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【スペック】全長×全幅×全高=4530×1840×1685mm/ホイールベース=2755mm/車重=1910kg/駆動方式=4WD/3リッターV6DOHC24バルブ(231ps/6000rpm、30.6kgm/2500-5000rpm)/価格=675万円(テスト車=725万3000円/スポーツインテリアパッケージ=24万円/パノラミックスライディングルーフ=21万円/盗難防止警報システム=5万3000円)

メルセデス・ベンツGLK300 4MATIC(4WD/7AT)【試乗記】

セダンのような優等生 2008.11.26 試乗記 メルセデス・ベンツGLK300 4MATIC(4WD/7AT)
……725万3000円


自動車のダウンサイジング化の流れがSUVにも波及した―― このたびメルセデス初のミドルクラスSUV「GLKクラス」が日本に上陸。その第一印象をお伝えする。

いかついけれど、コンパクト

このところ高級ビッグSUVが大流行したが、ふと我に返ってみると、「ちょっと邪魔だなあ」とも思う。威圧感ありすぎだし。そんな風に考えると、もう少し手頃でカジュアル感もあるSUVがこれからのトレンドになっていく気がする。

そんなミドル級SUVのジャンルに名乗りをあげたのが、新しい「メルセデス・ベンツGLK」。立派な存在感を誇るGLクラスのイメージをそのままに、全長4.5m級にまとめた新作で、名前の末尾にある“K”はドイツ語のkurz(英:short)の頭文字、つまり短いGLクラスという意味だ。

少しコンパクトとはいえ、いかついルックスは一人前以上。巨大な岩石から一気に削り出したような逞しさが印象的だ。でも実際に乗ってみると、とても優しいのがGLK。少しタフな乗用車といったところだ。これなら家族の一員として、普段の暮らしにも便利に使えるだろう。

それもそのはず、このボディサイズからもわかるように、基本となるプラットフォームには、セダン系のコンパクト路線を受け持つ「Cクラス」と共通の部分が多い。優秀なプラットフォームが一つあれば、セダンやワゴンだけでなくミニバンからSUVまで作れてしまうのが今のクルマ界の常識で、GLKもそれが背景になっている。だから大きな「GLクラス」や「Rクラス」などとは違ってアメリカ工場ではなく、こちらの製造はドイツのブレーメン工場が受け持っている。

Cクラスセダンと比べると、55mm短く、70mmワイド。背たけは240mm高い。
Cクラスセダンと比べると、55mm短く、70mmワイド。背たけは240mm高い。 拡大
日本導入グレードは、「GLK300 4MATIC」のみ。メモリー付き電動フルパワーシート、パーキングアシストリアビューカメラ、COMANDシステム(HDDナビ付き)、サイドビューカメラ、パークトロニックなどが標準で備わる。
日本導入グレードは、「GLK300 4MATIC」のみ。メモリー付き電動フルパワーシート、パーキングアシストリアビューカメラ、COMANDシステム(HDDナビ付き)、サイドビューカメラ、パークトロニックなどが標準で備わる。 拡大
参考までにGLクラスとサイズを比較してみると、570mm短く、115mm狭く、155mm低い。既存のSUVモデルと比べるとだいぶ小さめといえる。
参考までにGLクラスとサイズを比較してみると、570mm短く、115mm狭く、155mm低い。既存のSUVモデルと比べるとだいぶ小さめといえる。 拡大
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セダンから乗り換えても違和感なし

もちろんメカニズムの大半もCクラスからの移植で、3リッターのV6エンジン(231ps)はC300と共通だし、自慢の7段AT(7G-TRONIC)も同じ。サスペンション形式は同じで、最低地上高を18cmまで高めてある。これに19インチホイール(オプションのオフロードパッケージは20インチ)だから、とりあえず平和な“ソフト・クロカン”としては十分だろう。

