「ハマーよ、おまえもか!?」 GMがSUVブランド売却を示唆

2008.06.06 自動車ニュース

「ハマーよ、おまえもか!?」 GMがSUVブランド売却を示唆

「ハマー」身売りの可能性が出てきた。

GM(ゼネラルモーターズ)は2008年6月3日、米ミシガン州デトロイトで中期事業計画を発表。それによると、ガソリン価格の急騰による消費者の行動変化に伴い、大型SUV/ピックアップトラック生産の大幅な抑制、さらに日系メーカーに遅れをとっている中小型車の開発強化を推進する、とのことだった。

なかでも米国自動車業界関係者たちを驚かせたのは、「Hummer brand set for strategic review」という一文。 以前、ダイムラークライスラー社がクライスラー部門を売却する際にも類似の表現が使われている。そのため、今回のハマーのケースも「身売りはほぼ確実」と見る向きが多い。

■お金持ちにもモテた……のに

ハマーは、旧AMC(アメリカンモーターズ)の一部門が独立したAMジェネラル社が、軍事用車両の一般向け量産化を企画したのがはじまり。1998年にはハマーブランドはGMに買収され、AMジェネラル社は軍事用車両の流れを汲む「H1」の製造を継続した(その後、生産停止)。
さらにGMの企画で、「H2」(フルサイズSUVのシボレータホ、キャデラック・エスカレードと同一プラットフォーム)、「H3」(ミドルサイズピックアップトラックのシボレー・コロラド、GMCキャニオンと同一プラットフォーム)がデビュー。ハマーは「普通のSUVでは飽き足らない富裕層」の人気を得て、販売を伸ばした。

H2は大型ながら乗用車的なハンドリングが好評で、アメリカ中西部ではこれを操る女性ドライバーも数多く見られる。現在では、H2の派生車、H2 SUT(スポーツユーティリティトラック)やH3T(これもSUT的な形状)もラインナップ。ハマーは「特殊でカッコいいクルマ」として、日本やロシアなどでも愛好家を着実に増やした。

だが、ガソリン高が続く近年、GMのライトトラック(SUVやピックアップトラック)の売り上げは減少傾向が見られるようになった。

■「ハマー」ブランド継続のため

2008年5月の販売台数は、GMのライトトラック全体で13万8777台(前年同月は22万77台、約4割減)。ハマー部門に限っては1843台(前年同月は4636台、約6割減)という厳しい状況。事業大転換を目指すGMにとって、人気ブランド「ハマー」を換金するのは致し方ないのかもしれない。
仮に、ハマーブランドが売却された場合でも、GMが製造を引き次ぐ公算が高い。これは、現在ハマーが他GM車と混流生産されているためだ。

GMとしては、これまで育て上げた“ハマーブランドを手放す”というより、新たなる投資先を募って“ハマーブランドを継続させたい”考えであろう。

で、その「投資先」はどこなのか? つい先日ジャガーとランドローバーを23億ドルで買収したインドのタタか? それとも、ハマーH2の組み立て工場があるロシアの、高級SUV好き実業家か? いや、クライスラーのケースと同じく、やはり米系投資会社の可能性が高いか?
現在のところ米国自動車業界の間で明確な売り先の噂は立っていない。「ハマー売却計画」、水面下ではすでに動いているのだろうが……。

(文=桃田健史(IPN)/写真=ゼネラルモーターズ)

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H2 SUT
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