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【スペック】全長×全幅×全高=4995×1810×1475mm/ホイールベース=2925mm/車重=1820kg/駆動方式=FR/4.6リッターV8DOHC32バルブ(347ps/6400rpm、46.9kgm/4100rpm)/価格=790万円(テスト車=926万5000円)

トヨタ・クラウンマジェスタGタイプ Fパッケージ(FR/8AT)【試乗記】

これぞニッポンの技 2009.04.28 試乗記 トヨタ・クラウンマジェスタGタイプ Fパッケージ(FR/8AT)
……926万5000円

日本人の好みや指向を徹底的に研究して造られたクルマ「クラウンマジェスタ」。“グローバル化”という言葉に翻弄されない国内専用モデルの魅力とは? 最上級グレードを試した。

人間を楽にするツボ

このページを見てくださっている読者の皆さんの多くは、もしかしたらヨーロッパのクルマが大好きなのではないか。だとしたら「トヨタ・クラウンマジェスタ」なんぞ、「どうよ?」と思うかもしれない。とにかく「ニッポン」してるクルマだから。料理でいうなら和食。お客さんの喜びそうなものを彩り良く詰め込んだという点では、老舗の料亭の特製松花堂弁当みたいなクルマなのだ。

でも、それこそがマジェスタの最大の魅力でもある。日本の平均的なクルマ生活の形、つまり道路が混んでいて速度も高くなく、あまり遠出も多くない中で、何より安楽さと便利さを最優先させてある。乗用車の役割は人間を楽にすることだから、どんな人が乗ってどう走りたいのか、徹底的に観察し抜いたところが凄い。

乗った印象を総括すると、まずリアシートがとても広い。クラウンよりホイールベースを75mm延ばしたぶん全部をリアシートにあげた結果、のうのうと脚を投げ出すどころか組んでも前に当たらない。電動でリクラインさせると、デレッとだらしなく寛げる(その場合、お尻が前にずれそうだが)。

最高級グレードの「Gタイプ Fパッケージ」(これのみ4人乗り)では、リアの左側だけ電動で足乗せ台(オットマン)も出てきて、旅客機のファーストクラスのようにゆったりお休みモードにもできる。普段は軽く見ていても、いざ使ってみると快適で、なるほど、こういうクルマは誰かに運転してもらうものだと思ったりする。

Gタイプ Fパッケージでは、リアの空調やシートヒーター、オットマンなどがセンターアームレストで調整できる。リアエンターテイメントシステムはオプション装備。
Gタイプ Fパッケージでは、リアの空調やシートヒーター、オットマンなどがセンターアームレストで調整できる。リアエンターテイメントシステムはオプション装備。
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トヨタ・クラウンマジェスタGタイプ Fパッケージ(FR/8AT)【試乗記】の画像 拡大
後席の足元スペースが75mm拡大したおかげで、ゆったりとくつろぐことができる。
後席の足元スペースが75mm拡大したおかげで、ゆったりとくつろぐことができる。 拡大
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静かさピカイチ

それに、静かだ。もともと静粛性では定評のある4.6リッターのV8(1UR-FSE、つまりレクサスLS460と同じ、ただし4WDは4.3リッター)だが、やたら遮音を効かせた不気味な感じではなく、エンジンらしい響きの快い部分だけを耳に届ける、いわば「聞かせる静けさ」が巧く演出できている。もっとも、普通に走る範囲では、ことさらエンジン音を味わうチャンスは少ない。軽く踏んでせいぜい2500〜3000rpmほども引っ張れば、あとは8段ATが勝手にシフトアップして、どこまでもス〜ッと滑るように行ってしまうからだ。

もちろんクルマの性格からしてマニュアルモードなど余興にすぎない。たぶんユーザーのほとんどは、生涯Dレンジしか使わないだろう。ちなみにトップギア(8速)での100km/hはわずか1500rpmにすぎず、これでは音など気になるわけがない。

いや、だからこそ褒めたいのがクルマ全体の静粛性。エンジンが静かだと、相対的にほかの音が聞こえやすくなるものだが、風切り音もロードノイズも非常に効果的に締め出されている。それも重量を増さないよう、必要最低限の遮音材で実現したというから、まさに殊勲賞ものだ。

