王者ローブがフィンランド初制覇! 6勝目でランキング首位に【WRC 08】

2008.08.04 自動車ニュース
豪快なジャンプを見せる、シトロエンのローブ。9戦終わって早くも6勝目を手にした。
王者ローブがフィンランド初制覇! 6勝目でランキング首位に【WRC 08】

王者ローブがフィンランド初制覇! 6勝目でランキング首位に【WRC 08】

2008年の世界ラリー選手権(WRC)第9戦「ラリー・フィンランド」が7月31日から8月3日まで、フィンランドを舞台に開催された。ホストタウンは首都ヘルシンキから北へ約250kmの距離に位置する学園都市ユバスキラで、その周辺の山岳エリアにグラベルステージを設定。
今季はビッグジャンプで有名な名物ステージ「オウニンポウヤ」が廃止され、新規のステージが採用されることとなったが、WRC随一の高速レイアウトは健在で、序盤から激しいハイスピードバトルが展開された。

そのなかで最も注目を集めたのは、シトロエンのエース、セバスチャン・ローブとフォードのエース、ミッコ・ヒルボネンの一騎打ち。ふたりは互いに譲らないタイム争いを展開し、最終的にはローブが地元ドライバーのヒルボネンを抑えてデイ1を制覇。そのままポジションをキープし、今季6勝目を獲得した。

母国ラリーとなるヒルボネン(フォード)は、優勝こそ逃したものの2位でフィニッシュした。
王者ローブがフィンランド初制覇! 6勝目でランキング首位に【WRC 08】

■スカンジナビアン以外では史上4人目

1951年の初開催以来、フィンランドではスカンジナビア出身のドライバーたちが猛威を振るってきた(これまでスカンジナビアン以外のウイナーは、90年のカルロス・サインツ(スペイン出身)、92年のディディエ・オリオール(フランス出身)、03年のマルコ・マルティン(エストニア出身)の3名)。
2004年以降はマーカス・グロンホルムが5連勝を達成。加えてフォードの主力モデル「フォーカスRSWRC07」も高速グラベルとの相性がよいことから、今季のフィンランドでもヒルボネン、ヤリ-マティ・ラトバラの地元コンビを擁するフォード勢が1-2フィニッシュを達成する……と予想されていたのだが、その下馬評を覆して世界最速ラリーを制したのが、「C4WRC」を駆るシトロエンのエース、ローブだった。

ラトバラがSS3でコースアウトを喫し、トップ争いから脱落したことから、序盤からローブvsヒルボネンの一騎打ちが展開された。
デイ1を制したのは11本中8本のステージでベストタイムをマークしたローブで、2番手のヒルボネンに14.4秒の差を付けてトップでフィニッシュ。翌日のデイ2では2番手のヒルボネンが必死の追走を披露するものの、ローブも10本中4本のステージを制し、その差を18.2秒に拡大。勝負の行方はデイ3の3本のステージに持ち越されることとなったのだが、最初のロングステージ、SS22をローブ、ヒルボネンが同タイムでフィニッシュ。残り2本のステージは走行距離が短く、ローブが余裕のクルージングでポジションをキープ。フランス出身のローブが“スカンジナビアン伝説”を破る4人目のウイナーとして今季6勝目を獲得した。

敗れたヒルボネンも2位入賞を果たし、ランキング首位をキープするものの、後半戦はドイツ、カタルニア、コルシカとローブが得意とするターマック戦が控えていることから、タイトル争いはローブのでき次第といえそうだ。

3位に入った、スバルのクリス・アトキンソン
3位に入った、スバルのクリス・アトキンソン
ここ一発のタイムはあれど、結果に結びつかないエースのペター・ソルベルグ。
ここ一発のタイムはあれど、結果に結びつかないエースのペター・ソルベルグ。

■アトキンソン3位入賞でスバル復活!?

