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【スペック】320dブルーパフォーマンス ツーリング スポーツ:全長×全幅×全高=4625×1800×1460mm/ホイールベース=2810mm/車重=1620kg/駆動方式=FR/2リッター直4DOHC16バルブターボ(184ps/4000rpm、38.7kgm/1750-2750rpm)/燃費=19.4km/リッター(JC08モード)/価格=511万円(テスト車=619万1000円)

BMW 320dブルーパフォーマンス ツーリング スポーツ/320i xDrive ラグジュアリー【試乗記】

遅れてきた主役 2012.11.26 試乗記 BMW 320dブルーパフォーマンス ツーリング スポーツ(FR/8AT)/320i xDrive ラグジュアリー(4WD/8AT)
……619万1000円/598万8000円

かつてないほど大規模なファミリーになりつつある「BMW 3シリーズ」。セダンにワゴン、ガソリンにディーゼルにハイブリッド、さらにはFRに4WD――さて、ベストバイはどれなのだろうか。

ラインナップに死角なし

BMWはできる限りICE(内燃機関)を貫こうとする自動車メーカーだと思っていた。社名に発動機と付く会社だし、これまでつくってきたエンジンはどれもスイートだったから、同じように考えた人は少なくないはずだ。
それでも、いよいよICEだけで時代を乗り切るのはキツいとなった際、HV(ハイブリッド車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、EV(電気自動車)、FCEV(燃料電池車)へ向かうのではなく(もちろん研究はしていただろうが)、FCEV同様に水素は用いても、発電のためではなくICEの燃料として使う姿を見て、多くのクルマ好きがバイエルン発動機を応援したはずだ。

ところが、別にこっそり増やしたわけではないだろうが、BMWはいつの間にかICEあり、HVあり、EVも量産しようと思えばできますよという多種多様なソリューションをもつメーカーになっていた。そりゃBMWはエンジンを組み上げる職人集団ではなく、利潤を追求する企業だから、よそに負けぬよう効率よく(自動車の)効率を上げるのは当然だ。BMW=エンジンというイメージが薄れる積極展開に一抹の寂しさはあるが、同時にこの会社がつくる次世代車はどうなんだ? と興味もわいてくる。
そう思って先日「アクティブハイブリッド3」に乗ったらあなた、読んでいただければわかるように、組み合わせられるエンジンの魅力すら増幅させるパーフェクトな出来栄えだった(アクティブハイブリッド3の試乗記はこちら)。

さらに、BMWはエミッションが世界有数に厳しい日本市場にもディーゼル車のラインナップを増やす努力を続けている。「3シリーズ」にもディーゼルが追加された。日本で同一車種にガソリン、ディーゼル、HVの3種の動力源を用意するのは(日本車を含めても)「3シリーズ」と「5シリーズ」だけ。すべての組み合わせが選べるわけではないものの、3シリーズは、ガソリンありディーゼルありHVあり、MTありATあり、それぞれに5つのトリムあり、そしてワゴンありと、どっからでもかかってこい! と言わんばかりだ。
来年にはクーペも出る。カブリオレも出るだろう。当然、Mも出る。Mのパワートレインはどう変わるのか? 驚かせてほしい。

レッドステッチ入りのレザーステアリングホイールは「スポーツ」仕様の証し。試乗車にはさらにオプションのバリアブル・スポーツステアリングが装着されていた。
レッドステッチ入りのレザーステアリングホイールは「スポーツ」仕様の証し。試乗車にはさらにオプションのバリアブル・スポーツステアリングが装着されていた。 拡大
ノーマルシートは表皮がクロスとなるが、オプションでこのようにステアリングと歩調を合わせて赤いハイライトが入るレザーを選ぶこともできる。
ノーマルシートは表皮がクロスとなるが、オプションでこのようにステアリングと歩調を合わせて赤いハイライトが入るレザーを選ぶこともできる。 拡大
赤いハイライトは後席にも施される。ダコタレザーシートは28万4000円のオプション。
赤いハイライトは後席にも施される。ダコタレザーシートは28万4000円のオプション。 拡大
荷室容量は先代「3シリーズツーリング」より35リッター大きい495リッター。40:20:40分割の後席を畳めば、最大で1500リッターまで拡大することができる。(写真をクリックするとシートが倒れる様子が見られます)
荷室容量は先代「3シリーズツーリング」より35リッター大きい495リッター。40:20:40分割の後席を畳めば、最大で1500リッターまで拡大することができる。(写真をクリックするとシートが倒れる様子が見られます) 拡大

