ブリヂストンの新世代ランフラットタイヤを試した!

2009.07.21 自動車ニュース

ブリヂストンの新世代ランフラットタイヤに、いち早く試乗!

ブリヂストンの新世代ランフラットタイヤを試した!

2009年3月に発表された、ブリヂストンの第3世代ランフラットタイヤ「3G RFT」。より安全で環境に優しい車社会の実現を狙うべく、開発された新しいランフラットタイヤは、いったいどのようなものなのか? 年内には新車装着されて世に出る予定だという新製品に、イタリアはローマで先行試乗した。

■硬くないランフラット誕生

“パンクしないタイヤ”があったなら――不運にもパンクで立ち往生という憂き目にあった人は、きっとそんな思いを抱いた経験があるはず。「荷重を支え」「駆動/制動力を伝え」「路面からの衝撃を吸収し」「進路を変える」というのがタイヤの4大機能。その場で立ち往生となるのは、このうち、荷重支持機能が失われてしまうからだ。

そこで、パンク時もこの機能を喪失しないよう工夫を施し、ある程度の継続走行を可能としたのがランフラットタイヤ。その構造は、空気圧ゼロでもタイヤが潰れないように内部にリング状の中子(なかご)を挿入する方法と、タイヤのサイドウォール(側面)を補強する方法の2タイプに大別される。現在では特に荷重の大きな大型車用やモノレール「ゆりかもめ」のような新交通システム用を除いては、サイドウォール補強式が一般的だ。

パンク現場での立ち往生を回避でき、スペアタイヤを不要とすることによる軽量化やスペース効率の向上、そして資源の無駄使い(スペアタイヤの大半は、一度も使用されることなく廃棄されるというデータがある)を防止するなど、安全面だけでなく、居住性や運動性能、さらには環境面でもメリットが期待されるランフラットタイヤ。BMWのように、大半の車種でそれを標準化といった積極的な動きを示す自動車メーカーもあるなかで、多くのメーカーがいまだその採用に躊躇する大きな理由のひとつが、サイドウォールの強化がもたらす乗り心地の悪化という問題だ。

標準タイヤの縦バネ指数(路面からの衝撃を吸収するバネの強さ)を100とすると、従来型ランフラットタイヤのそれはおよそ115。つまり単純に硬いということだ。
それを105にまで低減したというのが、この春にブリヂストンが発表した「3G RFT」。「発熱を抑えたサイド補強ゴム」や、「熱の力を利用して変形を抑制する新プライ」「タイヤサイドの熱を冷却するクーリングフィン」という3つの新技術を、サイズの違いなどによって適宜織り交ぜて採用し、前述のウィークポイント改善を謳っている。

ちなみに3Gとは第3世代、RFTはランフラットタイヤを示す略称で、同社では「ポルシェ959」に標準装着を行った1987年から2005年までのモデルを第1世代、サイドウォールのゴム材質を大幅に変更した2005年から2009年までのモデルを第2世代、そして再び構造に大変更を加えた2009年以降のモデルを第3世代と呼称している。

■標準装着でもいい!

そんな3G RFTを履いた「BMW5シリーズ」で、ローマの南方およそ50kmのロケーションに2004年に開設された、ブリヂストンのプルービンググラウンド内の各種舗装路上やその周辺の一般道でテスト走行を行った。比較のため、第2世代「2G RFT」装着車も用意されている。

乗り心地の差は歴然。滑らかな舗装路上ではヒタヒタと走ってくれていた2G車が、荒れ路に差し掛かるとその突き上げ感を大きく増すのに対し、3Gの方はそうしたシーンでの「落差」がグンと少ない。もっともそんな最新モデルでも、路面によってはまだ標準構造のタイヤとの違いを感じさせられる場面も。それを最も強く教えられたのは激しくひび割れた路面の走行の際。それでも、そんな標準タイヤと3Gとの印象の差は、いまやさほど大きくない。その差は「うっかりしていると気づかないかもしれない……」とその程度のものだった。

乗り心地にスポットライトを当てたテストと共に、今回のテストイベントではランフラットタイヤの効果をわかりやすくアピールするために、130km/hでのコーナリング中に瞬間的にパンク状態を再現させて通常タイヤとの挙動の違いを見せるデモンストレーションや、リア1輪を内圧ゼロ状態にしてのハンドリング路走行といったメニューも用意された。そうしたシーンでのランフラットタイヤのアドバンテージはことさらに顕著なもの。同行参加者の間から「どうしてこんなに優れたタイヤを全車標準装着にしないのか」と質問が出たのも当然かもしれない。

ただし、そんなランフラットタイヤはパンクに気付きにくいため、空気圧モニターの装着が必須である点や、パンク後の修理や交換という作業からは逃れられないという事柄は知っておく必要がある。そもそも、「パンクをしない限り効果は発揮できない」だけに、現状でも8万km、あるいはそれ以上に1度と言われるパンクの機会がこの先20万km、あるいは30万kmに1度と伸びていった場合にもそれが商売として成り立つのか? という疑問もないではない。

とはいえ、現実にパンクという現象が避けられない今の時点ではランフラットタイヤはとても有効で魅力的なソリューションである事は間違いない。かくも“保険効果”の高いタイヤを、あらかじめ履いて万一の際に備えるのか、はたまた従来のようにスペアタイヤや修理剤を搭載することで済ますのか。そんな選択肢が広がるのはもちろん歓迎すべき事柄だろう。

(文=河村康彦/写真=ブリヂストン)

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