地元プジョーがワンツー! 3年目の勝利を掴む【ルマン 09】

2009.06.15 自動車ニュース
表彰式の様子。地元プジョーの勝利で、ポディウムのまわりは歓喜の声に包まれた。
地元プジョーがワンツー! 3年目の勝利を摑む【ルマン09】

【ルマン 09】地元プジョーがワンツー! 3年目の勝利を掴む

第77回ルマン24時間レースは、レース中盤から着実に、かつそつのない走りに徹したNo.9 プジョー908HDi FAP(ジェネ/ヴルツ/ブラバム組)の勝利に終わった。最後まで独走態勢を崩すことのない完勝だった。
今年の戦いは、予選での速さにこだわることより、決勝でいかにクルマを“ストレスフリー”で走らせることのほうが大切であるという、耐久レースの基本を教えてくれるようなレースだった。

今回の勝利は、2007年にディーゼルエンジンでのルマン参戦を始めたプジョーにとって、参戦3年目の悲願達成。9号車のドライバー、ジェネとブラバムにとっては自身初、またヴルツにとっては1996年以来の自身2回目の勝ち星となった。

並んでゴールラインを通過する“常勝軍団”アウディ勢。
並んでゴールラインを通過する“常勝軍団”アウディ勢。
今年は3位に終わった、トム・クリステンセン(写真手前)。「ルマンは、勝つことだけではなく、 チャレンジすることそのものも大切だ」とコメントを残した。
今年は3位に終わった、トム・クリステンセン(写真手前)。「ルマンは、勝つことだけではなく、
チャレンジすることそのものも大切だ」とコメントを残した。

■トラブルに泣いたニューマシン

今年も、ルマン24時間耐久レースは、アウディとプジョーの戦いが見どころとなった。例年は、速さはもちろん、燃費がもたらすピットインの回数など、総合的にいかにライバルと差をつけられるかが勝利へのカギとなるのだが、今年はこの法則どおりにはいかなかったようだ。

それ以前に、レース序盤から優勝候補のクルマが続々とトラブルやアクシデントで出遅れ、パフォーマンスを存分に披露することができなかったともいえる。なかでもアウディは、ニューマシン「R15 TDI」を実戦投入させて注目を集めたが、メカニカルトラブルの改善に日々追われた。準備不足の感否めず、決勝では、ルーティンワークのピットインに加え、クルマをピットに収納して行う大掛かりな修復作業が周回を重ねるごとに増えた。

現役ドライバーのなかでルマンマイスターとしても名高い、No.1 アウディR15 TDIのT・クリステンセンも、「セッションごとにクルマの性能は向上したけれど、決勝は好天で気温が上がったので、途中からはオーバーヒートが気になった。」とレースを振り返る。「そして、その対策は十分とは言えなかった。今年は厳しいレース展開になってしまったね。」ベテランのコメントには悔しさがにじんだ。


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記者会見に臨む、今年のチャンピオンたち。(写真左から)No.9 プジョー908HDiをドライブしたM・ジェネ、D・ブラバム、そしてA・ヴルツ。 写真=島村元子/photo=Motoko Shimamura)
記者会見に臨む、今年のチャンピオンたち。(写真左から)No.9 プジョー908HDiをドライブしたM・ジェネ、D・ブラバム、そしてA・ヴルツ。 写真=島村元子/photo=Motoko Shimamura)

■プジョー、熟成で得られた勝利

それと対照的だったのが、参戦3年目となる「プジョー908HDi」。気合が入りすぎたのか、ピット作業中に仲間同士で同士討ちのようなミスを犯す場面も見られたものの、全体的には去年までのような非効率なピット作業などが格段に減った。そのパフォーマンスは十分進化を感じるものだった。

レースは、トップNo.9 プジョーに次いで、予選でポールポジションを獲得したNo.8 プジョー(ブルデー/モンタニー/サラザン)組が1周遅れで2位を獲得。プジョーのワンツーフィニッシュとなった。
トップから6周遅れで3位に入ったのが、先のNo.1 アウディ(カペロ/クリステンセン/マクニッシュ)。近年における“ルマン常勝チーム”アウディとしては、新車R15 TDIを3台投入して挑んだ今年は必勝のレースだっただろうが、ライバルの表彰台独占を阻止するのが精一杯、という結果に終わった。

総合結果

1. No.9 プジョー908HDi FAP(ジェネ/ヴルツ/ブラバム組)382周
2. No.8 プジョー908HDi FAP(サラザン/モンタニー/ブルデー組)381周
3. No.1 アウディR15 TDI(カペロ/クリステンセン/マクニッシュ組)376周
4. No.007 ローラアストンマーチン(シャロウズ/エンゲ/ミュッケ組)373周
5. No.11 オレカAIM(パニス/ラピエル/アヤリ組)370周
6. No.7 プジョー908HDi FAP(ミナシアン、ラミー、クリエン組)369周 

通算5回目、3年連続のルマン参戦となったB・トレルイエ(写真左)と1週間前に初の参戦が決まったA・ロッテラー。日本でSUPER GT、フォーミュラ・ニッポンに参戦中のふたりは日ごろから兄弟のように仲がよく、ルマンでもごらんのとおり。(写真=島村元子/photo=Motoko Shimamura)
通算5回目、3年連続のルマン参戦となったB・トレルイエ(写真左)と1週間前に初の参戦が決まったA・ロッテラー。日本でSUPER GT、フォーミュラ・ニッポンに参戦中のふたりは日ごろから兄弟のように仲がよく、ルマンでもごらんのとおり。(写真=島村元子/photo=Motoko Shimamura)

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■日本勢は、ホロ苦い結果に

今回も“日本一速いフランス人ドライバー”B・トレルイエがフランスの名門チーム、ペスカローロから参戦した。今年はプジョーのサテライトチームとして908HDiが貸与され、トレルイエもディーゼルエンジンのレーシングカーを初ドライブした。

決勝ではアウディ、プジョーらの後方からじわりじわりとポジションを上げ、あわよくば表彰台の一角も……と思えたが、夜明け前の午前4時過ぎ、トレルイエがドライブするNo.17 プジョーは、ダンロップコーナーを過ぎた先でクラッシュ。マシンは大破した。一時はその安否が気遣われたが、幸い大事には至らず、レース後には元気な姿を見せている。

また、2004年にルマンを制したNo.5 NAVIチームゴウの荒聖治も、午後1時45分すぎにユノディエールのファースト・シケインでスピン、ガードレールにヒットしたあと、タイヤバリアに激突。こちらも激しくマシンが大破。チェッカーを目前にしてリタイヤを余儀なくされた。

日本で馴染みのあるドライバーのなかで、唯一ゴールまでたどりついたのは、SUPER GTで活躍するA・ロッテラー。No.14のコレスで7位完走(360周)を果たしている。

(文=島村元子/text=Motoko Shimamura)

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