第2戦マレーシアGP「大雨でも2連勝」【F1 09 続報】

2009.04.06 自動車ニュース

【F1 09 続報】第2戦マレーシアGP「大雨でも2連勝」

2009年4月5日、セパン・インターナショナル・サーキットで行われたF1世界選手権第2戦マレーシアGP。レース半ば、予想された大雨に襲われ赤旗中断。その後およそ1時間のインターバルを経て、再開は諦められた。ブラウンGPのジェンソン・バトンは、停まったままのマシンのなかで2連勝を喜んだ。

■広告効果とスタート時間

開幕戦オーストラリア、第2戦マレーシアと、この2つの“フライアウェイ”(遠征)レースは、例年に比べスタート時間が遅めに設定された。
ヨーロッパでのテレビ放映時間を考慮したこの策に対し、一部関係者やドライバーは否定的な立場をとり、オーストラリアのレース後、BMWザウバーのロバート・クビサは、日没近くの視界の悪さが危険であると指摘していた。

今回のマレーシアもスタート時刻は夕方5時。このことは、視界の問題はもちろん、南国セパン特有の大雨の可能性が高くなることを示唆していた。
現にレース中盤には走行不能なほどの雷雨に見舞われ、2007年ヨーロッパGP以来となる赤旗中断という事態に。天候の回復を待ちながら、中断直前の順位の確認作業が行われている間にも日没が近づき、結局、現地時間の午後7時前にレース続行不能と判断された。
56周のうち31周を終了。規定周回数の75%未満ということで、得点半減という措置がとられレースは終わった。

今回の大雨の混乱が、直接スタート時刻に起因しているとはいえない。しかしマイナス要素を抱えたまま広告効果を追求する姿勢には、疑問符を付けざるをえない。

■追う立場のバトン&ブラウン

決勝日のスタート前、路面はドライなものの真っ黒な雲がサーキットに近づいていた。
シグナルが変わると、2戦連続のポールシッター、ブラウンのジェンソン・バトンと予選2位につけたトヨタのヤルノ・トゥルーリが緩慢な出だし。一方で予選4位、ウィリアムズのニコ・ロズベルグがその間隙を縫い、トップを奪った。

ロズベルグを先頭に、2位トゥルーリ、3位フェルナンド・アロンソ(ルノー)、そして4位バトン。開幕戦で圧倒的な速さ・強さを見せつけたバトン&ブラウンは、追う立場からレースを組み立てることとなった。

それでも、この新興チームの力量は確かなものだった。今年からレース出走前の全マシンの重量が発表されるようになったのだが、予選最速のバトンのマシンは660kgで、予選2位のトゥルーリよりも3.5kgほど重い。

この重量、つまり燃料量の差は、ピットストップのタイミングを遅らせることにつながる。ライバルよりスティント(次のストップまでの走行)を長く走れれば、燃料を消費して軽くなったマシンでタイムを稼ぎ、スタートでたとえ前に出られても、ピットストップ後に順位を逆転することができるのだ。

バトンもその例にもれず、16周目にロズベルグ、18周でトゥルーリが給油、タイヤ交換に駆け込むなか、20周まで最初のスティントを引っ張り、見事1位の座を奪った。

■グロック&トヨタの賭け

ちょうど20周を過ぎたあたりから、雨がコースの一部を濡らし出した。土砂降りとはいえない雨、しかしじきに大雨はくるだろうという難しい状況下、多くのマシンが大雨を確信しヘビーレイン用の深溝ウェットタイヤを装着。そのなかでティモ・グロックは浅溝のインターミディエイトタイヤに賭けた。
このグロックとトヨタの作戦は奏功し、比較的降水量が少ないコースで水を得た魚のように好タイムを叩き出し、2位までのぼりつめた。
この流れに乗り、29周目、トップのバトンもインターミディエイトにスイッチ。その間グロックに首位を奪われたが、ほどなくしてコース上で追い抜きバトンがトップに返り咲く。
すると今度は、雨脚がいよいよ激しくなり、また深溝ウェットタイヤに交換することとなった……。

31周目、セーフティカーがコースに出たものの、あまりに強い雨によりレッドフラッグが振られレースは中断。セーフティカー、ピットストップ、赤旗が入り交じり順位が錯綜したため、中断後にオフィシャルは再確認に追われた。

暗がりのなか、レース続行不能と判断されたのは赤旗から約1時間後のことだった。

■開幕2戦、好調と不調

レースが半ばで終わったとはいえ、ポイントが半減したとはいえ、勝利は勝利である。バトンとブラウンGPは開幕2連勝で幸先の良いシーズンのスタートを切った。

同じく好調の波に乗るのがトヨタだ。2戦連続の3-4フィニッシュ、ヤルノ・トゥルーリとグロック両者の活躍を見れば、今年の「TF109」の完成度は高いと見ていいだろう。

一方、昨年までの“二大巨頭”は不調組に入る。マクラーレンはオーストラリアGPでのルイス・ハミルトン失格騒動だけがヘッドラインを飾り、コース上では地味な役回りに終始。ハミルトンは7位でゴール、ヘイキ・コバライネンは開幕戦に続き0周でリタイアをきっしている。

フェラーリは、予選でフェリッペ・マッサがQ1突破ならず。その理由は単純な作戦ミスによるものだった。さらに決勝では、5位走行中のキミ・ライコネンが、まったくコースが濡れていない時点でウェットタイヤを履くという愚策に出て順位を落とし14位完走。マシンのパフォーマンス以外、チーム体制に大きな問題があることを露呈した。

下克上の様相が明らかになりつつある2009年のF1。次戦は4月19日、開催時期が早まった中国GPである。

(文=bg)

2連勝に喜ぶブラウンGPのジェンソン・バトン(右から2番目)。2位ニック・ハイドフェルド(その左)、3位ティモ・グロック(同右)が表彰台にのぼった。(写真=Toyota)
第2戦マレーシアGP「大雨でも2連勝」【F1 09 続報】
スタート前、真っ黒な雲が激しい雨を予感させた。(写真=Toyota)
第2戦マレーシアGP「大雨でも2連勝」【F1 09 続報】
30周目あたりからバケツをひっくり返したような大雨。ハイドフェルドはこの状況でスピンしたものの2位の座を獲得。(写真=BMW)
第2戦マレーシアGP「大雨でも2連勝」【F1 09 続報】
レース開始後1時間して赤旗中断。約1時間、雨降りしきるコース上にマシンは停まったままだった。(写真=Ferrari)
第2戦マレーシアGP「大雨でも2連勝」【F1 09 続報】
好調トヨタは2戦連続表彰台&ダブル入賞。喜ぶティモ・グロック(右)と山科忠チーム代表。(写真=Toyota)
第2戦マレーシアGP「大雨でも2連勝」【F1 09 続報】
開幕戦オーストラリアGPの失格騒動だけが取りざたされた感のあるマクラーレン。ルイス・ハミルトンは7位に入賞したものの、コース上では特筆すべきことなく終わった。(写真=Mercedes Benz)
第2戦マレーシアGP「大雨でも2連勝」【F1 09 続報】

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。