技術展「オートモーティブ ワールド2012」開催

2012.01.20 自動車ニュース
科学技術振興機構や社会技術開発研究センターなどとの協同により、「シンクトゥゲザー」が開発した電気コミュニティーバス「エミュー」。13インチタイヤによる低床フロア、前6輪が操舵(そうだ)するインホイールモーターによる8輪駆動などが特徴。乗車定員は10名、時速19kmで1充電当たりの走行距離は約40kmという。後端に引き出されているのがカセット式のバッテリーで、ルーフにはソーラーパネルを備える。
これが日本の「ものづくり」 〜「オートモーティブ ワールド2012」開催

これが“日本のものづくり” 〜「オートモーティブ ワールド2012」開催

2012年1月18-20日、東京・有明の東京ビッグサイトで、「第4回国際カーエレクトロニクス技術展」、「第3回EV・HEV駆動システム技術展」、および「第2回クルマの軽量化技術展」の3つの展示会で構成された「オートモーティブ ワールド2012」が開催された。

注目を集めていた「日本電産」の、レアアース不要の「SRモーター」。軽自動車クラス用で、性能は定格出力19kW(25.5ps)、最大出力44kW(59ps)、最大トルク86Nm(8.8kgm)。大きさは直径177mm、長さ234mm、重量26.5kgとコンパクト。
注目を集めていた「日本電産」の、レアアース不要の「SRモーター」。軽自動車クラス用で、性能は定格出力19kW(25.5ps)、最大出力44kW(59ps)、最大トルク86Nm(8.8kgm)。大きさは直径177mm、長さ234mm、重量26.5kgとコンパクト。
「東京R&D」によるコンバート電気小型トラック。クルマ好きにはスポーツカー「VEMAC(ヴィーマック)」で知られる同社は、1984年からEVの開発も手がけている。2トン積みで目標性能は最高速度120km/h、JCO8モードでの航続距離100kmで、今春から茨城県つくば市で実証実験に入る。EV化のコストは100万円台を想定しているという。
「東京R&D」によるコンバート電気小型トラック。クルマ好きにはスポーツカー「VEMAC(ヴィーマック)」で知られる同社は、1984年からEVの開発も手がけている。2トン積みで目標性能は最高速度120km/h、JCO8モードでの航続距離100kmで、今春から茨城県つくば市で実証実験に入る。EV化のコストは100万円台を想定しているという。

■今年の目玉は新型モーター

年々規模が拡大している「オートモーティブ ワールド」は、自動車および自動車部品メーカー、電子部品メーカー、電池メーカー、計測機器メーカーなどが出展する最新の自動車技術のトレードショー。中でも出展の中心となっているのは、EVおよびHEV(ハイブリッド)関連の技術である。

今回の出展でもっとも注目を集めていたのは、レアアース(希土類)を使わないEV用モーター。「レアアースの主要な産出国である中国が輸出規制を強化したことから、EVやHEVの将来に黄信号」というニュースは、まだ記憶に新しいのではないかと思う。
では、レアアースがEVやHEVのどこに使われているかというと、モーターの回転子の永久磁石。レアアースが入手できずモーターが作れないとなればお手上げだが、その解決策となるのが、永久磁石を一切使わない「SR(Switched Reluctance)モーター」なのだという。

「SRモーター」とは、ごく簡単に言えば永久磁石の代わりに電磁石を用いたモーターで、それ自体の歴史は古く、構造が簡単で安価、丈夫、小型で高トルクが出せて高速運転も可能、さらに回転子の発熱の問題がないといったメリットがあるという。
そう聞くといいことずくめのようだが、振動と騒音面での問題があるため、産業機械や農業機械などには使われているが、EVやHEVへの採用には至っていないとのこと。今回、精密小型モーターのトップメーカーである「日本電産」が出展したのは、それらの問題を解決し実用化に向けた試作機とのことだが、今後の展開が大いに注目される。

