「ディーゼルエンジンはどうして静かになった?」

2008.05.17 クルマ生活Q&A エンジン

「ディーゼルエンジンはどうして静かになった?」

ディーゼルエンジンはうるさいというのが以前の常識でしたが、ルマン24時間レースでアウディが優勝したディーゼルマシンはとても静かだったそうですね。ディーゼル乗用車もずいぶん静かになっていますが、どんな技術進歩があったのでしょうか?

お答えします。原理的には、ディーゼルエンジンがガソリンエンジンに比べて騒音を出しやすいのは間違いありません。

ガソリンエンジンは混合気に電気プラグで点火することで燃焼させます。対してディーゼルは、混合気に圧力を加えることで自然発火させ、急速に火を燃え広がらせるのです。ガソリンエンジンの燃焼に対し、ディーゼルエンジンは爆発と言っていいでしょうね。

つまり、ディーゼルエンジンの内部では、常に衝撃波が生じており、それが騒音となって外に聞こえるのです。ゆっくりした燃焼のガソリンエンジンでは、そういうことはありません。

最近のディーゼルエンジンは、たしかに相当静かになりました。大きく分けると二つの要因があります。

まず、遮音技術の進歩が大きいでしょう。エンジンのまわりにカバーをかぶせたり、バルクヘッドに遮音材を入れたりして、室内にいる限り、ほとんどディーゼルエンジン車だと意識することはなくなりました。

もっと重要なのは、インジェクターの進歩です。最新のコモンレール方式では、ピエゾ素子を使って繊細に燃料の噴射を制御しています。パイロット噴射といって、多段階に燃料噴射を行い、爆発のコントロールがきめ細かくなったのです。

昔は燃料をドンと送り込んで一気に燃やす、という感じだったので、どうしてもガラガラと大きな音がしたわけです。さらに気筒ごとに爆発の状況が異なって、振動も生じていました。

コモンレール方式でなくても、最近の電磁ソレノイドはかなりよくなっていますから、比較的安価なディーゼル乗用車でも、騒音はずいぶん小さくなりました。

それから、忘れてはいけないのは、ディーゼルエンジンにはターボチャージャーがつきものだということです。排気を使ってタービンを回すので、直接排気を放出する場合に比べて勢いが穏やかになっているわけです。今ではほとんど見かけませんが、ノンターボのディーゼルはとてもうるさいものでした。

だから、ルマンのアウディが静かだったのは、不思議な話ではないのです。サーキットで高速走行をしているわけですから常に燃焼が安定していて、吸気音もないのでとても静かなのです。あのマシンも、アイドリング状態ではそこそこうるさいと思いますよ。