室内も乗用車ムード満々で、ダッシュボードの眺めにもゴツさは薄い。オフロードパッケージではそれ専用のスイッチが加わるが、それ以外はCクラスから乗り換えても違和感はない。身長170cm以上のドライバーが楽な運転姿勢を取った後ろでは膝の前に拳骨2個ぶんの余裕があるから、スペースの点でもセダンとして問題ない。

さすがに天井は高く、頭から拳骨1個半はある。荷室フロアの奥行きは90cm近く、天井までは80cmあり、後席のバックレストを倒すと(軽いシングルフォールド)コンソールの端まで1.7mはある。床が地面から70cmというのはSUV としては低いほうで、快適なワゴンとしても使いやすそうだ。

そんなメルセデスGLK 、走ってみると優等生そのもので、やはり少しだけ腰高かなと感じる以外は、普通のセダンの常識がそのまま当てはまる。SUV用のタイヤ(BSデューラーH/P)のノイズもよく遮断されているし、トップギア(7速)での100km/h巡航がわずか2100rpmにしかならないギア比の効果もある。ちなみに6速では2400rpm、5速では2900rpmで、ここでやっと並みのクルマのトップに近くなる。というより、Dレンジで走っている限り、いつどこで自動的なシフトが起きたのかなど、よほど注意深くタコメーターを睨んでいなければわからない。

写真は、レザーシートが標準のスポーツインテリアパッケージ装着車。標準シートはファブリック生地となる。
写真は、レザーシートが標準のスポーツインテリアパッケージ装着車。標準シートはファブリック生地となる。 拡大
後席は、2:1の分割可倒式。格納すればフラットな荷室を作り出せる。
後席は、2:1の分割可倒式。格納すればフラットな荷室を作り出せる。 拡大
写真をクリックするとシートアレンジのさまが見られます。
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唯一の欠点は左ハンドル

ちなみにオプションのスポーツインテリアパッケージではステアリングホイールにマニュアルシフト用のパドルが備わるが、もともとフロアのシフトレバーでも操作できるし、Dレンジの学習機能(走行状態やドライバーの癖を読んでコンピューターが自主的にギアの選び方を考える)が優秀なので、強いて選ぶ必要性は薄い。

乗り心地もソフト感としっかり感が高い水準で両立している。コーナリングもそこそこ鋭い。普通こういう種類のクルマで元気に走ると、コーナーからの立ち上がりで外側の前輪に重量がのしかかり、タイヤが腰くだけ気味にヒイヒイ鳴ったりすることが多いが、その点もGLKは自然にこなす。自慢のフルタイム4WD(4MATIC)のパワー配分を基本状態で前45%後55%と後ろ寄りに設定してあるのが効いている。

なによりの長所は、周囲がよく見えることだ。最近のセダンは斜め後ろを確認しにくいことが多いが、素直なボックススタイルだけにGLK は車庫入れも楽々だ。そのうえ乗りながら気付くのは、今どきのクルマにしてはフロントウィンドウがが立ち気味なので、交差点で歩行者を見落としにくいということ。アウトドア・イメージのSUVでありながら、シティカーとしての使い勝手も高い。ガラスが立っているということは、そのぶんボンネットを長く見せる効果もあるから、押し出し感を好むSUVのユーザーには嬉しいポイントかもしれない。

そんなGLKで惜しいのは、日本仕様でも左ハンドルしか選べないこと。いろいろ技術的な理由があるそうだが、ここは将来なんとか解決してほしいところだ。その他は文句の付けようがないのだから。

(文=熊倉重春/写真=高橋信宏)

事故を未然に防ぐESPやブレーキアシスト、危険な状況を察知した時点で乗員保護の措置をとる「PRE-SAFE」など、最新モデルにふさわしい先進安全装備が採用される。
事故を未然に防ぐESPやブレーキアシスト、危険な状況を察知した時点で乗員保護の措置をとる「PRE-SAFE」など、最新モデルにふさわしい先進安全装備が採用される。 拡大
モータージャーナリストの熊倉重春氏。
モータージャーナリストの熊倉重春氏。 拡大
 
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