【スペック】全長×全幅×全高=4585×1815×1435mm/ホイールベース=2760mm/車重=1660kg/駆動方式=FR/4リッターV8DOHC32バルブ(420ps/8300rpm、40.8kgm/3900rpm)/価格=1023万円(テスト車=1101万5000円/エクステンド・ノヴィロ・レザー=20万5000円/M Driveパッケージ=45万円/アンソラジット・シカモア・ウッド・トリム=9万1000円/ラゲージ・コンパートメント・パッケージ=3万9000円)

最新トランスミッション比較「ツインクラッチ&トルコンレスAT」(前編)【動画試乗記】

M DCTドライブロジック 2009.02.25 試乗記 BMW M3セダン(FR/7AT)
……1101万5000円


オートモード付きMTとマニュアルモード付きAT、その違いは一体どこにあるのか? 技術解説と試乗テストの両面から、それぞれの特徴を浮き彫りにしていく。

自動車技術ライター 松本英雄がメカを解説

このところ、トランスミッションの多様化が進んでいる。ヨーロッパ車を中心にツインクラッチ式トランスミッションを採用するクルマが増えているのはご存じのとおり。さらに最近では、ATをベースに変速タイムを短縮した新しいトランスミッションも出てきた。そこで今回は、それら最新のトランスミッションを搭載する「BMW M3」と「メルセデス・ベンツSL」をテスト。タイプの異なる2種類の技術的な特徴とドライブフィールを見ていく。

「BMW M3」が採用する「7段M ドライブロジック」(以下DCT)は、マニュアルトランスミッションを進化させ、3軸タイプのシーケンシャルトランスミッションとしたもの。このトランスミッションの最大の特徴は、1、3、5、7速の奇数ギア と、2、4、6速の偶数ギアに別のクラッチを使っていること。構造的には、フォルクスワーゲン系のツインクラッチ式トランスミッションDSG(やSトロニック)とよく似ている。

クラッチを2枚使うことのメリットは、シフトアップやシフトダウンでギアを切り替えるとき、次のギアに繋いだ状態でクラッチだけを切り離し待機させておくことができるため、ギアチェンジを素早く行える点にある。

構造的にはマニュアルトランスミッションをふたつ搭載しているようなイメージだが、シフトレバーの見た目はATのそれに近い。クラッチ操作を電子制御で行うことから機能アップが図りやすく、この手のトランスミッションを搭載するモデルにはほぼもれなくオートモードが備わっている。さらにモデルによっては変速スピードをコントロールできるものもある。BMWのDCTの場合では、自動変速のプログラムだけで5種類。シーケンシャルモード(マニュアル変速モード)では6種類のモードが選択できる。

DCTの長所をまとめると、構造がシンプルで軽い。マニュアルトランスミッションと同じように歯切れの良い変速感が得られる。スポーツ走行に向いている。燃費に優れることなどが挙げられる。トルクの伝達効率が高いため、燃費は従来のマニュアルトランスミッションとほぼ同等と思っていい。また変速が早いゆえにシフトアップ時にエンジンの回転落ちが少なく、いわゆるエンジンのおいしい領域をフルに使いやすいことも利点として挙げられるだろう。

弱点を挙げるとすれば、スタートがギクシャクしやすいことと、3軸式でシャフト数が多いぶんノイズが発生しやすいことなどが考えられる。ただしこれは理論的にそうなりやすいというだけで、実際の仕上がりは別の話。そのあたりの判断は動画インプレッションに譲りたい。

(文=松本英雄/写真=菊池貴之)

五味康隆がドライブフィールをチェック


(リポート=五味康隆)

→ 最新トランスミッション比較(後編)− AMGスピードシフトMCT

関連記事
  • 第413回:いよいよ600ps超の4WDマシンへ
    今秋発表の新型「BMW M5」に先行試乗!
    2017.5.17 エディターから一言 「BMW M5」が2017年秋、その歴史において大きく、かつ重要な一歩を踏み出す。新型は、いよいよ600ps超のパワーを持つに至り、それに伴い4WD化されるというのだ。南フランスのテストコースでプロトタイプに試乗した。
  • ポルシェ・カイエンGTS(4WD/8AT)【試乗記】 2017.5.16 試乗記 発表から7年、その後のマイナーチェンジからもはや2年半が経過した2代目「ポルシェ・カイエン」。もはや円熟の域に達した感のある同車は今、われわれにどんな走りを見せてくれるのだろうか。スポーティーな「GTS」グレードのステアリングを握った。
  • レクサスLC【開発者インタビュー】 2017.5.5 試乗記 一台のニューモデルという枠を超えて、これからのレクサスの方向性を指し示すという重要な役割を担うことになる「レクサスLC」。欧米のプレミアムブランドに立ち向かうための戦略を、開発を担当した落畑 学さんに伺った。
  • 「ベントレー・ベンテイガ」にカジュアルな新グレードが登場 2017.5.1 自動車ニュース ベントレー モーターズ ジャパンは2017年5月1日、装備内容を見直してよりカジュアルに仕立てた「ベンテイガ」の新グレード「ベンテイガ オニキス エディション」を発表した。車両価格は2399万円。
  • フェラーリGTC4ルッソ(4WD/7AT)【試乗記】 2017.5.8 試乗記 ユニークなシューティングブレークボディーをまとう「フェラーリGTC4ルッソ」に試乗。6.3リッターV12エンジンが発する咆哮(ほうこう)に浴すれば、この異形のフェラーリが、正統派の系譜にあることがすぐに理解できるだろう。
  • フェラーリGTC4ルッソT(FR/7AT)【海外試乗記】 2017.4.18 試乗記 V12からV8ターボへ、4WDからFRへと改められた「フェラーリGTC4ルッソT」は、見た目からすればGTC4ルッソ・シリーズの追加グレードだ。しかし乗ればその差は歴然。V12モデルとは似て非なるグランツーリスモに仕上がっていた。
  • アバルト595(FF/5AT)【試乗記】 2017.5.19 試乗記 FCAが擁する高性能スポーツブランド「アバルト」のラインナップにおいて、最もベーシックなモデルとなるのが「595」である。刺激的な走りと門戸の広さを併せ持つAT仕様に試乗し、“さそり印”のスポーツカーに受け継がれる伝統に思いをはせた。
  • マセラティ・レヴァンテ ディーゼル(4WD/8AT)【試乗記】 2017.5.15 試乗記 いよいよデリバリーが始まった「マセラティ・レヴァンテ」のディーゼルモデルに試乗。いたるところにちりばめられたブランドシグネチャーとは裏腹に、巨大なボディーやエンジンのフィーリングなど、筆者の知る“マセラティ”とはまるで別物……。お前は一体何者だ? その正体がはっきりと見えたのは、伊豆のワインディングロードだった。 
  • レクサスLC500“Lパッケージ”/LC500h“Lパッケージ”【試乗記】 2017.5.4 試乗記 “製品化を前提としない”はずだったコンセプトカーの発表から5年。ほとんどそのままの姿で登場し、世間を驚かせた「レクサスLC」がいよいよ日本の公道を走る。新開発のFRプラットフォームや10段AT、マルチステージハイブリッドなどの技術を満載した、新世代のラグジュアリークーペの出来栄えは?
  • BMW i3スイート レンジ・エクステンダー装備車(RR)【試乗記】 2017.5.3 試乗記 マイナーチェンジにより、400kmにせまる一充電走行可能距離を実現したBMWの電気自動車「i3」。レンジ・エクステンダーを搭載した最上級グレード「スイート」の試乗を通し、類例のないその魅力をあらためて確かめた。
ホームへ戻る