WRC王者ローブが、F1マシンを全開ドライブ!

2007.12.09 自動車ニュース
笑顔で写真におさまるのは、F1ドライバーのヘイキ・コバライネン(写真左)と、WRC王者セバスチャン・ローブ。
WRC王者ローブが、F1マシンをドライブ!

WRC王者ローブが、F1マシンを全開ドライブ!

WRC今季最終のイギリス戦で歴代トップとなる4連覇を手にしたばかりのセバスチャン・ローブが、2007年12月5日、南仏ポールリカール・サーキットで念願のF1マシンを初ドライブ。
いっぽう、2007年ルノーF1チームドライバーのヘイキ・コバライネンが、WRカーをドライブした。

ダブルシェブロンのレーシングスーツに身を包んだローブが、「ルノー」のF1マシンに乗り込む。
WRC王者ローブが、F1マシンをドライブ!

■ 業界各社の協力で

「シトロエン」のワークスドライバー、セバスチャン・ローブがドライブしたのは、同じフランスメーカーとしてライバルにあたる「ルノー」のF1マシン。両チームをスポンサードしている石油会社トタル/エルフの協力によって異例のイベントが実現した。
この特別イベントに立ち会えたのは、フランスを含む極僅かなヨーロッパのメディアと関係者のみ。現場取材した記者からの報告やローブの公式HPによると……

ルノーが用意したのはデモンストレーション用のマシン「R26」。セキュリティ面を考慮してモナコGP用のセッティングが採用された。バケットシートは、ローブと体型が最も近い、ネルソン・ピケJrのものが組み込まれた。3.8kmのコースを7周したローブは一度ピットイン。コバライネンのアドバイスを受けてさらに11周した。

F1マシンのコクピットで出番を待つローブ。さすがのWRC王者も緊張気味(?)
F1マシンのコクピットで出番を待つローブ。さすがのWRC王者も緊張気味(?)
南仏のポールリカール・サーキットをF1で攻めるセバスチャン・ローブ。
南仏のポールリカール・サーキットをF1で攻めるセバスチャン・ローブ。

■WRC王者もタジタジ!?

マシンを降りたローブは、「F1は肉体的にキツイね。加速にコーナリング、ブレーキング……全てのGが凄い」「まさに新しい経験でセンセーショナル!」「だけど、パワーやグリップ感などはプロトタイプ(ルマン24時間レースのレーシングカー)に近いから、すぐマシンに馴染めたし、ドライビングを楽しめたよ」と、第一印象を語った。

2005年、2006年と5リッター、V10エンジンを搭載したプロトタイプ「ペスカロロ・ジャッド」でルマン24時間レースに出場したローブ。限られた時間内でプロトタイプのドライビングを習得し、2006年には競合アウディを相手に、見事総合2位に輝いた。ドライビング・テクニックだけでなく、ルマン公式合同テストがポールリカールサーキットで行われた経験も、今回、F1を初ドライブするのに多いに役立ったという。

そのプロトでは250km/hで駆け抜ける(同サーキットでは最も長く、高速でキツいといわれる)シーニュのカーブを、F1マシンでは305km/hで通過。「コバライネンから『そこはアクセル全開で行くんだ!』とアドバイスを受けたけど、最初は信じられなかった」「ドライブするよりも首を支えることに神経を集中させたぐらいだ」と、さすがのWRC王者もF1のパワーに驚いたようだ。
ちなみに、チームメイトのダニ・ソルドもF1をドライブしたが、ローブとは対照的に、同じコーナーをフルアタックする勇気は出なかったらしい。

F1初体験となったローブの最速タイムは1分05秒547。一方、コバライネンは同じマシンで1分04秒552。その差0,995と現役F1ドライバーと遜色ないタイムをマーク。その才能を改めて証明してみせた。

前日にも11周走行しているローブは「この2日間は夢のようだった。いつかF1をドライブすると決めていて、こうして実現できた。だけど、また直ぐ始めたいぐらいさ」と、早くも欲が出てきたようだ。

ローブから説明を受けるコバライネン。
ローブから説明を受けるコバライネン。
コバライネンは、今回のチョイ乗りでローブを圧倒。周囲を驚かせた。
コバライネンは、今回のチョイ乗りでローブを圧倒。周囲を驚かせた。

■敵も然るもの

ローブがF1をドライブするのに先立って、コバライネンがグラベルでシトロンC4WRCを思う存分操った。フィンランド人の彼は幼少時代から大のラリーファンで、同郷のグロンホルムとも仲良しだと言う。

「C4は信頼性が高いし、バランスも良い。もしスピードを出し過ぎても、ちょっとハンドルを切るだけで十分だ。僕もまたこんなふうにラリーでテストをしてみたい」とニヤリ。約3kmを走行したタイムはローブより0.4秒早かったようで、彼もまた非凡な才能を披露した。

助手席に同乗していたローブは、「彼は子供みたいにC4を楽しんだよ。彼は過去にラリーのペースカーをつとめたことがあるし、WRカーもドライブしている。ちょっと滑らせ過ぎだったけど、彼は純粋に速くて、無駄がない」。
「まぁ、ドリフトも左足ブレーキも、フィンランドで生まれたものだからね(笑)」と付け加えながらも、コバライネンのドライビングには脱帽したようだ。

■おめでた続き

WRC4連覇に輝いた3日後、念願のF1体験が実現できて終始上機嫌だったローブだが、それ以外の理由もある。

実は、アイルランド戦終了直後の11月19日、待望の第1子ヴァランティーヌちゃんが誕生した。
出産に立ち会ったローブは、その後お風呂に入れたり、ミルクをあげたり、オシメを変えたりと、良きパパぶりを発揮。「彼女はカワイイよ。まぁ、僕は父親なんだけど周囲の人々もそういってくれるから、きっと本当なんだと思うよ!」
史上最強のラリードライバーも、すっかりデレデレだった。

(文と写真=野口友莉/YUYU)

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