「東レ」は元ブラバム、マクラーレンのデザイナーであるゴードン・マレーがデザインした超軽量コンセプトEV「TEEWAVE」と並んで、そのCFRPモノコックを展示していた。重量は45kgでスチール製の半分以下、部品点数は3点でスチール製の1/20という。
「東レ」は元ブラバム、マクラーレンのデザイナーであるゴードン・マレーがデザインした超軽量コンセプトEV「TEEWAVE」と並んで、そのCFRPモノコックを展示していた。重量は45kgでスチール製の半分以下、部品点数は3点でスチール製の1/20という。
「日伸精工」のプレス製部品。写真上段の右端が90%のコストダウンを実現したというカーオーディオのスピーカー用ヒートシンク(放熱板)。従来はダイキャスト成型品と切削部品の2点で構成していたものが、一枚板からのプレス成形で可能になった。同社製の部品は、「プリウス」にも使われているという。
「日伸精工」のプレス製部品。写真上段の右端が90%のコストダウンを実現したというカーオーディオのスピーカー用ヒートシンク(放熱板)。従来はダイキャスト成型品と切削部品の2点で構成していたものが、一枚板からのプレス成形で可能になった。同社製の部品は、「プリウス」にも使われているという。
前回、2代目「プリウス」専用のプラグインハイブリッド(PHV)改造キット「プラグス40+」を出展していた「ビートソニック」。今回はEVモードで最大100kmの走行が可能という3代目プリウス専用の「プラグス100+」を発表。本家からもPHVが発売されるが、こちらは本来のバッテリーが劣化してしまった車両や中古車へのコンバートを想定しているという。キット価格は未定だが、「プラグス40+」の145万円より高くなる見込みとのこと。
前回、2代目「プリウス」専用のプラグインハイブリッド(PHV)改造キット「プラグス40+」を出展していた「ビートソニック」。今回はEVモードで最大100kmの走行が可能という3代目プリウス専用の「プラグス100+」を発表。本家からもPHVが発売されるが、こちらは本来のバッテリーが劣化してしまった車両や中古車へのコンバートを想定しているという。キット価格は未定だが、「プラグス40+」の145万円より高くなる見込みとのこと。

■小さなブースも侮れない

昨年のこのイベントのリポートで、「三菱i-MIEV」や「日産リーフ」といった自動車メーカーのEVが発売されるに及んで、完成度や商品力、そして価格ともに、それらにはとても太刀打ちできないであろうベンチャー系メーカーのEVの将来が気になると記した。
果たして今回はどうだったかというと、これまでどおり中小メーカーの作も展示されてはいたが、やはりその数は減ったように感じられた。とはいえベンチャー系らしく、隙間を狙った新たな企画やアイデアを打ち出したものも見られた。

技術展、トレードショーといえども、目立つ展示に人が集まるのは当然のこと。昨秋の東京モーターショーにも出展された、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を多用した超軽量コンセプトEV「TEEWAVE」を飾った「東レ」などのブースは終始にぎわっていたが、そのいっぽうで小規模のブースにも力作が並んでいた。
例えば「90%のコストダウン!」という展示パネルの文字にひかれて筆者がのぞいたプレス部品メーカー「日伸精工」。間口(まぐち)一間どころかテーブルひとつという小さなブースだが、そこに並んだ精巧なプレス部品には、目を見張るものがあった。「よそと同じことをしていたのでは、日本国内で製造業はやっていけない」という、独自の技術に対する自信と誇りに裏付けられたスタッフの言葉に、衰退が懸念されている日本の「ものづくり」の底力と奥深さを垣間見た気がした。

(文と写真=沼田 亨)

「テスラ・ロードスター」などが並んだEV特別展示コーナー。EVといえども、さすがに目新しさはなくなったと見え、以前のような人だかりはなかった。
これが日本の「ものづくり」 〜「オートモーティブ ワールド2012」開催

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