GMのイチオシEVは、金融危機を乗り越えられるか!?(前編)

2008.10.09 自動車ニュース
9月16日、デトロイトの発表会場に姿をあらわしたボルト。と、GMのワゴナー会長(写真左)。
GM、史上最強の量産型電気自動車、『ほぼ量産型』を発表!(前編)

GMのイチオシEVは、金融危機を乗り越えられるか!?(前編)

GMが鳴り物入りでデビューさせた「シボレー・ボルト」。外見も中身もイケてるぞ!と思ったら、じつは世に出ないかもしれないらしい。一体、どうして……?


GM、史上最強の量産型電気自動車、『ほぼ量産型』を発表!(前編)

GM、史上最強の量産型電気自動車、『ほぼ量産型』を発表!(前編)

■GM発、カッコいい「プリウスのライバル」

「あれ? ナンだよコレ。思っていたより何倍もカッコいいじゃないか!?」

筆者を含め、世界のメディアが「VOLT」(ボルト)の大変身に心底驚いた。2007年のデトロイトショーで発表されたコンセプトモデルとは、随分とイメージが違ったのだ。
2008年9月16日、GMは米ミシガン州デトロイトで次世代型の電気自動車「ボルト」の量産モデルを公開した。FFの4人乗り5ドアハッチバック。目を引く「ワイド&ロー」のボディスタイルは、全長×全幅×全高=4404mm×1789mm×1430mm、ホイールベースが2685mm。ライバルとなる「トヨタ・プリウス」と比較すると、全長−41mm、全幅+73mm、全高−60mm、ホイールベース−15mmという寸法だ。
フロントマスクは、“シボレー顔”をさらにリファイン。Cセグメントの「クルーズ」、Dセグメントの「マリブ」、SUVの「トレバース」などシボレー新型車種のなかで、最も前衛的かつ野心的な顔つきである。

サイドビューは筋肉質な感じ。リアビューからはITデバイスっぽい機能美が溢れる。インテリアの造形も、機能性と未来性が融合。センタークラスターには、デュアル情報ディスプレイと、統合シフター搭載のタッチスクリーン式インフォティメントセンターを装備する。
さらに、シボレーではこれまで例のないほど多彩な内装色を設定し、照明やトリムなどのオプション設定も数多い。


GM、史上最強の量産型電気自動車、『ほぼ量産型』を発表!(前編)

■ランニングコストは冷蔵庫程度!

さて、ボルト最大の特徴は、パワーユニットにある。GMはボルトを、E-REV(Extended-Range Electric Vehicle/航続距離延長型電気自動車)と呼ぶ。その電力源は220個のリチウムイオン二次電池で、電気モーターの最大出力は111kw(150hp)、最大トルクは370Nm、最高巡航速度は160km/hだ。リチウムイオン二次電池での走行可能距離は64kmとなる。

そして、その電気を使い切った時点で、E85(エタノール含有量85%ガソリン)対応エンジンが作動。電気モーターを駆動して走行を維持する。同時にバッテリー充電も行う。
つまり、エンジンはあくまでも発電機であり、プリウスのようにエンジン駆動を電気モーターがアシストするハイブリッドシステムとは根本的な発想が違うのだ。

また、通常の充電は家庭用電源を使用。北米や日本などの120Vでは約8時間、欧州などの240Vでは3時間以内でフル充電できる。アメリカの一般家庭でボルトを1日1回フル充電すると、年間の電力消費は冷蔵庫を下まわるレベルだという。


GM、史上最強の量産型電気自動車、『ほぼ量産型』を発表!(前編)

GMのイチオシEVは、金融危機を乗り越えられるか!?(前編)

■出るも出ないも、成り行き次第?

GMワゴナー会長は「ボルトは明るい未来づくりを目指すGMのシンボル。自動車業界が今日そして未来のエネルギー、環境問題に取り組むために必要な技術革新が結集されている」と自信を見せる。

ボルトは2010年後半に、デトロイト・ハムトラミック工場で生産開始を模索中。生産されると2011年初頭には発売開始される可能性がある。

だが……!
どうして「模索」「可能性」などという言葉を使うのか? 今後のGMの事業計画そのものが「不明確」なのだ。GM本社配信のボルトのプレスリリースにも、「GMが米政府と交渉中の奨励策が受け容れられれば……」という一文がある。日本でも大きなニュースになっているように、いまアメリカ金融市場は未曾有の危機的状況だ。ボルトもその波に飲まれてしまうかもしれない。

はたして、ボルトは本当に発売されるのか? その場合、価格はいくらになるのか? 日本への上陸はあるのか? その辺りは後編へと、つづく〜。

(文=桃田健史(IPN)/写真=GM)

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