ワゴンなら迷わず「320d」

「320dブルーパフォーマンス ツーリング スポーツ」というのが、今回テストしたモデルの名前。「ブルーパフォーマンス」はメルセデスの「ブルーテック」に相当するクリーンディーゼル搭載車の証しだ。

2リッター4気筒の直噴ターボは、最高出力184ps/4000rpm、最大トルク38.7kgm/1750-2750rpmを発生する。マツダが「アテンザ」(や「CX-5」)に搭載するSKYACTIV-Dエンジンは、同175ps/4500rpm、同42.8kgm/2000rpmと、プラス200ccの余裕もあってさらにトルキーなスペックを誇るが、まぁ最新の2リッター4気筒のディーゼルターボエンジンはだいたい180ps、40kgm前後の実力を有するということ。

トルクが40kgm近くあれば、そりゃ速い。わずか1750rpmから最大トルクを発生するので、低回転からグイグイくる。近頃はガソリンでも直噴ターボだと最大トルクは同じくらい低い位置で生み出すが、発生する絶対値が違う。アクセルをグイッと踏んだら4リッター級のV8ガソリンエンジンと同程度の力を発生するわけで、それを車重1620kgの車体に載せているのだから、推して知るべし。

6段時代から変速時のスムーズさに優れていたATは、8段化によってステップ比が小さくなり、余計にスムーズに。加速がシームレスなので、いつ変わっているのか注意していないと気付かない。振動も騒音も巧妙に抑えられていて、ディーゼルのデメリットはないに等しい。価格は511万円。多少の装備の違いはあれど、ガソリンの「328iツーリング スポーツ」が607万円だからディーゼルは約100万円安で買える。動力性能は遜色ないどころか、少なくとも体感上は上回る。もちろん燃費はいいし、燃料代も安い。ツーリングの場合、セダンと違って「320i」や「アクティブハイブリッド3」は設定されず、エンジンはガソリンの328iかディーゼルの320dから選ぶことになるのだが、買うならもう絶対に320dだ。

なお、新型のツーリングはまっとうなパッケージで、リアシートまではセダンとまったく同じように使え、当然ながらラゲッジ容量はセダンを上回る。ツーリングはセダンよりも70kg重いが、ディーゼルの太いトルクで帳消しになるし、セダンとの挙動の違いはわからないレベルだ。セダンとの価格差は21万円だから迷ったらワゴンを買っていいのでは? ともあれ、3シリーズはとにかくディーゼルを薦めたい。

38.7kgmの最大トルクを発生する2リッター直4ディーゼルターボエンジン。DPF(粒子状物質除去フィルター)とNOx(窒素酸化物)吸蔵還元触媒を装着し、厳しい日本のポスト新長期規制をクリアした。
38.7kgmの最大トルクを発生する2リッター直4ディーゼルターボエンジン。DPF(粒子状物質除去フィルター)とNOx(窒素酸化物)吸蔵還元触媒を装着し、厳しい日本のポスト新長期規制をクリアした。 拡大
新型にも独立開閉式リアウィンドウが採用されている。小さな荷物の出し入れに便利。
新型にも独立開閉式リアウィンドウが採用されている。小さな荷物の出し入れに便利。 拡大
【テスト車のオプション装備】320dブルーパフォーマンス ツーリング スポーツ:バリアブル・スポーツステアリング=6万5000円/8段スポーツ・オートマチックトランスミッション=2万2000円/フロント・センターアームレスト=2万2000円/ブラッシュドアルミトリム+ハイグロスブラックハイライト=2万7000円/電動パノラマガラスサンルーフ=21万5000円/リアサイドウィンドウ・ローラーブラインド=3万6000円/ストレージパッケージ=3万円/トップビュー+サイドビューカメラ=10万円/パーキングアシスト=4万9000円/パークディスタンス・コントロール=4万3000円/TVチューナー=10万8000円/ダコタレザーシート=28万4000円/メタリックペイント=8万円
【テスト車のオプション装備】320dブルーパフォーマンス ツーリング スポーツ:バリアブル・スポーツステアリング=6万5000円/8段スポーツ・オートマチックトランスミッション=2万2000円/フロント・センターアームレスト=2万2000円/ブラッシュドアルミトリム+ハイグロスブラックハイライト=2万7000円/電動パノラマガラスサンルーフ=21万5000円/リアサイドウィンドウ・ローラーブラインド=3万6000円/ストレージパッケージ=3万円/トップビュー+サイドビューカメラ=10万円/パーキングアシスト=4万9000円/パークディスタンス・コントロール=4万3000円/TVチューナー=10万8000円/ダコタレザーシート=28万4000円/メタリックペイント=8万円 拡大

