第8戦トルコはフォードのワンツー! ヒルボネンが今季2勝目を獲得【WRC 08】

2008.06.16 自動車ニュース

【WRC 08】第8戦トルコはフォードのワンツー! ヒルボネンが今季2勝目を獲得

2008年の世界ラリー選手権(WRC)第8戦ラリー・トルコが、6月12日から15日にかけて開催された。ホストタウンはイスタンブールから南東約700kmに位置する観光都市、ケマーで、その周辺の山岳エリアにステージを設定。コースレイアウトは低中速セクションが中心となっているものの、イベントの平均速度は前戦のアクロポリスより高く、路面はスムーズかつ鋭利な石が散乱するグラベルだ。
ラリーウィークは焼け付くような日差しに照らされたことから、まさにドライバーにとってもマシンにとってもハードな一戦となった。

そんななか、フォーカスRSWRC07を駆るフォードのエース、ミッコ・ヒルボネンが巧みな戦術で今季2勝目を獲得。チームメイトのヤリ-マティ・ラトバラも2位入賞を果たし、フォード陣営が、C4WRCを駆るシトロエンのエース、セバスチャン・ローブを抑え、1-2フィニッシュを達成した。

■フォード勢の作戦勝ち

明暗を分けたのは、今シーズンに合わせて変更された「出走順」だった。
従来はデイ1をポイントランキング順、デイ2以降は前日のリザルト順のリバース、つまり、デイ1、デイ2をトップでフィニッシュすればWRカー最後の、路面のきれいな状態で出走でき、逆にデイ1、デイ2で出遅れれば、翌日の出走順が早く、路面の“掃除役”を強いられていた。
が、今季はデイ1のランキング順をそのままに、デイ2、デイ3を前日のリザルトの正順に変更された。フォード勢は、この「速い者が不利になるシステム」を巧みに利用したのだ。

先頭スタートの掃除役でペースが伸び悩むローブを尻目に、フォードのヒルボネン、ラトバラがデイ1で好タイムを連発、1-2体制を形成。しかし、デイ2で有利な出走順を得るためにデイ1のラストSS9ではペースダウンを行ない、敢えてローブにトップ、すなわち掃除役を譲った。

「セバスチャン(ローブ)を前に出すために、ステージの最後でペースダウンを行なった。明日は全力でプッシュするよ」とヒルボネン。「セバスチャン(ローブ)はいいドライバーだね。明日が楽しみだ」と余裕の笑みさえ浮かべてみせる。

その戦略はデイ2で見事に的中し、「とてもスリッピーでペースアップできない」と語るローブを尻目に、デイ1を5番手でフィニッシュしたヒルボネンがベストタイムを連発し、SS11でトップに浮上。デイ2を3番手でフィニッシュしたラトバラも安定した走りで2番手に浮上した。
その後もフォード勢は1-2体制をキープしたままデイ2をフィニッシュ。デイ3はヒルボネンが先頭、ラトバラが2番手でスタートするものの、その距離は短く、必死の追走を試みるローブを抑えてヒルボネンが今季2勝目を手にした。

なお、ローブが3位で表彰台を獲得、シトロエンのセカンドドライバー、ダニエル・ソルドが4位、ストバート・フォードのヘニング・ソルベルグが5位入賞。一方、デイ2まで3番手に付けていたストバート・フォードのジジ・ガリはターボのトラブルでポジションをダウン。その後、ガリ自身が脱水症状に見舞われ、デイ3を出走することなくリタイアした。

■インプレッサは足まわりが“アキレス腱”

前戦のアクロポリスで、待望のニューマシン「インプレッサWRC2008」を投入。エースのペター・ソルベルグが今季初の2位表彰台に登った、スバル。名門復活の兆しかと思われたが、第8戦のトルコでは早くも新型の“弱点”が発覚した。

ソルベルグは最後まで攻めきれないまま、6位に低迷。アトキンソンもデイ1でロワアームを破損し、その日の走行を断念。さらに、再出走を果たしたデイ2のサービスで電気系トラブルに見舞われてタイムコントロール遅着のペナルティを受けるなど予想外のハプニングが続出し13位に沈んだ。
なかでも、ロワアームの破損は深刻だ。アトキンソンはアクロポリスで同様のトラブルがあったし、今回のトルコでもシェイクダウン中、ソルベルグが同じ箇所にトラブルを抱えた。ここを改良しない限り、スバル陣営のトップ争いは難しいと思われる。

