ロス・ブラウンという希代のリーダーがいる。なによりバトンにとっては2003年のBARホンダ時代から7年間ともに戦った同志がいる。だがドライバーズタイトル12回、コンストラクターズタイトル8回というマクラーレンの輝かしい実績を前にすれば、チャンピオンを獲得したチームを離脱しようと考えても不思議はないだろう。

しかし新王者の前途が有望かといえば、必ずしもそうともいえない。なにしろマクラーレンは“チーム・ハミルトン”、年は下だがチームでは3年先輩の2008年チャンピオンがいる。事実上ハミルトンを中心とした、マクラーレンならではのカルチャーにバトンが対応し、かつ同郷の若武者を負かすことができるか。同じくタイトルホルダーのフェルナンド・アロンソが越えられなかったハードルが、バトンの前に立ちはだかっている。

■2007年チャンプ、引退ではなく休養

来年バトンが座るシートを狙っていた元チャンピオンがいた。フェラーリを契約満了1年前に“追い出された”格好のキミ・ライコネンである。ライコネンは移籍先の条件として、勝てるポテンシャルがあることをあげていたが、そうなれば現実的には2002年から5年間在籍した古巣マクラーレンをおいてほかにない。
マクラーレンとしても、ハミルトンとコンビを組ませることはやぶさかではなかったはずだが、こちらも金銭面やスポンサーへのサービス活動などで折り合いがつかなかったとされている。

ライコネン側は少なくとも1年の休養を明言しているが、2011年にトップチームに返り咲くとしたら、マーク・ウェバーが契約を終えるレッドブルあたりが考えられる。あるいは、母国フィンランドで盛んなラリーへの転向もオプションとして残っているかもしれない。いずれにしても、トップドライバーのひとりが一時的にしても姿を消すのは寂しいことだ。今年の第12戦ベルギーGP、世界屈指の難コースであるスパ・フランコルシャンで接戦を演じ見事優勝。ライコネンがまだ脂の乗ったドライバーであることは明白なのだから。

(文=bg)

王者バトンがマクラーレンへ移籍、ライコネンは休養【F1 09】の画像
バトンの新加入で、古巣マクラーレンという唯一の移籍先を失った2007年チャンピオン、キミ・ライコネンは休養へ。マイペースを貫く30歳のフィンランド人は、規律正しいマクラーレンのカルチャーには不安を残していた。(写真=Ferrari)
バトンの新加入で、古巣マクラーレンという唯一の移籍先を失った2007年チャンピオン、キミ・ライコネンは休養へ。マイペースを貫く30歳のフィンランド人は、規律正しいマクラーレンのカルチャーには不安を残していた。(写真=Ferrari)

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。