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【スペック】全長×全幅×全高=3820×1735×1112mm/ホイールベース=2300mm/車重=745kg/駆動方式=MR/1.8リッター直4DOHC16バルブスーパーチャージャー・インタークーラー付き(255ps/8000rpm、24.7mkg/7000rpm)
(写真=北畠主税<ARGOS>)

ロータス2イレブン・ロードバージョン(MR/6MT)【短評(後編)】

面目躍如(後編) 2008.05.06 試乗記 ロータス2イレブン・ロードバージョン(MR/6MT)


サーキットで“ロータスらしさ”を確認した『CG』塚原久。限りなくレーシングカーに近い特性をもち、かつロードユースもできる稀有な存在であることが分かった。


『CG』2008年2月号から転載。

扱い易いエンジン

左側、つまり助手席側のサイドポンツーンを跨いでコクピットに潜り込むと、ロールケージのサイドバーによって、2イレブンの注目点のひとつである可変トラクションコントロールのスイッチがほとんど視界に入らないことに気づく。レーシンググローブを着けた状態では操作しづらいカットオフスイッチを長押ししてカットオフし、ピットレーンを加速していく。

可変バルブタイミング&リフトを持つ2ZZエンジンがもたらす低速域の柔軟性に不満はまったくない。アイドリング回転のまま左足を浮かせれば楽に発進できるほどクラッチのミートポイントは広いし、3速や4速でも1200rpmを超えていれば常に過給の効果を実感できるほど低速トルクも豊富だ。
バルブリフトが切り替わるのは例によって5000rpm前後らしいが、リッターあたり140psを超すハイチューンにもかかわらずカムの切り替えに伴うトルクカーブの変化はカップ190や240よりさらにマイルドになった様子で、もはやVVTL-iという特殊なシリンダーヘッドを持つことを忘れてしまうほど吹け上がりは自然だ。ただしそのぶん7500rpmから先、レブリミッターが作動する8000rpmまでの吹け上がりに軽いフリクションを感じるのも事実で、これはテスト車のマイレッジ不足によるものかもしれない。


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赤いスタータースイッチの上にはリアフォグランプのスイッチとバリアブルトラクションコントロールのスイッチが並ぶ。エンジンを始動した時は必ずトラコンはONで、その効き具合をダイアルで調整できる他、小さなスイッチを長押しすれば完全なカットオフも可能。(写真=北畠主税<ARGOS>)
赤いスタータースイッチの上にはリアフォグランプのスイッチとバリアブルトラクションコントロールのスイッチが並ぶ。エンジンを始動した時は必ずトラコンはONで、その効き具合をダイアルで調整できる他、小さなスイッチを長押しすれば完全なカットオフも可能。(写真=北畠主税<ARGOS>) 拡大

強力なグリップと必要十分な加速性能

パワーに不足はほとんどない。もちろん600psクラスの純レーシングカーのような、コーナーを目の前にして無意識のうちに右足が戻ってしまうほどの強烈なトップエンドパワーはなく、同じ走行枠で走っていたホンダS2000あたりと比べても、1コーナーを目前にしたトップスピードは数km/h劣るような印象があり(メーター読みで150mphに届かない)、もちろんこちらの方がはるかに軽量だしロードホールディングも高いからブレーキング区間で先を譲ってもらえるものの、200km/hあたりになると空力的な負荷が高いのか、低速の加速力から想像するほど伸びない印象を受けた。

もっとも過給エンジンとは思えないほど素直なスロットルレスポンスといい、ダンロップブリッジ下のように4000rpmあたりまで回転を落とさざるを得ないコーナーからの脱出加速といい、コーナリング中のパワーは必要にして充分なだけ用意されている。逆バンクやヘアピン、あるいはシケインなど2速や3速のトップエンドパワーを用いるコーナーでこそ軽いテールスライドを起こすものの、それは舵角を減らすため積極的に用いたくなるタイプのものだ。

標準で装着するヨコハマA048は、この種のいわゆるSタイアの中でも傑出したドライグリップを持つが、フロントに195/50R16、リアに225/45R17(いずれもロータス・スポーツ専用のLTSと呼ばれる構造を持つ)という組み合わせは車重とパワーにどんぴしゃりの設定で、シケインで激しくパワーオンを試みても過度なスライドを起こすことはほとんどなかった。ただリアに−2.48〜−2.75というネガティブキャンバーと1.2〜1.5mmのトーインというアライメントは、個人的な好みでいうとトーを0に近いところまで拡げたいのも事実で、そうなればデグナーやスプーンの立ち上がりでパワーオンのタイミングが早められるだろうと感じた。

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ブレーキはフロントにAPの対向2ピストン、リアにはブレンボの1ピストンフローティングキャリパーが採用される。
ロータス2イレブン・ロードバージョン(MR/6MT)【短評(後編)】

トランスポーター不要のレーシングカー

そんな特性を説明すれば、今回のコンディションでは、注目のバリアブル・トラクション・コントロールもほとんど出番がなかったことは容易に想像いただけるに違いない。実際に一度ピットインしてオンに切り替え、ダイアルを回しながら走ってみたのだが、MAX状態でもエンジンに制御が加わるのはヘアピン立ち上がりで無駄なパワーをかけたときぐらいのもので、0とMAXの間に多少の差違はあるものの、鈴鹿の路面ではほとんど出番がないといっていい。

ただし、これがウェットの山道ともなればもちろん話は別で、この種のセイフティ・デバイスはあればあっただけリラックスして走れることは間違いないはずだ。そうそう、そういえばエリーゼと同じくルーカス/TRWの4チャンネル式ABSは逆バンクへのターンインで積極的に効かせながら舵角を与えられるほど有効で、たとえば911GT3RSほどペダルタッチはがっちりしていないものの、これならブレーキに対する熱負荷の高いツインリンクもてぎでも顎を出さずに済みそうだ。

世界のスーパースポーツが絶対的なハイパワーとハイテク駆使の方向へこぞって向いている中、最小限の電子制御デバイスを用いながら、何よりも軽量さを武器にした2イレブンはいかにもロータスらしいモデルと言える。個人的にはこのクルマで積極的にワインディングロードを攻め込むほどの気概はないが、サーキットのスポーツ走行に話を限れば、これほどレーシングカーに近い特性を持つロードカーは他に思いつかない。つまりトランスポーター不要のレーシングカーと解釈すれば、2イレブンは比較する対象がないほどの魅力の持ち主なのだ。

(文=塚原久/写真=北畠主税/ARGOS、ロータス・カーズ/『CG』2008年2月号)

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