クライスラーとフィアット、熱愛なるか!?

2009.05.12 自動車ニュース

クライスラーとフィアット、熱愛なるか!?

2009年4月30日、米クライスラー社は連邦破産法第11条の適用を申請し、事実上倒産した。世界最大の自動車消費国アメリカ、そのビッグ3の一角が崩壊したというニュースは、日本を含む世界中で大きく報じられた。それから2週間が過ぎたいま、アメリカ人はこの事態をどう見ているのか……?

■お相手はナニモノ?

結論から言ってしまえば、「気にしていない」というのが、多くのアメリカ人の反応だろう。
その最大の理由は、破綻の数週間前からすでに「アメリカ政府の主導で(=政府による庇護のもとで)30〜60日間の短期再生を前提とした倒産になる」と報道されてきたからだ。今回の倒産は、証券業界用語で言うところの“織り込み済み”案件なのだ。実際、『CNN』や『CNBC』などアメリカのニュース番組で「クライスラー倒産」についての街角インタビューをしても、「別に気にしていませんけど」という反応が大半である。

では、クライスラーが伊フィアットと手を取り合うことについて、アメリカ人はどう見ているのか?
米議会では、「導入した公的資金(=税金)をイタリアに払っているようなものだ」という、政府に対する反発の声が聞こえる。この“税金のゆくえ話”については、筆者の身辺にいるアメリカ人に聞いても賛否両論、意見が分かれるところなのだが、そもそも「Fiat, who ?(フィアットって誰?)」と言う声もあるから驚きだ。
フィアットが投資ファンドなのかナンなのか、見当がつかないアメリカ人は少なからずいる。現在、アメリカで発売されているイタリア車は、フェラーリとマセラティのみ。しかも、その販売量は2009年4月の販売実績で、フェラーリが116台、マセラティが108台と、わずかなものだ。同月の全米自家用車販売総数81万9540台のなかで、である。イタリア車のシェア、0.02%。アメリカ人にとって遠い存在なのは、イタしかたない問題なのかも知れない。

■フィアット500は期待の星!?

『webCG』読者にとってメジャーなイタリアンブランド、アルファ・ロメオは1995年まで米国内で正式販売されていた。しかしいま米国内で遭遇することは、まずない。すでに多くのアメリカ人にとって「Alfa Romeo, who ?」なのである。
2006年7月には、フィアットは「2009年後半に北米市場にアルファ・ロメオを投入、アルファ159のセダンとスパイダーを扱う」と正式にコメントしていたものだが……今回のクライスラーとの一件で、その計画を遂行するかどうかは、微妙になったのではないだろうか。

とはいえ、いい話もある。アメリカ国内のディーラーや一般ユーザーからは、インターネットなどで「フィアット500を是非アメリカに!」という声が見られるのだ。実際、BMWが手がける「MINI」の、2009年4月における販売実績は3657台だったから、そのライバルにあたるフィアット500もアメリカ国内で年間3〜4万台前後の販売を狙える可能性はある。

フィアットとともに設立される新会社は、「(事業再生後も)クライスラーの現行事業は継続する」としている。だが、近い将来、多様なリストラ策が講じられることに疑う余地はない。そのなかで揺れ動く、クライスラー、ダッジ、ジープ、フィアット、アルファ・ロメオ、さらにはフェラーリとマセラティ。どの車種を生き残らせ、どの車種をイタリアから導入するかは、今後も注目のポイントだ。
「Fiat, Alfa Romeo, who?」ではなく、「Fiat, Alfa Romeo, Great!!(フィアット、アルファロメオは最高さ!)」。クライスラー再生後に、アメリカ人からそうした声が聞こえる日がくることを願いたい。

(文=桃田健史(IPN))


クライスラーとフィアット、熱愛なるか!?の画像
クライスラーとフィアット、熱愛なるか!?の画像
「アルファ159セダン」
「アルファ159セダン」
フィアットの人気モデル「500」。アメリカでも輸入を望む声が目立つとか!? 写真は2008年2月、日本におけるデビュー時の様子。
フィアットの人気モデル「500」。アメリカでも輸入を望む声が目立つとか!? 写真は2008年2月、日本におけるデビュー時の様子。

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