「足まわりを含めていくつか改善点がはっきりしているので、インターバルを利用して対策していきたいと思います」と語るのはSWRTのマニュファクチャラー・プリンシパル・エンジニアリングの菅谷重雄氏。「アクロポリスとトルコは完走を目標にしてラリーを行なってきましたが、第9戦のフィンランド以降はパフォーマンスを突き詰めて戦いたいですね」。
基本的なパフォーマンスは高くなっているだけに、今後の熟成、そして完全復活に注目したい。

■そろってリタイアのスズキ ソフト面も課題

スバルとともに注目を集めていたスズキ勢も、厳しい戦いを強いられている。エースのトニ・ガルデマイスターがクラッチトラブルとパンクに見舞われたほか、セカンドドライバーのパー-ガンナー・アンダーソンに油圧系およびギアボックスにトラブルが発生するなど、デイ1からトラブルが続出。なんとかガルデマイスターが9番手、アンダーソンが12番手でデイ1をフィニッシュしたものの、デイ2ではガルデマイスターがエンジントラブル、アンダーソンは消火器の誤作動でストップ。2台揃ってその日のセカンドステージとなるSS11でリタイアすることとなった。

開幕戦のモンテカルロでアンダーソンが8位、第2戦のスウェーデンはガルデマイスターが7位入賞を果たすなど、幸先のよいスタートを切ったスズキ陣営だが、その後はトラブルの続出で下位に低迷。さらにチームマネージャーの交代、チーム代表が開発を理由に8戦中4戦を欠場するなどマネジメントの部分でも難しい状況が続いている。スズキ陣にとってはハード、ソフトの両面で多くの課題が残る前半戦となった。

■PWRCはアイグナー3連勝! 新井は3連続でリタイアに……

同時開催のPWRC第4戦で好調なスタートを切ったのは、第2戦のアルゼンチン、第3戦のアクロポリスを制したアンドレアス・アイグナー(三菱)だった。
ミルコ・バルダッチ(三菱)、プジョー207S2000を駆るパトリック・サンデルなど抜群のスピードを持つスプリンターが相次いで脱落するなか、コンスタントな走りを披露したアイグナーがデイ1をトップフィニッシュ。デイ2も、ブレーキトラブルに見舞われた2番手のサンデルを引き離してトップをキープ。余裕の走りでデイ3をクルージングし、終わってみれば破竹の3連勝を達成。タイトル獲得に向けて快走中だ。

一方、アイグナーとは対照的に厳しい戦いを強いられているのが、05年-07年チャンピオン、の新井敏弘(スバル)。デイ1ではミッショントラブルとオーバーヒート症状に見舞われて大きく出遅れた。
「エンジンを冷やすためにヒーターを入れたら、車内が80度以上になって……。脱水症状じゃないけど体調は限界。オーバースピードで飛び出した」と、SS7でコースアウトを喫し、その日の走行を断念した。デイ2は再出走を果たすも、パワーステアリングのオイルが噴出、エンジンフード内で引火したため、競技の継続を諦めた。3戦連続のリタイアで前半戦を終了している。
なおラリーのほうは、サンデルが2位、バルダッチが3位に入賞。前半戦を見る限り、GRB型インプレッサは熟成不足が否めないだけに、後半戦も三菱ユーザーとプジョー207S2000を駆るサンデルを中心にトップ争いが展開されることになりそうだ。

(文と写真=廣本泉)

土煙を上げながら快走する、ヒルボネンのマシン。
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損な出走順に憮然とする(?)、シトロエンのセバスチャン・ローブ。
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トルコでは芳しい成績を残せなかったソルベルグ。今後も、足まわりに課題が残る。
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アンドレアス・アイグナーはPWRC3連勝。このままタイトルに手を伸ばすか!?
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豪快なジャンプを見せる、新井のマシン。後半の走りに期待がかかる。
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