【WRC 08】第7戦アクロポリスでローブが今季5勝目! ペターは新型インプレッサで2位入賞

2008.06.02 自動車ニュース

【WRC 08】第7戦アクロポリスでローブが今季5勝目! ペターは新型インプレッサで2位入賞

2008年の世界ラリー選手権(WRC)第7戦「アクロポリスラリー」が5月30日〜6月1日、ギリシャを舞台に開催された。ヘッドクォーターおよびサービスパークはアテネから北へ40kmの距離に位置するタトイの軍用施設に設定され、その周辺の山岳地帯にステージを設定。いずれも固い岩盤に覆われたハードグラベルで序盤から数多くのドライバーが脱落していった。そのなかで終始コンスタントな走りを披露したのが、シトロエンのエース、セバスチャン・ローブ。C4 WRCを武器に今季5勝目を獲得した。さらに今大会よりハッチバック型のニューマシン「インプレッサ WRC 2008」を駆るスバルのエース、ペター・ソルベルグも安定した走りを披露。2位入賞を果たし、待望の今季初表彰台を獲得した。

■進化を果たしたインプレッサ WRC 2008

今大会で最も注目を集めたのは、スバルのニューマシン「インプレッサ WRC 2008」だった。5ドアハッチバックをベースとする同マシンは、ロングホイールベース&ショートオーバーハングという理想的なディメンションで、バーチカルフィン付のリアウイングを含めて徹底的にエアロダイナミックスを追求。07年型モデルのエンジンやストラット方式のサスペンションなど信頼性の高いコンポーネンツをそのままに、軽量コンパクトな新型ギアボックス、改良を施したダンパーを採用するなど、これまでの弱点を克服したマシンだ。

事実、「コーナリングの不自然な挙動がなくなって、安心してドライビングできるようになった」と両ドライバーともに好感触の様子。セカンドドライバーのアトキンソンは足まわりを破損し、8番手まで出遅れるものの、エースのペターは3番手でデイ1をフィニッシュする。さらに数多くのドライバーが脱落するなか、ペターはコンスタントな走りを披露し、デイ2で2番手に浮上した。そして「ここに帰ってくることができて本当に嬉しい。このクルマを与えてくれたスバルとチームに感謝したい」と語るように、ペターが最後までポジションをキープし、2位に入賞。残念ながらチームメイトのアトキンソンはデイ2で電気系のトラブル、デイ3でダンパーを破損してリタイアすることとなったが、ペターが新型マシンを武器に今季初の表彰台を獲得した。

「クリスにトラブルが出ましたし、ダンパーを含めてまだまだ完璧な状態ではありませんが、トップ争いに参加できる手応えを掴めました」と語るのはSWRTのマニュファクチャラー・プリンシパル・エンジニアリング、菅谷重雄氏だ。その言葉どおり、まだまだ熟成不足は否めないものの、それと同時にマシンの進化も期待できるだけに今後もインプレッサ WRC 2008の躍進に期待したい。

■ローブがサバイバル戦を制覇し、ランキング首位に浮上!

「アクロ(悪路)を制する者が世界を制す」と呼ばれるように、アクロポリスラリーは世界屈指のラフグラベル戦で、今季も数多くのドライバーが脱落。SS2でストバート・フォードの「フォーカスRS WRC 07」を駆るジジ・ガリがサスペンションを破損するほか、SS6でミッコ・ヒルボネン、ヤリ-マティ・ラトバラらBPフォードの両雄がSS6でサスペンションを破損するなど波乱含みの展開で幕を開けた。さらにデイ2以降も前述のとおり、スバルのセカンドドライバー、アトキンソンが電気系のトラブルと足まわりの破損に苦しめられたほか、スズキのエースとして「SX4 WRC」を駆るトニ・ガルデマイスターもパワーステアリングのトラブルに見舞われる。そのほか、デイ2でトップに浮上したシトロエンのダニエル・ソルドがSS10でパンクを喫し、大きく後退するなどまさにサバイバルラリーが展開された。

そのなかで安定した走りを披露したのがシトロエンのエース、ローブだった。先頭スタートの掃除役に苦戦を強いられながらもデイ1をトップでフィニッシュ。デイ2では一時、2番手に後退するものの、ソルドの脱落で再びトップに浮上する。そして、デイ3もクレバーな走りでポジションをキープし、今季5勝目でランキング首位に浮上。スバルのエース、ソルベルグが2位入賞を果たし、サスペンションの破損で出遅れたヒルボネンが3位で表彰台を獲得した。

なお、SX4 WRCで挑むスズキ勢はデイ1でパワーステアリング、デイ2でターボトラブルに見舞われならもガルデマイスターが9位でフィニッシュ。デイ2でリヤサスペンションを破損したパー-ガンナー・アンダーソンも11位でフィッシュし、過酷なラリーで2台揃っての完走を果たしている。

■新井がリタイアに。アイグナーが今季2勝目、奴田原は5位入賞!

