第87回:昔はよかった?

2007.09.01 エッセイ

第87回:昔はよかった?

冷戦終結を象徴する存在の1つ「ベルリンの壁」が崩壊して、オフローダーたるジープは、ちょっと残念に思った? ドイツならではの状況を逆手にとった、シャレの利いた広告。

見せ場がなくなった……

舗装が荒れ、真ん中が陥没して水たまりになっている道路。よく見れば、奥の方にもいくつかの穴があいている。いったいなんの広告か? と思うが、右下にジープのロゴがある。小さく添えられたコピーは、ノスタルジックにこう語る。

「Die DDR hatte auch ihre guten Seiten.」
(東ドイツにも、イイところがあった)

1989年にベルリンの壁が崩壊してから、14年あまりが経った。かつては、写真のように穴ぼこだらけだった、旧東ドイツの道路も、現在は西側と同じように整備されたという。
そのおかげで、本格オフローダーのジープが得意とする、悪路走破性の見せ場が、なくなってしまったというワケだ。東西冷戦の舞台だったドイツならではの、ヒネリが利いた広告である。
ちなみに、旧東ドイツ地域の現在の道路舗装率について調べたところ、「過去10年間の努力により、現在はパーフェクト」とのことだ。

Daimler Chrysler Jeep/Germany
アートディレクター:Christoph Stricker
コピーライター:Berend Brudgam
フォトグラファー:Marcus Hohn
エージェンシー:KNSK Werbeagentur、Hamburg
クライアント:Daimler Chrysler Marketing Co. Germany

(文=金子秀之/2003年3月27日)

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金子 秀之

金子 秀之

早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。