アメ車は絶滅するか!? 新「燃費規制法」の影響を探る(後編)

2008.01.29 自動車ニュース

アメ車は絶滅するか!? 新「燃費規制法」の影響を探る(後編)

燃費を向上させる法案が北米で可決された。現地のクルマはこれからどうなるのか? 前編の日本メーカーに続いて、北米各メーカーの対応策をリポートする。

(前編からのつづき)
「CAFE」(企業平均燃費)改正案の影響は、大型車を主にラインナップするアメリカの「ビッグ3」を直撃する。彼らは、各種対応を急ピッチで進めている。そのキーワードは「2モードハイブリッド」だ。

「2モードハイブリッド」は2005年独フランクフルトショーで、GM、BMW、ダイムラー(当時ダイムラークライスラー)が電撃的な提携開発を発表した新技術。2つの電気モーターとプラネタリーギア(遊星歯車)を用いて、Low/High、2種類のモードをもつ。
筆者は既に北米で、「シボレー・タホハイブリッド」の量産車に試乗した。「ハイブリッド=トヨタ」との思い込みが根底から覆された。特徴的なのは、減速時に完全停止しなくても、アイドルストップモードに切り替わること。つまり、市街地低速走行時、EVモードの時間が非常に長い。さらに、増速時には、CVT的な頭打ち感はまったくなく、まるでターボチャージャーのような軽快&伸び感のある加速を味わえる。
「2モードハイブリッド」は、ダイムラーが、S300ブルーテック、ML450ハイブリッド、BMWがX6ハイブリッド、など欧州勢はまだコンセプトモデルの状態。対するGMは、「2モードハイブリッド」量産車の大攻勢に入った。

以下、北米メーカー各社の今後、詳細である。

■GM

丸1年前、2007年のデトロイトショーで、今後数年間にハイブリッド車を一斉投入すると明言した「GM」。確かに2007年夏、シボレータホハイブリッドを量産化し、同年11月のLAショーでは、タホとシャシー共有する「キャデラック・エスカレード」「シボレー・シルバラード」(フルサイズピックアップトラック)について「2モードハイブリッド」の量産化を発表した。

さらに、2008年1月のデトロイトショーでは、初の「2モードハイブリッド」V6にしてこれまた初のFFとなる「サターンビュー2モードハイブリッド」を発表した(発売は年内後半)。サターンビューにはさらに2.4リッター直4のパラレル式ハイブリッドがあるが、今後「2モードハイブリッド」と併売される。
この形式は、他GMブランドのミドルサイズSUVにも当然派生する。また、既存のエンジンと鉛電池を使う簡易型の「マイルドハイブリッド」は、マリブハイブリッドなどC/Dセグメントセダンで販売量を稼ぎ、製造コスト削減を狙う。ほかGMでは、「キャデラックCTSクーペコンセプト」に、2.9リッターディーゼルを搭載。高級車ディーゼル戦略を今後、さらに推進するだろう。

■フォード

フォードは、「2モードハイブリッド」陣営ではない。「エスケープハイブリッド」で、トヨタ系アイシンAWと技術提携している。今後はC/Dセグメントセダンへも積極的なハイブリッド攻勢をかけたいところ。
今年のデトロイトショーには「エクスプローラーアメリカ」を登場させ、V6直噴ターボ、直4直噴ターボの搭載を提示した。これは、次期エクスプローラーが、「エンジンダウンサイジング」する可能性を示唆したもの。このエンジン技術は、マツダからの技術供与によると思われる。

■クライスラー

昨2007年、米系投資ファンドに買収され、心機一転、出直したクライスラー。とはいえ、ハイブリッド戦略は旧ダイムラークライスラー路線を継承。つまり、「2モードハイブリッド」陣営に属している。また、元々クライスラーは、ジープブランドを含めて、ディーゼル車に積極的なメーカーだった。2008年秋以降、バイオディーゼルの販売促進活動も活発化している。
ただ、クライスラー新経営陣は、同労働組合との会合で、クライスラー現行車両への根本的な品質改善の必要性を語っている。モデルラインナップの大幅見直しを含めて、今後の次世代エンジン計画/低燃費車対応は流動的になるだろう。
また、米国各メディアは、クライスラーと日産の提携について報じている。すでに、南米市場へティーダをベースとした車両のOEM(相手先ブランド製造)供給が決定している。


以上、簡単だが、北米市場での主要メーカーの排ガス対応策を見てきた。

筆者が各メーカーの技術担当者に聞いた限りでは、今回のCAFE新規格(2020年までに現行の40%燃費低減)は、「当然対応はするが、開発は、ハタで見ているよりもはるかに大変になる」という声が多い。
CAFE規制値達成のためには、低燃費車開発と同時に、「大食いのハイパフォーマンスカー廃止」が検討されるのは当然。コルベット、バイパー、シェルビーマスタングなど、アメリカンマッスルカーたちの将来は暗いといわざるをえない。

(文と写真=桃田健史(IPN))

ずらりと並んだ「フォード・マスタング」。決して燃費のいいクルマではない。
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写真手前は、ダッジのスポーティモデル「チャージャー」。ハイパフォーマンス(=大食い)なSRTバージョンもある。
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