同時開催のPWRC(プロダクションカー世界ラリー選手権)第3戦には世界各国から28台の強豪が集結。そのなかで幸先の良いスタートを切ったのは、SS2でトップに浮上した06年の王者、ナッサー・アルアティヤー(スバル・インプレッサ)だった。SS3で2番手に後退するものの、SS6でトップを奪還し、デイ1を制覇。2番手に開幕戦・スウェディッシュの覇者、ユホ・ハンニネン(三菱ランサー)が続き、ミルコ・バルダッチ(三菱ランサー)が3番手でデイ1をフィニッシュ。一方、第2戦のアルゼンチンで4位入賞を果たした奴田原文雄(三菱ランサー)は初参戦のアクロポリスに苦戦し、デイ1を6番手でフィニッシュ。05年の王者、新井敏弘(スバル・インプレッサ)も午前中のループでダンパーのトラブルに悩まされ、ラリー初日を9番手で終えることとなった。

こうして明暗の分かれた序盤戦だったが、翌日のデイ2では本格的にサバイバルラリーが展開する。トップに付けていたアルアティヤーと6番手まで追い上げていた新井がSS9でリヤサスペンションを破損してリタイアするほか、SS11ではトップに付けていたハンニネンもパワーステアリングのトラブルでその日の走行を断念した。その結果、第2戦のアルゼンチンを制したアンドレアス・アイグナー(三菱ランサー)がトップでデイ2をフィニッシュ。バルダッチが2番手、マーティン・ラウアム(三菱ランサー)が3番手で続き、ダンパーとオーバーヒート、ミッションケースのボルト脱落など様々なトラブルに苦しめられた奴田原は5番手でデイ2を走り終えた。

結局、デイ3でもアイグナーがトップをキープし、第2戦に続いて今季2勝目を獲得する。エンジントラブルでリタイアしたバルダッチに代わってラウアムが2位でフィニッシュするものの、車検で失格となり、ベルナルド・スーザ(三菱ランサー)が2位、アルミンド・アラウジョが3位に入賞。「道が悪くてペースが上げられなかった」と語る奴田原は4位入賞で初のアクロポリスラリーをフィニッシュしている。

(文と写真=廣本泉)

回頭性に優れるハッチバックボディをベースに、エアロダイナミクスの向上や改良型ダンパーを採用するなど、07スペックより大幅にポテンシャルを高めた「インプレッサ WRC 2008」。ドライバーもニューマシンの走りに満足のようで、アクロポリスではペター・ソルベルグが2位に入賞、久々に表彰台に立った。
回頭性に優れるハッチバックボディをベースに、エアロダイナミクスの向上や改良型ダンパーを採用するなど、07スペックより大幅にポテンシャルを高めた「インプレッサ WRC 2008」。ドライバーもニューマシンの走りに満足のようで、アクロポリスではペター・ソルベルグが2位に入賞、久々に表彰台に立った。
「シトロエン C4」を駆るセバスチャン・ローブは今季5度目の優勝を果たした。
「シトロエン C4」を駆るセバスチャン・ローブは今季5度目の優勝を果たした。
「フォーカスRS WRC 07」を駆るミッコ・ヒルボネン。サスペンション破損で出遅れるも、最終的に3位で表彰台に立った。
「フォーカスRS WRC 07」を駆るミッコ・ヒルボネン。サスペンション破損で出遅れるも、最終的に3位で表彰台に立った。
新井敏弘はサスペンショントラブルにより、リタイアを余儀なくされた。
新井敏弘はサスペンショントラブルにより、リタイアを余儀なくされた。
アクロポリスラリーは初となった奴田原文雄は4位でフィニッシュした。
アクロポリスラリーは初となった奴田原文雄は4位でフィニッシュした。
第2戦に続いて今季2勝目を獲得したアンドレアス・アイグナー。
第2戦に続いて今季2勝目を獲得したアンドレアス・アイグナー。

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