ローブ、ヒルボネンに続いて3位入賞を果たしたのが、スバルのセカンドドライバーとしてインプレッサWRC2008を駆るクリス・アトキンソンだ。
「課題となっていたロアアームの強度をアップし、約1カ月半のインターバルを利用して軽量化や剛性などマシンを熟成させてきました」「デイ1でダンパーのマイナートラブルが発生して出遅れましたが、それがなければトップ争いにも参加できたと思います」とSTI社長の工藤一郎氏が語るように、デイ1こそ7番手に留まることとなったが、ダンパーの不具合が解消したデイ2ではアトキンソンが好タイムを連発した。
復活に向けて順調な仕上がりを見せるスバル陣営だが、その一方でウィナーのローブに3分以上も引き離されていることもまぎれもない事実。エースのペター・ソルベルグも最終SSでベストタイムをマークしているのだが、デイ1、デイ2でペースが上がらず6位入賞に低迷。工藤氏は「ジャパンとGBで勝ちたい」と語っているが、果たしてその目標を実現することができるのだろうか? 今後も、復活を目指すスバル陣営の動向には注目だ。

なお、4位はシトロエンのソルドで、ストバート・フォードのヘニング・ソルベルグが5位。SX4WRCを投入するスズキ勢は、セカンドドライバーのパー-ガンナー・アンダーソンがデイ2のSS16でコースアウトを喫し、そのままリタイアしたものの、エースのトニ・ガルデマイスターが安定した走りで8位入賞を果たした。

ハンニネン(写真)が今季2勝目をあげた。
ハンニネン(写真)が今季2勝目をあげた。
奴田原文雄は5位入賞。「デイ1は楽しかったんだけどね……デイ2はリズムが掴めなくて、最後の2本では急にエンジンがフケなくなった」
奴田原文雄は5位入賞。「デイ1は楽しかったんだけどね……デイ2はリズムが掴めなくて、最後の2本では急にエンジンがフケなくなった」
JWRCで初優勝を手にしたプロコップの走り。
JWRCで初優勝を手にしたプロコップの走り。

■PWRCはハンニネン2勝目、JWRCはプロコップが初優勝!

今季のフィンランドでは、PWRC(プロダクションカー世界ラリー選手権)第5戦とJWRC(ジュニア世界ラリー選手権)第4戦も同時開催。両シリーズで激しい高速バトルが展開された。

新井敏弘、ナッサー・アルアティヤーらチャンピオン経験者とランキング首位のアンドレアス・アイグナーがスキップしたPWRCでは開幕戦の覇者、ユホ・ハンニネンとユホ・サロ、パトリック・フローディン、ユッシ・バリマキなど三菱を駆ってスポット参戦するスカンジナビア勢が激しいトップ争いを展開した。
序盤はサロがラリーを支配するものの、デイ2のSS16でコースアウトを喫し、そのままリタイア。その結果、ハンニネンがトップに浮上し、今季2勝目を獲得した。
2位はフローディン、3位はバリマキでヤリ・ケトマー、オスカー・スベドルンドらGRB型インプレッサを駆るスバル勢が4位、5位でフィニッシュしたのだが、のちの車検でフローディンが失格になったため、各順位はひとつずつ繰り上げ。
フィンランド初挑戦の奴田原文雄(三菱ランサー)はSS20、SS21で予想外のハプニングに見舞われるものの、最後まで安定した走りを披露、スカンジナビアン以外で最上位となる5位入賞を果たした。

一方、ランキング首位のセバスチャン・オジエ(シトロエンC2)がスキップしたJWRCではミハエル・コシューツコ(スズキ・スイフト)とマーティン・プロコップ(シトロエンC2)、パトリック・サンデル(ルノー・クリオ)が激しいトップ争いを展開。序盤をリードしていたコシューツコがデイ2のSS20でコースオフを喫したことからプロコップが今季初優勝を獲得した。
サンデルが2位入賞を果たし、脅威の追走を披露したコシューツコが3位で表彰台を獲得した。

(文と写真=廣本泉)

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