第12戦ヨーロッパGP「フェラーリの“自作自演”」【F1 08 続報】

2008.08.25 自動車ニュース
前戦ハンガリーGP、レースをリードしながらエンジンブローに泣いたフェリッペ・マッサ(中央)が今季4勝目をマーク。チャンピオンシップでも2位に浮上した。2位ルイス・ハミルトン(左)はポイントリーダーを堅持、3位ロバート・クビサ(右)は第7戦カナダGPで初優勝して以来の表彰台。(写真=Ferrari)
第12戦ヨーロッパGP「フェラーリの“自作自演”」【F1 08 続報】

【F1 08 続報】第12戦ヨーロッパGP「フェラーリの“自作自演”」

2008年8月24日にスペインのバレンシアで初開催されたF1第12戦ヨーロッパGP。12年ぶりの新しい市街地コースということもあり注目されたが、特に大きな混乱もなく、また特に大きな盛り上がりもなく、フェリッペ・マッサによる独走優勝で幕を閉じた。

バレンシアでの初開催GPは地中海に面した1周5.419kmの市街地コースが舞台。ストップ/ゴーの特性を持ち、マリーナをつなぐブリッジ(写真)がシンボルとなる。各所に広いランオフエリアが設けられているものの、コンクリートに囲まれたストリートサーキットであることにかわりはない。(写真=Ferrari)
第12戦ヨーロッパGP「フェラーリの“自作自演”」【F1 08 続報】

■バレンシア、初レース

スペイン第3の都市、バレンシアで初めてF1レースが行われた。もちろん、郷土の誇りであるフェルナンド・アロンソの存在が、今年2回目の“スペインGP”を後押ししたことは言うまでもない。

ハーバーと古くからの産業地域、そして市場などが混在する海沿いのストリートサーキットは、アメリカ西海岸の名物コース、ロングビーチを彷彿とさせる。
全長5.4kmのコースに25ものターンがあり、コース幅は14m以上、各所にランオフエリアを設けた近代的な市街地コース。最大の目玉、開閉式ブリッジをこえると事実上のバックストレートが伸び、最終セクションをリズミカルにこなし1周を終える。

レース前は、ブリッジの大きな段差がパンクを誘発するのではないか、市街地ゆえにセーフティカーは必ず出るのではないか、など懸念もささやかれたが、フタを開けてみれば、特に目立った混乱も出来事もなく、単調なレースに終始した。フェラーリのピットを除いては……。

ハンガリーでの悔しいリタイアをバネにポール・トゥ・ウィンを達成したマッサ。2回目のピット作業後、エイドリアン・スーティルとのニアミスが審議の対象となったが、おとがめと罰金1万ユーロだけで済んだ。(写真=Ferrari)
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BMWのクビサは、スタートでフロントローのハミルトンに並びかけたものの、グリッドと同じ3位に落ち着き、その順位でゴール。レース前半、ビニール袋がフロントウィングにまとわりつき、気流が乱れ危険な状況に陥ったが事なきを得た。(写真=BMW)
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好調トヨタは今年3回目のダブル入賞。ヤルノ・トゥルーリ(写真)は週末の出だしこそギアボックストラブルに足を引っ張られたが、予選では7番グリッドを獲得。決勝でも波に乗るベッテルを抜き5位でゴールした。ティモ・グロックは発熱に苦しみながらも1ストップ作戦をとり、予選13位から7位でフィニッシュした。(写真=Toyota)
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■勝負は第2スティントで

当初、ストップ/ゴーの特性からマクラーレン優位かと思われたが、予選でポールポジションを獲得したのはマッサ。ルイス・ハミルトンが1列目に並び、ロバート・クビサが3位、キミ・ライコネンは4位というグリッド順でレースはスタートした。

マッサが好スタートをきり、汚れた路面側のハミルトンは後方クビサに並ばれたが2位の座をキープ。同じくダーティサイドのライコネンはポジションをひとつ下げ、ヘイキ・コバライネンに先を越された。
王者ライコネンの、特に予選での不調はここでも続いており、序盤の大切なスティントをマクラーレンの後方で過ごさなければならなくなった。
首位マッサは快調に周回を重ね、2位ハミルトンとのギャップは10周を過ぎ4秒にまで開いた。
14周目という早い段階でピットに駆け込んだのはマッサ。これまでが軽いマシンでのペースであることがはっきりしたことに加え、敵の手のうちを理解したうえでこれからの作戦が立てられる。この時点で、追うハミルトンの走りには“キレ”こそなかったが、ピット作戦によっては優勝の2文字もまだ夢ではなかった。

しかし、第2スティントで勝負あり。マッサはハミルトンより0.7秒ほど速いラップタイムを叩き出し、力量の差を見せつけた。ペースの面でもコースレイアウトからしても追い抜き困難と判断したハミルトンは2位を守る考えに切り替え、この時点で決着がついた。

マッサの優勝に待ったがかかりそうになったのは37周目。2度目のピット作業を終えたマッサのフェラーリは勢いよくピットレーンに飛び出し、同じくコースに戻ろうとしていたエイドリアン・スーティルとあわや接触か、という場面があった。
両車とも無事にレースを続けることができたが、レーススチュワードがマッサの行為を審議しレース後発表するとなったから始末が悪い。
その結果は警告と罰金に終わり、タイム加算などでウィナーがかわるということは起こらなかった。このフェラーリの“自作自演”は、単調なレースへのアトラクションだったのか。

ストップ/ゴーのバレンシアはウィリアムズ向きのコース。中嶋一貴は予選で自身最高の11番グリッドを獲得、だがオープニングラップでフェルナンド・アロンソと接触しノーズ交換でタイムをロス、結果15位完走だった。ニコ・ロズベルグ(写真)は予選9位から8位でフィニッシュし、5月以来のポイントを手にした。(写真=Williams)
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大勢のファンが見守るなか、中嶋との接触で1周もせずにリタイアしたアロンソ。「中段グリッドからのスタートには常に危険がともなう」とは予選12位だった元チャンピオンの弁。(写真=Renault)
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■ライコネンの復活は?

フェラーリのレースへの“演出”はこれだけではなかった。序盤コバライネンの後塵を拝した5位ライコネンは、第2スティントから本調子を発揮し始めていた。

マクラーレンとフェラーリは43周目に同時にピットイン。前者が問題なくピットアウトしたのに対し、ライコネンは給油ホースをつないだ状態で見切り発車し、ピットクルーに怪我を負わせてしまった。

6位に順位を落としたライコネンは、残り11周というところでエンジンから白煙を上げ、メインストレートにマシンを止めた。2戦連続のフェラーリエンジンブロー。理由は明らかにされていないが、ハンガリーでマッサを襲ったトラブルとの関係もないとは言えない。

マッサは独走で今季4勝目を飾り、チャンピオンシップでライコネンを抜き2位に浮上した。トップのハミルトンとの差は6点、残るレースは6戦である。

今回ノーポイントに終わったライコネンはランキング3位でハミルトンの13点後方に位置する。予選をうまくこなせず、スタート以降ライバルに頭を抑えられ、レース中盤盛り返すも優勝は遥か彼方……。チャンピオンは、4月のスペインGP以来勝利から遠ざかっている。

次戦は9月7日、スパでのベルギーGP。ライコネン得意のドライバーズサーキットで、昨年のフランスGPからのような、怒濤の追い上げを見ることはできるか?

(文=bg)

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