大不況の到来!? GMのせいで世界はどうなる?

2008.12.15 自動車ニュース

大不況の到来!? GMのせいで世界はどうなる?

苦境に立たされる、ゼネラルモーターズ。その破綻騒動で自動車界はどうなるのか!? 現地からのリポート。

■お荷物が自滅する日

「……となると、Xデーは2009年の1月13日あたり、ってことになりますね」。ビールを煽りながら、証券関係者たちは目を細めた。

2008年11月12日水曜日午後7時、LAショーのプレスデー初日が終わり、私は、ロサンゼルスのダウンタウンに程近いコリアンタウンにいた。同席した日米の証券会社関係者たちと、韓国しゃぶしゃぶ鍋を囲みながら、情報交換をしていたときのことだった。

今年9月に入り、北米自動車業界は、メーカーの売り上げが急速に低迷。GMの経営破綻はさらに色濃くなっていた。「いかに民主党が労働組合寄りだとはいえ、オバマ新政権はこんな“お荷物”かかえたくないというのが本音でしょう」と、証券関係者。確かに、その時点でのオバマ次期政権にとってのベストシナリオは、2009年1月20日の大統領就任式前に、GMが自滅してくれることだったかもしれない。

ではXデーが大統領就任式前だとすると、11月末のサンクスギビング(キリスト教感謝祭)、12月末のクリスマスでの破綻は、世間一般へのイメージが悪過ぎる。そして年が明けて、1月11日(日)、12日(月)は北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)のプレスデー。その直前に破綻すれば、デトロイトショー自体が空中分解する危険性がある。ならば、たとえデトロイトショーが一般公開中だといえ、20日の大統領就任式前となると、Xデーは13日(火)〜16日(金)が有力となる。さらに言えば、12日のプレスデーの夕方にでも「明日、緊急会見開催」と前フリをすれば、世界各国からのメディアをデトロイトに再集結させる手間も省ける。

■自分たちさえ助かれば……?

とまあ、11月半ばの時点ではこうした予測が立てられた。だが、それから1カ月たった本稿執筆中の12月15日までの間も、GMを含む米ビッグ3の経営状況、それに対する日系メーカーたちの反応は連日のように変化を繰り返してきた。

そしてついに、米国連邦政府からの米ビッグ3への公的資金導入に向けての法案交渉は、米議会下院での採決を前にUAW(米国自動車労働者組合)の反発により決裂。UAWが問題視したのは、公的資金導入に伴うリストラ案で「給与を日系メーカー並に引き下げる」という項目、だという。この期に及んで、そうした身勝手な反論を出すUAWの姿勢に世界各国があきれ返った。さらに驚きの出来事は、この決裂劇の直後に起きた。「大統領の特命によって、既存の企業支援法を拡大解釈して公的資金を支払う準備に入った」と、12月12日(金)のニューヨーク証券取引所の取引開始直前に、大統領報道官が会見を開いたのだ。

世界的に止まらぬ株式市場の暴落を引き止めるため、というのは分かるが、世界の常識から考えると、米政府にしろ、GMにしろ、UAWにしろ、彼らのモノの進め方には「オマエたち、一体ナニ考えてンだ?」と言いたくなる。やること全てが場当たり的、突発的に見える。
だが実は、彼らはある一定の考えのもとに進んでいるのだ。それは、「自分たちだけ、上手いこと生き延びればいい」「法的に問題がなければ良い」という、利己主義だ。で、不利な状況がコロリと好転すれば、「勝てば官軍」と胸を張る。これぞ、敗者に再チャレンジの機会を与えるという、アメリカンドリームの弊害である。

こうしたアメリカの暴走に、日系メーカーたちも怯えている。ホンダの福井威夫社長が2008年12月5日、F1撤退記者会見の際「自動車業界は、過去100年続いた流れからいま、新しいフェイズ(=大きな段階のチェンジ)に入ろうとしている」と語った。
ホンダの2007年実績では、世界全販売台数376万台のうち、47%を北米に頼っている状況だ。また福井社長は「米ビッグ3の破綻によって、我々も購入している(米国)現地のサプライヤーへの影響も懸念される。そのための対策も練っている段階だ」と、危機感を露にしている。

これは、GMの経営破綻だけを意味するのではない。自動車製造販売というビジネスモデルの大転換期になるかもしれない。日系メーカーたちが第二次大戦後、アメリカでコツコツと積み上げてきた全てが無に帰する――そんな危険性すらあるのだ。

(文と写真=桃田健史(IPN))

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