「xDrive」で安心して駆けぬける歓び

秋の3シリーズ試乗祭りの最後は、4WDの「320i xDrive ラグジュアリー」。320iのドライブトレインに前輪駆動を加えたモデルだ。通常はフロントに40%、リアに60%のトルク配分で走行し、状況に応じて前後のトルク配分を変化させる。

320iに比べ、重量増が70kg程度に抑えられていることもあって、一般道のドライ路面でFRか4WDかを見極めるのは難しい。くねくねと曲がりくねった乙女峠をスイスイ走ることができた。4WDだからといって何も我慢するところはなく、エコカー減税も適用されるし、燃費もFRの320iに比べ1km/リッター程度しか落ちていないので、寒い地方に住む方、寒い地方へよく行く方にとっては安心感の高い3シリーズとして魅力的に映るだろう。

豊富なラインナップの3シリーズ。エンジニアリング面で最も感心したのは怒濤(どとう)のパワーと直6エンジンのスムーズネスを味わえるアクティブハイブリッド3だが、ベストバイはその8割程度のパワーを約230万円安く得られる320dだと思う。だが、3シリーズの一番の魅力はラインナップの豊富さかもしれない。

(文=塩見智/写真=小林俊樹)

4WD仕様はセダンボディーにのみ用意される。エンジンは184psのガソリン2リッターターボ(320i)のみ。
4WD仕様はセダンボディーにのみ用意される。エンジンは184psのガソリン2リッターターボ(320i)のみ。 拡大
xDriveではDSCのセンサーでホイールの回転速度をモニターしており、アンダーステアやオーバーステアの兆候を察知すると、電子制御多板クラッチで前後輪への駆動力を可変配分するようになっている。
xDriveではDSCのセンサーでホイールの回転速度をモニターしており、アンダーステアやオーバーステアの兆候を察知すると、電子制御多板クラッチで前後輪への駆動力を可変配分するようになっている。 拡大
【スペック】320i xDrive ラグジュアリー:全長×全幅×全高=4625×1800×1440mm/ホイールベース=2810mm/車重=1610kg/駆動方式=4WD/2リッター直4DOHC16バルブターボ(184ps/5000rpm、27.5kgm/1250-4500rpm)/燃費=15.2km/リッター(JC08モード)/価格=500万円(テスト車=598万8000円/マルチスポーツスタイリング416アロイホイール=9万2000円/バリアブル・スポーツステアリング=6万5000円/フロント・センターアームレスト=2万2000円/電動ガラスサンルーフ=17万円/ストレージパッケージ=2万円/パークディスタンス・コントロール=4万3000円/アダプティブヘッドライト=8万2000円/TVチューナー=10万8000円/8段スポーツ・オートマチックトランスミッション=2万2000円/ダコタレザーシート=28万4000円/メタリックペイント=8万円)
【スペック】320i xDrive ラグジュアリー:全長×全幅×全高=4625×1800×1440mm/ホイールベース=2810mm/車重=1610kg/駆動方式=4WD/2リッター直4DOHC16バルブターボ(184ps/5000rpm、27.5kgm/1250-4500rpm)/燃費=15.2km/リッター(JC08モード)/価格=500万円(テスト車=598万8000円/マルチスポーツスタイリング416アロイホイール=9万2000円/バリアブル・スポーツステアリング=6万5000円/フロント・センターアームレスト=2万2000円/電動ガラスサンルーフ=17万円/ストレージパッケージ=2万円/パークディスタンス・コントロール=4万3000円/アダプティブヘッドライト=8万2000円/TVチューナー=10万8000円/8段スポーツ・オートマチックトランスミッション=2万2000円/ダコタレザーシート=28万4000円/メタリックペイント=8万円) 拡大