VW、“1リッターカー”と電気自動車などエココンシャスな出展【フランクフルトショー09】

2009.09.17 自動車ニュース

【フランクフルトショー09】VW、“1リッターカー”と電気自動車などエココンシャスな出展

フォルクスワーゲンは、2009年のフランクフルトショーに“1リッターカー”のコンセプトモデル「L1」や、ゼロエミッションの小型電気自動車「E-Up!」など、エココンシャスなモデルを多数出品した。

■帰ってきた「1リッターカー」

広大な面積のブースに、ところ狭しと自慢のモデルを揃えたフォルクスワーゲン。
その展示の目玉は、7年ぶりに帰ってきた“1リッターカー”、「L1コンセプト」だ。1リッターカーとは、1リッターの燃料で100km走行可能なクルマを意味するが、フォルクスワーゲンはいまから7年前に、TDI(直噴ターボディーゼル)エンジンを搭載したプロトタイプを発表し、公道での走行試験を敢行。当時、フォルクスワーゲン取締役会長を務めていたフェルディナンド・ピエヒがステアリングを握ったことも話題を呼んだ。

その1リッターカーが、0.8リッターの2気筒TDIエンジンとモーターによるハイブリッドシステムを搭載して、2009年のフランクフルトショーに姿を現した。「ゴルフ6」似のフロントマスクを持つL1コンセプトは、写真からもわかるように、ボディは全長3813×全幅1200×全高1143mmと超コンパクトで、カーボンファイバー製のモノコックを採用することにより、わずか380kgの車両重量を実現している。TDIエンジンとモーターはリアに搭載され、7段DSGにより後輪を駆動。100kmあたりの燃料消費量は1.38リッター(72.5km/リッター!)を達成した。しかし驚くべきは、フォルクスワーゲンが2013年の市販化をにおわせていること。L1コンセプトのエッセンスがどこまで盛り込まれるかはわからないが、目が離せないプロジェクトのひとつになりそうだ。

■目指すは“21世紀のビートル”

全長3199×全幅1641×全高1468mmのコンパクトボディに、愛らしいマスク。ちょうど2年前に、スモールカーのコンセプトモデル「Up!」「Space-Up!」「Space-Up Blue!」を発表したフォルクスワーゲンが、Up!ファミリーの最新メンバーとして紹介するのが、この「E-Up!」なのだ。VシェイプのボンネットにVWのロゴ、そして、丸目のヘッドライトがあの「ビートル」を彷彿とさせるが、そう、E-Up!はフォルクスワーゲンが“21世紀のビートル”として普及を狙うシティコミューターである。

名前の“E"からも想像できるように、E-Up!は純粋な電気自動車。他のUp!ファミリーやビートルとは異なり、E-Up!は前輪駆動を採用し、最高出力60kW、最大トルク21.4kgmの電気モーターをボンネット下に収めている。電気自動車だけに出足の良さは自慢のひとつで、30-50km/h加速は3.5秒を誇る。総容量18kWhのリチウムイオンバッテリーは、130kmの航続距離を実現。急速充電ステーションを用いれば、約1時間で容量の8割まで充電可能という。230Vの家庭用コンセントでも、約5時間で満充電に達する。100kmあたりの電気代は約2ユーロ(約270円)といい、このE-Up!の走行コストがいかに安いかがわかる。ちなみに、充電用のコネクターはボンネットのVWロゴの裏に隠れている。

室内は、助手席を運転席よりも50mm前方に配置することで、助手席側に大人ふたりが座れる“3+1”のシートを実現。「トヨタiQ」と似たレイアウトだ。4人乗りの状態では荷室は80リッターとミニマムだが、分割可倒式リアシートを畳めば最大320リッター、天井いっぱいまで積み込めば520リッターまで拡大が可能である。

フォルクスワーゲンは、この新しいシティコミューターを2013年にも市場に投入するという。中長距離は低燃費を誇るTDIとTSI、短距離はEVによりカバーするというのが、ここしばらくの戦略のようで、実際、フランクフルトショーの会場には、「BlueMOTION」と呼ばれる低燃費車が持ち込まれていた。これらは、さらに効率化を図ったTDIエンジンと、アイドリングストップシステム、そして、エネルギー回生システムなどにより、100kmあたりの燃費は、ポロが3.3リッター(30.3km/リッター)、ゴルフが3.8リッター(26.3km/リッター)、パサートが4.4リッター(22.7km/リッター)を達成するといい、TDIの可能性を強くアピールした。

■スポーティモデルもダウンサイジング

これ以外で気になったのは、R32の後継モデルとなるゴルフ6の“Rモデル”、「ゴルフR」だ。ベーシックモデルがエンジンのダウンサイジングを図るのにあわせ、Rモデルも3.2リッターV6(先代の「R32」)から、2リッター直列4気筒に排気量を縮小。しかし、最高出力はR32の250psを凌ぐ270psをマークする。それでいて燃費は21%向上の8.5リッター/100km(11.8km/リッター)に抑えられている。他にも、フェイスリフトを実施して、ゴルフ6のデザインを手に入れたゴルフヴァリアントや2ドアポロなど、フォルクスワーゲンブースはニューモデルが目白押しだった。

(文と写真=生方聡)

「L1コンセプト」
「L1コンセプト」
このモノコックボディは「L1コンセプト」のもの。
このモノコックボディは「L1コンセプト」のもの。
「E-Up!」
「E-Up!」
「E-Up!」の動力部分。
「E-Up!」の動力部分。
「ゴルフ ブルーモーション」の燃費は、26.3km/リッターとアナウンスされる。
「ゴルフ ブルーモーション」の燃費は、26.3km/リッターとアナウンスされる。
先代「ゴルフR32」の実質的な後継車となる「ゴルフR」。2リッター直4ターボエンジンで270psを発生し、「4MOTION」すなわち4WDシステムを採用する。
先代「ゴルフR32」の実質的な後継車となる「ゴルフR」。2リッター直4ターボエンジンで270psを発生し、「4MOTION」すなわち4WDシステムを採用する。

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