第4戦バーレーンGP「トヨタの夢、バトンの重みある1勝」【F1 09 続報】

2009.04.27 自動車ニュース
スタートで1-2を維持したトヨタ。トップのティモ・グロックの背後では、ヤルノ・トゥルーリとルイス・ハミルトンの2位争いがスパークした。(写真=Toyota)
第4戦バーレーンGP「トヨタの夢、バトンの重みある1勝」【F1 09 続報】

【F1 09 続報】第4戦バーレーンGP「トヨタの夢、バトンの重みある1勝」

2009年4月26日、バーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたF1世界選手権第4戦バーレーンGP。トヨタがグリッド最前列を独占し、前戦中国GPでのレッドブルに次ぐ“もうひとつの初優勝”を目撃できるか、と期待された。しかしフタを開けてみれば、ブラウン&バトンの今年4戦目にして3度目の勝利。勝因は、オープニングラップ直後のオーバーテイクにあった。

好調トヨタは、またも初勝利おあずけ。トゥルーリ(写真)、ティモ・グロックとも、最初のピットインで履いたハードタイヤに苦戦。トゥルーリは2度目のストップでソフトに戻すとペースを上げて2位ベッテルを追ったが、オーバーテイクには至らず3位でゴール。(写真=Toyota)
第4戦バーレーンGP「トヨタの夢、バトンの重みある1勝」【F1 09 続報】

■127戦目の夢

トヨタF1の戦いの火蓋は、2002年3月のオーストラリアGPで切られた。パドックの誰もがうらやむほど巨額の資金が投入された、巨大自動車メーカーのワークスチームは、以来7年間、127戦にわたり勝利をつかんでいない。歴史を紐解けば、歴代6位の未勝利記録で、間もなく5位の座(オゼッラの132戦)にも手が届く。

そのトヨタが、初めて予選でフロントローを独占した。チームとしては2005年日本GP以来3度目となるポールポジション。1位ヤルノ・トゥルーリと2位ティモ・グロック、そしてチーム全体の肩には、当然、初優勝という重責がのしかかった。

スタートでKERSを搭載するマクラーレンのルイス・ハミルトンに脅かされたが、グロック先頭、トゥルーリ2位で1-2を守った。
だが軽めのマシンは早めのピットインを意味する。トヨタは12周にトップのグロック、翌周トゥルーリがピットに飛び込んだ。2台が選んだのは、2種類あるタイヤのうちハード仕様のもの。このパフォーマンス的に劣勢のタイヤで、しかも作戦上ロングランを敢行してしまったのだ。以後2台ともペースをあげることができず、ライバルに先行されてしまった。

それでも第2スティントまではトゥルーリが2位に残っていたが、2回目のピット作業を終えるとセバスチャン・ベッテルにも先を越され、終わってみれば3位表彰台。グロックは7位がやっとだった。

トヨタは4戦を終え、毎戦得点し、コンストラクターズチャンピオンシップで3位につけている。バーレーンでようやくポイントを獲得した(かつての)名門チームもいるなか、出だしは決して悪くない。ただし、本当にほしいもの─最初の勝利─は、なかなか手に入らない。F1というスポーツは、お金だけでは勝てないのである。トヨタの挑戦は、まだ続く。

ジェンソン・バトンは、予選4位から重めのマシンでスタート。トヨタの2台が早々にピットに駆け込むと、その間みるみるマージンを築き、トップを奪った。(写真=Red Bull Racing)
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セバスチャン・ベッテルの敗因は、しぶといライバルに行く手を阻まれたこと。序盤はKERS搭載のマクラーレン、ルイス・ハミルトン、中盤ではトヨタのトゥルーリにも前を抑えられ、バトンを追うことができなかった。(写真=Red Bull Racing)
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■バトンの勝因

2009年のダークホース、ブラウンGPの勢いは、4戦目のフライアウェイにさしかかり、やや鈍さを見せはじめていた。予選では無理なくQ3に進出したものの、トヨタの2台とベッテルには抜かれ、ジェンソン・バトンは4番グリッド、ルーベンス・バリケロは6番グリッドに落ち着いた。
2人とも、ロングランでのパフォーマンスについては心配していなかったものの、マシンが軽くなったときのペースに不安を抱いていた。ライバルとのパフォーマンスギャップが、これまでよりも縮まっているということだ。

バトン/ブラウンにとって最悪のシナリオは、スタートでトヨタやベッテルではなく、予選5位のルイス・ハミルトンに抜かれることだった。マシン自体の性能は劣るマクラーレンだが、KERSを使えば電気モーターによる80馬力ものアシストでロケットスタートを決められる。しかもレース中はコースの要所要所でKERSの助けを借り、後続を抑えることもできる。

案の定、スタートで俊足ぶりを披露したハミルトンは、トヨタ1-2の一角を崩す勢いで3位までジャンプアップした。だがその後ろに続くバトンは、オープニングラップでハミルトンの些細なミスを逃すことはなかった。2周目の第1コーナーでハミルトンのインを突き、ブラウンは3位の座を手に入れることに成功した。このオーバーテイクで、勝敗は決まったと言っても過言ではない。

いっぽう、ハミルトンを攻略できなかったのがベッテルだった。2回目のピットインでトゥルーリを抜き2位にポジションアップできたが、レース序盤、ハミルトンに抑えられたことが表彰台の頂上に上がれなかった敗因のひとつとなった。

最初のピットインで見事首位に躍り出たバトンにとって、ペースが上がらなくなった2位トゥルーリが3位ベッテルを抑えてくれたことも幸運だった。

4戦連続ノーポイントという史上最悪の記録を免れたフェラーリ。ルカ・ディ・モンテゼモロの前で6位でフィニッシュしたキミ・ライコネンは、レース後、初得点に喜びつつも前途多難であることを認めた。(写真=Ferrari)
第4戦バーレーンGP「トヨタの夢、バトンの重みある1勝」【F1 09 続報】
ルノーの“問題児”、ネルソン・ピケJr.は、過去3戦の不調を払いのけようと健闘し10位で完走した。元ワールドチャンピオン、フェルナンド・アロンソは8位に入りぎりぎりの入賞。(写真=Renault)
第4戦バーレーンGP「トヨタの夢、バトンの重みある1勝」【F1 09 続報】

■追われるもののプレッシャー

バトンは早くも今シーズン3勝目を飾ったが、バーレーンでの1勝は、これまでの2勝とは違う、重みのある勝利だった。
それをあらわすように、表彰台の上のバトンの表情は、2連勝のときとは明らかに違う、ある種の達成感に満ちていた。

開幕2戦でブラウンに圧勝を許したライバル勢が、徐々にその差を詰めている。
追われるものの立場で戦わなければならないバトン/ブラウンが立ち向かわなければならない大きなプレッシャー。それをはねのけ、セーフティカーや中断がないクリーンなレースで勝ち取った1勝の重み。来る“第2の開幕戦”、第5戦スペインGPへとつなぐ、貴重な勝利だった。

チャンピオンシップリーダーのバトンは、2位バリケロに12点もの差をつけた。またブラウンはコンストラクターズランキングで2位レッドブルに22.5点ものギャップを築いた。

各チームがマシンを進化させてやってくるスペインGP決勝は、5月10日に行われる。

(文=bg)

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