GMのイチオシEVは、金融危機を乗り越えられるか!?(後編)

2008.10.10 自動車ニュース

GM、史上最強の量産型電気自動車、『ほぼ量産型』を発表!(後編)

GMのイチオシEVは、金融危機を乗り越えられるか!?(後編)

打倒プリウス目指して発表された「シボレー・ボルト」。今回は、その実売価格や市場デビューするまでの問題点を検証する。

2008年9月16日、デトロイトの発表会場で揉みくちゃにされるボルト。大変な注目をもって迎えられたのだが……?
GM、史上最強の量産型電気自動車、『ほぼ量産型』を発表!(後編)

■プリウスには勝てるかも

前編からのつづき)
今回のボルト量産車の発表会で、未発表だった点は大きく2つ。ひとつは価格。もうひとつは、発電機として使用するエンジンの詳細だ。

まずは価格について。筆者は、2万2000ドル(1ドル=100円として220万円)前後と予想する。その理由はシンプル。ボルトの使命は「打倒トヨタ・プリウス!」だからだ。アメリカでプリウスのMSRP(Manufacture's Suggested Retail Price/メーカー希望小売価格)は、スタンダードモデルが2万2000ドル(220万円)、同ツーリングが2万4270ドル(240万円強)である。両車とも日本の「S」グレードと同仕様だ。ボルトがプリウスと価格ガチンコ勝負に出るのは間違いない。だが、もしもGMが「ここは一発、大勝負!」をかけるならば、ニマンドルを切った「いち・きゅっ・ぱ」=1万9800ドル(200万円弱)のお値打ち価格もあるかもしれない。

GMとしては是が非でも、トヨタプリウスに奪われた「アメリカでの次世代車のイメージ」を取り返したいという思いが強いのだ。アメリカの消費者マインドの基本は「安かろう良かろう」である。

仮にボルトの初期設定価格がプリウスと同等の場合でも、「ボルト発売記念特別ディスカウント!」などと称して、期間限定で2000ドルキャッシュバック(事実上の値下げ)などを仕掛けてくる可能性もある。

低価格がウリになるならば、プリウスの故郷ニッポンにだって「ボルト上陸の日」が訪れるかもしれない。パッと見では、プリウスよりもスポーティでカッコいいボルトに、さらにはその価格に、日本人もグッとくるかもしれない。


GM、史上最強の量産型電気自動車、『ほぼ量産型』を発表!(後編)

■エンジンはフレキシブルに

次に、エンジンについて。思い起こせば、2007年1月の北米国際自動車ショー(通称デトロイトショー)のボルト・コンセプト披露の場で、GMの商品企画統括/副会長のボブ・ラッツ氏はこう説明した。「ガソリンでもE85でもディーゼルでも、なんでもOKです。さらに、燃料電池への発展も可能です」と。

前編で紹介したように、ボルトのエンジンはモーターの発電機としてのみ使用される。だから、エンジンの形式も燃料も、「世界各国の地域事情に合わせてチョイスすれば良い」のである。よって、アメリカならばGMが音頭をとって推進中のトウモロコシを原料とするE85を選択。欧州ならばバイオディーゼルを、ブラジルならばFFV(Flexible Fuel Vehicle/エタノール含有量0〜100%ガソリン対応)を選択すればよい。

排気量については、1リッター以下で十分ではないか。トランスミッションやCVTなどでの機械損失もなく、発電効率だけを考慮すれば良いのだから、プリウス(1.5リッター)、シビックハイブリッド(1.3リッター)までの大きさは必要としないはずだ。また、エンジン搭載位置は通常のFF車と同じなのだから、排気量が小さくなれば、そのぶん軽量化も可能で、操安性もアップする。

こうした小型エンジン開発については、現在GMがBセグメント車戦略を委託している、韓国デーウ社が関与することも考えられる。


GM、史上最強の量産型電気自動車、『ほぼ量産型』を発表!(後編)

■会社そのものに赤信号!?

それにしても、GMは本当にボルトを量産できるのか?
そのカギは、米政府とFRB(連邦準備制度)の理事会の判断である。GMは米政府に対して、いわゆる公的資金導入を要望している。GMを主導役として米ビッグ3は、2007年に米議会で成立したエネルギー法による環境対策車支援の資金250億ドル(2兆5000億円)の低金利融資の早期実施、さらに500億ドル(5兆円)の追加融資、合計で約7兆5000億円を求めている。
先に公的資金導入によって破綻が回避された世界最大級の保険会社AIG(American International Group)には、850億ドル(約8兆5000億円)がつぎ込まれた。その結果、AIGの株式80%を米政府が保有し、事実上政府管理下企業となったのはご存知のとおりだ。

では、GMを含めたビッグ3も、政府系企業になるというのか? はたまた、リーマン・ブラザーズのように公的資金導入不可という、ワーストシナリオに陥るのか? ニューヨークのウォールストリートでは「次は、デトロイトが焦点になる」という声も多いのだ。

(文=桃田健史(IPN)/写真=GM)

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