フォルクスワーゲン、「超速ブレーキや自動運転を提供します」

2009.03.02 自動車ニュース

フォルクスワーゲン、「超速ブレーキや自動運転を提供します」

安全で快適な道路交通を目指すシステム「ITS」。そのデモイベントで来日したフォルクスワーゲンの車両研究リーダーが、同社の注目技術を紹介した。

■海外メーカーも参加

カーナビやETCなど、自動車の電子技術で発展めざましいニッポン。いまや、レーンキープ走行、完全自動運転などカーエレクトロニクスで交通事故を未然に防ぐ「ITS(Intelligent Transport System〜高度道路交通システム)」という構想のもと、官民一体となって「ITS推進協議会」を結成。「ITS先進国・日本」を目指している。

そんななか、既報のとおり、東京お台場の臨海副都心で「ITS-SAFETY 2010」が開催された。各自動車メーカー各社は最新車両を展示。ユーザーの体験走行も行われた。そこで目を引いたのが、ドイツから参加したフォルクスワーゲンの「パサートCC V6 4MOTION」だ。
世界唯一の速度無制限道路「アウトバーン」を有する国だから、セーフティ研究開発の先進性はよく知られるとおり。今回フォルクスワーゲン本社から、エレクトロニクス・車両研究リーダー、マルクス・リーンカンプ博士が来日。同社の“未来カー”構想について語った。

■超速ブレーキと自動運転に注目

現在、量産車に「レーンアシスト」「アダプティブ・シャシー・コントロール」「パークアシスト」「アダプティブ・クルーズ・コントロール」を用意している同社。これに加えて、近未来に搭載可能な注目技術は、以下の2つだ。 

ひとつは、「パイロブレーキ」。ステレオカメラなどセンサー類を通じて衝突が避けられないと判断された場合、自動で、しかも「スドン!」と急激に効く“スーパーブレーキ”だ。通常のABS(アンチロックブレーキ)なら0.6秒かかるところを、0.08秒で緊急制動を実施する。各種センサーが異常事態を感知すると、ABS内部の火薬が点火してブレーキを強制作動させるというのがミソで、結果的に、衝突速度は5km/h軽減される。このパイロブレーキ、近年中に量産車への搭載が期待される。

もうひとつは、「iCAR(アイカー)」。これは、インテリジェントカー、すなわち、自らの判断で安全運転できるような、完全自動運転車のことだ。
フォルクスワーゲンの実験映像によれば、たとえば、自動運転はこんな感じ。3車線の長い直線路、「iCAR」装備車両が右側車線を走行。前方に速度の遅いクルマがいると、自動的に中央車線に車線変更し、追い越した後に元の車線に戻っていく――360度アングルのカメラや各種センサーによって、運転席は「完全無人化」が可能になる。

こうしたフォルクスワーゲンの取り組みは、2005年に北米で開催された無人車レース「グランドチャレンジ」が原点だ。そのときは「トゥアレグ」ベースの「スタンレー」というクルマを投入したが、この車両の研究リーダーは今回来日したリーンカンプ博士だった。iCARの実用化について、リーンカンプ博士は「近年中の導入は十分可能だと思っている。将来的にはアウトバーンなどでも使用したいが、まずは混雑する市街地などでの低速走行から実用化されると考えている」と語った。

このほかにも、フォルクスワーゲンは各種の「未来カーへの秘策」を研究中とのこと。なお、そうしたアイディアが実現される際は、「パサートCC」がその量産第1号になるようだ。

(文=桃田健史(IPN))

「ITS-SAFETY 2010」にデモ車両として参加した「パサートCC V6 4MOTION」。
フォルクスワーゲン、「超速ブレーキや自動運転を提供します!」
フォルクスワーゲンAGグループ研究所のエレクトロニクス・車両研究リーダー、マルクス・リーンカンプ博士が来日。フォルクスワーゲンの未来技術について語った。
フォルクスワーゲン、「超速ブレーキや自動運転を提供します!」
アダプティブ・クルーズ・コントロールを解説するリーンカンプ博士。
フォルクスワーゲン、「超速ブレーキや自動運転を提供します!」
完全自動運転車「iCAR」(のスライド説明)。実験車両は2008年5月に完成、現在は「インテリジェント輸送のための高度自律自動車」というプロジェクトで研究が継続されている。
フォルクスワーゲン、「超速ブレーキや自動運転を提供します!」

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