キャデラックの新型スポーツセダン「ATS」発表

2012.11.15 自動車ニュース
キャデラック、新型スポーツセダン「ATS」を発表

キャデラックの新型スポーツセダン「ATS」発表

ゼネラルモーターズ・ジャパンは2012年11月15日、キャデラックブランドの新型セダン「ATS」を発表した。

フロントヘッドランプやテールランプにはLEDが採用される。
フロントヘッドランプやテールランプにはLEDが採用される。
276psを発生する2リッター直4直噴ターボエンジン。
276psを発生する2リッター直4直噴ターボエンジン。
キャデラックの新型スポーツセダン「ATS」発表の画像

■新しいエントリーモデル

ゼネラルモーターズ・ジャパンは「キャデラックATS」を「エントリー・ラグジュアリー・クラス」と捉えており、欧州、特にドイツのライバル車たちに伍(ご)して、北米市場はもとより欧州、中国、そして日本といった世界各地のマーケットで存在感をアピールすることを狙っている。ちなみに、ATSは北米市場で2012年8月に発売され、キャデラックブランド以外からの買い換えが約7割を占めるなど、キャデラックのエントリーモデルとして新たな顧客層の開拓に成功しつつあるようだ。

エクステリアは、先鋭的でエッジの利いたキャデラック独自のデザインコンセプト「アート&サイエンス」が受け継がれ、セダンとしてのシャープなプロファイルが生み出されている。縦型のヘッドランプやリアコンビネーションランプはキャデラックの“お家芸”と言え、高級感も他のモデルと同様の演出がされている。インテリアの素材には“フェイク”ではない、アルミやレザーといった“本物”の素材を惜しみなく採用していることも、従来からの“キャディ”らしい仕立てと言える。

ボディーサイズは、全長×全幅×全高=4680×1805×1415mmで、ホイールベースは2775mm。ライバル車となる「BMW 3シリーズ」や「メルセデス・ベンツCクラス」と比べると、全長はそれぞれ55/40mm長く、全幅は3シリーズより5mm狭く、Cクラスより35mm広い。全高はそれぞれ25/15mm低く抑えられている。ホイールベースはCクラスと3シリーズの間に収まる値だ。

パワートレインは、北米では2.5リッター直4や3.6リッターV6も用意されるが、日本に導入されるのは、ダウンサイジングが図られた2リッター直列4気筒直噴ターボエンジン(可変バルブタイミング付き)のみ。最高出力は276ps/5500rpm、最大トルクは35.9kgm/1700-5500rpmを発生する。これに6段ATが組み合わされ、後輪を駆動する。燃費についてはEU総合燃費で8.2リッター/100km(約12.2km/リッター)とされている。

キャデラックのグローバルな顧客層拡大を見据えて登場したATSの価格は、標準グレードの「ラグジュアリー」が439万円、上級グレードの「プレミアム」が499万円。なお、「ラグジュアリー」は2013年3月、「プレミアム」は2013年5月に販売を開始する予定で、左ハンドル仕様のみの導入となる。

■強固で軽量なボディー構造

ATSのパフォーマンスは、白紙の状態から形作られたボディー/シャシーで裏打ちされたものだ。発表会ではドイツのニュルブルクリンクサーキットでの走行テスト風景が紹介されるなど、力の入れようが見て取れる。

具体的には、日本市場に導入される2リッターターボ(AT仕様)は、豪華装備にもかかわらず車重はドイツ生まれのライバル車に匹敵する1580kgを達成。前後重量配分も50:50を実現している。各部に高張力/超高張力鋼版を与えて強化されたボディーのねじれ剛性は29000Nm/degを獲得。ホワイトボディーの重量は310kgにすぎないとされる。

軽量化に関しては、エンジンフード、フロントサブフレーム(リアはスチール製)、フロントストラットマウント、前後バンパービーム、サスペンションアームなどにアルミ素材が使用され、エンジンマウントブラケットはマグネシウム製が採用される。

このボディーに組み合わされるサスペンションは、フロントはダブルピボット(4リンク)式マクファーソンストラット、リアはキャデラックで初採用となる5リンク式マルチリンクを採用した。電動パワーステアリングはZF製を装備。ブレーキは前後ベンチレーテッドディスクとなり、フロントはアルミ製対向4ピストンキャリパーを採用したブレンボ製システムがおごられている。

キャデラックではおなじみの、磁性流体を利用してダンピングを制御する「マグネティックライドコントロール」と「LSD(リミテッドスリップディファレンシャル)」は、上級車種の「プレミアム」に設定される。なお、「ラグジュアリー」は225/45RF17タイヤに17インチペインテッドアルミホイール、「プレミアム」にはフロント:225/40RF18、リア:255/35RF18タイヤに18インチマシンフィニッシュアルミホイールが備わる。


キャデラックの新型スポーツセダン「ATS」発表の画像
インストゥルメントパネルの中央には、8インチのカラーインフォメーションディスプレイが備わる。
インストゥルメントパネルの中央には、8インチのカラーインフォメーションディスプレイが備わる。
「キャデラックATS」を披露するゼネラルモーターズ・ジャパンの石井澄人代表取締役社長(写真左)。
「キャデラックATS」を披露するゼネラルモーターズ・ジャパンの石井澄人代表取締役社長(写真左)。

■最新の安全装備も装備

快適性に目を移せば、静粛性の高さは高級ブランドのモデルとして見逃せぬ要素だ。フロント/サイドウィンドウに風切り音やパワートレインからのノイズを抑制するために、2枚のガラスの間に吸音材を挟み込んだラミネート型ガラスを採用。音響製品メーカーのBOSEと共同開発した「アクティブノイズキャンセレーション」(逆位相の音によってノイズを打ち消す効果をもつ)も備える。エンジン振動を抑制する4段階可変式エンジンマウントも見逃せない装備と言える。

安全装備もドイツや日本勢に劣らぬ充実ぶりを見せる。レーダーや超音波センサー、カメラなどを用いた衝突被害軽減システムの機能はかなりの充実ぶりだ。例えば、シートクッションに内蔵されたバイブレーターを振動させて、ドライバーへ衝突の危険性を促す「セーフティー・アラート・ドライバーシート」をはじめ、前方衝突の可能性を検知してインストゥルメントパネルなどに警告表示を実施する「フォワード・コリジョン・アラート」、全車速での追従機能をもつ「アダプティブ・クルーズ・コントロール」、低速での衝突の危険を検知して警報を発し、必要な場合には自動的にブレーキをかける「オートマチック・ブレーキ」など、数多くの機能が与えられていることは高級車として当然の対応と言えるだろう。

そのほか、インストゥルメントパネルの操作機能にも新機軸が見られる。CUE(キャデラック・ユーザー・エクスペリエンス)と呼ばれるシステムは、タブレットやスマートフォンと同様の感覚で、インストゥルメントパネル中央の8インチマルチタッチディスプレイなどによって操作を可能としている。細かいインターフェイス機能としては、スクリーンに手を近づけると操作に必要なボタンが浮き上がる「近接検知」や、スクリーンに触れると振動してフィードバックする「触覚フィードバック」などは業界初の採用となる。

(文=岩尾信哉)

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