乗り心地は柔らかいが、けっしてグニャグニャすぎるわけでもない。さりとて堅固な芯を秘めているわけでもなく、意地悪く言えば少し前の時代っぽい。そこで不思議なのは、よく観察すると確実にフラットに車体を支えてくれて、大きな凹凸を通過しても、フワッと来る上下動をしっかり吸収し反復しない。これはこれなりに程良いまとまりだろう。

本杢目のパネルを大胆に採用し、クラウンとの差別化が図られたインテリア。
本杢目のパネルを大胆に採用し、クラウンとの差別化が図られたインテリア。
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Gタイプ Fパッケージに標準のプレミアム本革は、上質な国産牛を素材としている。
Gタイプ Fパッケージに標準のプレミアム本革は、上質な国産牛を素材としている。
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助手席側後席にはオットマンが採用される(Gタイプ Fパッケージのみ)。
助手席側後席にはオットマンが採用される(Gタイプ Fパッケージのみ)。
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マジェスタの存在理由

ハンドリングは基本的に大味。普通に走れば普通だからまったく問題ないし、とても扱いやすいが、緊急回避的な状況では、ドライバーの動きに対しクルマの反応が少し遅れ気味。ちょっと元気に攻めると、どうしてもコーナリングのラインが膨らみ気味になる。ここはコンマ何秒か早め多めに切り込むのがコツ。もっとも、これは上級バージョンの話で、ベーシック級のAタイプにスポーティな味付けを施した「Lパッケージ」だと、予想以上にシャッキリ鋭く曲がってくれる。

どちらもタイヤサイズは同じ(235/50R17 96V)だが、のんびりエコ仕様(ヨコハマdB675)とキビキビ仕様(BSトゥランザER23)の性格付けにも原因があるかもしれない。これは優劣の問題ではなく、マジェスタをとう使いたいかで選ぶべきものだ。

もちろん日本の、しかもトヨタの、それもこんな高価格車だから、ここに紹介しきれないほど装備も充実している。メーターの文字の大きさやコントラスト、ナビ画面のサイズなども充分で老眼に優しい。想定したユーザー像を正確に理解している証拠だ。

それならクラウンで充分という声も聞こえそうだが、そこにマジェスタならではの存在意義もある。クルマ界には「上下」を意識する階級意識があり、特にオーソドックスなセダンでは根強い。その中でクラウンが支持されているのは、何より「トヨタ」だから。成功してはいるが、無用に背伸びしていない記号として、トヨタはレクサスより信用されている。でもクラウンは圧倒的な多数派だから、それより「上」で、しかも「トヨタ」という選択肢として、マジェスタを選ぶ理由がある。でも作る側としては、クラウンより上級だがレクサスを超えることは許されないわけで、すごく苦労したに違いない。

(文=熊倉重春/写真=郡大二郎)

プリクラッシュセーフティシステムは、前方のみならず、斜め前方の車両も検知できるようになり、安全性がさらに向上した。
プリクラッシュセーフティシステムは、前方のみならず、斜め前方の車両も検知できるようになり、安全性がさらに向上した。 拡大
幅広い世代からの被視認性を高めたメーターパネル。
幅広い世代からの被視認性を高めたメーターパネル。
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【テスト車のオプション装備】
ボディカラー(プレミアムシルバーパール)=2万1000円/プリクラッシュセーフティシステム&後方プリクラッシュセーフティシステム&前側方プリクラッシュセーフティシステム+プリクラッシュシートバック+レーンキーピングアシスト=103万9500円/クリアランスソナー&サイドモニター+インテリジェントパーキングアシスト=10万5000円/パワートランクリッド=5万7750円/リアエンターテイメントシステム=14万1750円)
【テスト車のオプション装備】
ボディカラー(プレミアムシルバーパール)=2万1000円/プリクラッシュセーフティシステム&後方プリクラッシュセーフティシステム&前側方プリクラッシュセーフティシステム+プリクラッシュシートバック+レーンキーピングアシスト=103万9500円/クリアランスソナー&サイドモニター+インテリジェントパーキングアシスト=10万5000円/パワートランクリッド=5万7750円/リアエンターテイメントシステム=14万1750円) 拡大

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