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【スペック】ムーヴX(写真手前):全長×全幅×全高=3395×1475×1635mm/ホイールベース=2455mm/車重=810kg/駆動方式=FF/0.66リッター直3DOHC12バルブ(52ps/6800rpm、6.1kgm/5200rpm)/価格=122万円(テスト車=同じ)

ダイハツ・コペン アクティブトップ/ムーヴX【試乗記(後編)】

タイム・トゥ・セイ・グッバイ(後編) 2012.02.02 試乗記 ダイハツ・コペン アクティブトップ(FF/4AT)/ムーヴX(FF/CVT)
……169万5000円/122万円

広々とした室内と使い勝手の良さがウリの「ムーヴ」と、運転する楽しさを追求した「コペン」を乗り比べ、軽自動車の進化を実感したリポーターがこれからの軽に期待することとは。
軽自動車として初採用となったコペンの電動開閉式ハードトップ。ルーフを収納するには、室内のルーフロックを解除して、センターコンソールにあるスイッチを押すと、約20秒で完了する。
ダイハツ・コペン アクティブトップ/ムーヴX【短評(後編)】

オープンの気持ちよさは格別

(前編からのつづき)
軽自動車の「ダイハツ・コペン」に電動格納式ハードトップが採用されたのは、かなりの驚きだった。当時はやり始めた旬の装備で、「メルセデス・ベンツ500SL」や「トヨタ・ソアラ」などの高級車が競って取り入れていたのだ。

便利なのは間違いないが、コペンの場合ルーフを下ろすとトランクフード前端に15センチほどの隙間が空いてしまう。それを埋めるためにオープニングカバーというパーツがあって、これは手で取り付けなくてはならない。寸法が微妙に合ってなくて装着に苦労した。

オープン時のコペンの荷室は、ハンドバッグが積める程度。写真はクローズ時の様子。(写真をクリックすると、クローズ時の荷室とオープン時の荷室が見られます)
ダイハツ・コペン アクティブトップ/ムーヴX【短評(後編)】

でも、オープンにしてしまえば気持ちよさは格別だ。すべてのネガティブな要素がなくなる。まず、狭さの問題は一気に解決する。屋根がなければ、理論的には空間は無限大だ。クローズドでは気になったタービンの高周波音もまったく聞こえない。エンジンの野太い音だけが響いてきてうれしくなる。剛性感はさらに低下してガクガクブルブルするけれど、それすらも楽しみに変わる。

大いに楽しんだわけだが、手放しで喜ぶのは少数派なんだろうとも同時に思った。10年の間に、自動車は様々な面で進化を遂げている。運動性能、快適性、環境対応など、状況は様変わりしているのだ。


ダイハツ・コペン アクティブトップ/ムーヴX【短評(後編)】
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レスポンスは「ムーヴ」が上?

「ダイハツ・ムーヴ」に乗り換えると、昨今では見慣れた風景が広がる。ただ、コペンに乗った後だと、あまりの広さに身がすくんだ。がらんどうの建物の中に置き去りにされた感じなのだ。ダッシュボードが平面で、広大な敷地が広がっている。その向こうには、大きなパノラマだ。フロントウィンドウの面積は、コペンの2倍じゃきかないんじゃないだろうか。

メーターはスピードだけで、あとはエコ関係の表示。カップホルダーはプッシュで飛び出すし、ドアポケットを含めると人数分以上のカップやボトルを置ける。アッパーボックスやら助手席アンダートレイやら、いたるところに収納スペースが用意されている。

3気筒エンジンにCVTというエコ対応のドライブトレインは、現在主流の組み合わせだ。ターボ付きのコペンと比べると、パワーは12ps低い52psだ。ガタイがでかいのに、重量はコペンの840kgより30kg軽い810kgしかない。それもあってか、エコうんぬんを感じさせない十分な力を感じさせる。レスポンスは、ムーヴのほうがいいくらいだ。アクセルペダルと加速が直結している。
ただし、クルマとの一体感はまるでない。操っているというより、収容されている気分だ。寄る辺ないカラダが、車内でウロウロしてしまう。

それでも、ちょっとした山道でもちゃんと走る。コペンと遜色ないとまでは言わないが、少なくとも不安なくコーナーを抜けられる。そこそこのペースでも、倒れそうな恐怖を味わうことはない。コペンがデビューした頃は、軽自動車に限らずとも、背高グルマで運転を楽しむなんて無理な相談だった。そういう意味では、10年の間にコペンのアドバンテージは確実に減少している。自動車技術全体の底上げには目ざましいものがある。

