仏ルノー、新車スクープに「待った!」

2008.07.18 自動車ニュース

仏ルノー、新車スクープに「待った!」

フランスの通信社AFPが報じたところでは、2008年7月15日、自動車メーカー「ルノー」の被害届けに基き、有力自動車雑誌『Auto Plus(オート・プリュス)』の編集部が、ヴェルサイユ市の司法警察に家宅捜査された。記者も一人が連行され、勾留された。 

■ 容疑は「産業スパイ」

『オート・プリュス』は2007年夏、新型車のプロジェクトと社内会議の内容に関する情報と写真を掲載(同誌編集部によると、問題の記事は2007年7月3日発売号の「トゥインゴ・カブリオレ」か17日発売号の「メガーヌ3」)。
仏ルノーは「信頼の低下、不正アクセス、製造秘密の暴露」などの被害を受けたとして、同社がテクノセンターを構えるヴェルサイユ市警に被害届を提出していた。

それから1年後。警察は家宅捜査によって担当記者のパソコンやCD-ROM、写真を押収し、取り調べを開始した。7月11日には、ルノーの内部調査によって情報漏洩に関わったとみられる従業員も警察で取り調べを受けたという。

同誌は、フランスの自動車専門誌として最も発行部数が多いメディア(公称30万部)。2〜3年後に発売される新型車についての詳細記事も、定期的に紹介している。その内容は極めて信憑性が高いもので、各メーカーの内部に通じていることすら伺えるほどだ。

■新車スクープは合法だ!?

自動車業界初の出来事として注目度が集まる、今回の事件。ただでさえジャーナリズムへの意識が高い仏国内では、TVニュースで連日報道されるなど、議論の的にもなっている。

同誌のローラン・シャペロ編集長は、「秘密になっていることを公にすることは、ジャーナリストという職業の一部でもある。現在のフランスにおけるジャーナリズムはどうなっているのか。たがいに理解していかなければ……」と言いつつも、「これらはメーカーから発表されることはリリースに過ぎない。我々はこれまで通り、未発表の情報やニュースを提供していく」と強気の構えだ。
また、仏ジャーナリスト組合も、記者を勾留したことに対して「情報源秘匿の権利は法で守られている」と翌16日に声明を発表。勾留された記者は、法律に則って48時間後には解放された。

騒動を受けて、ルノー側も声明を発表。「(被害届は)特定の人物やメディアを攻撃するものではなく、企業秘密や知的財産の保護が目的である」と弁明した。

『オート・プリュス』のみならず、他の仏自動車メディアでも、特にフレンチメーカーの極秘文書やスパイ写真を掲載することはある。今回のルノーの動きには、カメラ付き携帯電話やネットの普及などによって加熱しすぎたスクープ合戦を抑制させたい意図があると思われる。

(文と写真=野口友莉/YUYU)

 
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【写真上下】記者が勾留された15日に発売された『Auto Plus』最新号。
このなかでも、“実車と思われる”3代目「メガーヌ」(パリサロンで公開予定)の写真を掲載している。
【写真上下】記者が勾留された15日に発売された『Auto Plus』最新号。
	このなかでも、“実車と思われる”3代目「メガーヌ」(パリサロンで公開予定)の写真を掲載している。

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