見晴らしのいい「ムーヴ」のインパネ。標準モデルの「X」は、本革巻きのステアリングホイールが備わる。また、スピードメーターの右にあるマルチインフォメーションディスプレイには、平均燃費や航続可能距離などが表示される。装着されるワイドシンプルナビはディーラーオプション(9万7650円)。
見晴らしのいい「ムーヴ」のインパネ。標準モデルの「X」は、本革巻きのステアリングホイールが備わる。また、スピードメーターの右にあるマルチインフォメーションディスプレイには、平均燃費や航続可能距離などが表示される。装着されるワイドシンプルナビはディーラーオプション(9万7650円)。
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ベンチシートの前席は、サイドウォークスルーで足元も広々。
ベンチシートの前席は、サイドウォークスルーで足元も広々。
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「ムーヴ」に搭載される新エンジンは「ミラ イース」と同じもの。改良されたCVTやアイドリングストップ機構「eco IDLE」、回生機構などにより、10・15モード燃費は27.0km/リッターから30.0km/リッター(FF車)へ向上した。
「ムーヴ」に搭載される新エンジンは「ミラ イース」と同じもの。改良されたCVTやアイドリングストップ機構「eco IDLE」、回生機構などにより、10・15モード燃費は27.0km/リッターから30.0km/リッター(FF車)へ向上した。 拡大

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ともに旅立とう

高速道路と一般道がほぼ半々(ほんの少し山道)で250km弱を走行した。満タン法による燃費は、コペンが14.49km/リッター、ムーヴが18.71km/リッターだった。予想どおりムーヴが上回ったが、コペンも意外に健闘したといえる。カタログ燃費(10・15モードでコペン15.2km/リッター、ムーヴ30.0km/リッター)からの歩留まりでは、コペンは素晴らしい数値だ。

いろいろと古くなったところはあるが、コペンの魅力は色あせていない。飛び抜けたスキルを持たなくても、カジュアルにスポーツ走行を楽しみ、操る喜びを味わえる。こんなクルマを今も新車で手に入れられる幸せに、心から感謝したい。

一方、ムーヴだって実によくできたクルマだ。軽自動車の枠内で信じられないほどの広大な空間を作り出し、走行性能とエコ性能を高いレベルでバランスさせている。その技術的達成は、賞賛されるべきだろう。

昨年の東京モーターショーに、ダイハツはコンセプトモデル「D-X(ディークロス)」を出展した。軽自動車規格の2シーターオープンスポーツで、コペンの後継モデルとも考えられる。搭載が想定されるのは、開発中の直列2気筒直噴ターボエンジンだ。低燃費技術「e:Sテクノロジー」の一環である。これからの時代には、スポーツカーにとっても大切な技術である。

やはり、そろそろコペンにはさよならを言わなければならないようだ。名曲『タイム・トゥ・セイ・グッバイ』で送り出すことにしよう。英語詩で知られるようになったが、もとはイタリア人歌手アンドレア・ボチェッリの『コン・テ・パルティロ』で、「あなたとともに旅立とう」という意味なのだそうだ。今いるこの場所に対してさよならを言い、未知の世界に船出しよう、と歌っている。
コペンの精神にムーヴで培った技術を注げば、きっとクルマの楽しみはさらに広がる。新たな旅立ちを祝福したい。

(文=鈴木真人/写真=荒川正幸)

「ムーヴ」のリアシートは、一体で240mmの前後スライドが可能。また、分割リクライニングやシートバックを前に倒して格納することもできる。
「ムーヴ」のリアシートは、一体で240mmの前後スライドが可能。また、分割リクライニングやシートバックを前に倒して格納することもできる。
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「ムーヴ」の荷室。リアシートバックに備わるレバーで荷室側からでもシートアレンジ操作が可能となる。
「ムーヴ」の荷室。リアシートバックに備わるレバーで荷室側からでもシートアレンジ操作が可能となる。 
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【スペック】コペン アクティブトップ(写真手前):全長×全幅×全高=3395×1475×1245mm/ホイールベース=2230mm/車重=840kg/駆動方式=FF/0.66リッター直4DOHC16バルブターボ(64ps/6000rpm、11.2kgm/3200rpm)/価格=169万5000円(テスト車=同じ)
【スペック】コペン アクティブトップ(写真手前):全長×全幅×全高=3395×1475×1245mm/ホイールベース=2230mm/車重=840kg/駆動方式=FF/0.66リッター直4DOHC16バルブターボ(64ps/6000rpm、11.2kgm/3200rpm)/価格=169万5000円(テスト車=同じ) 拡大

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