第80回:不幸にならないクルマ選び(後編)

2007.09.01 エッセイ

第80回:不幸にならないクルマ選び(後編)

前回に続いて、フランスでつくられたフォルクスワーゲンの広告を紹介。日本人の感覚で見ると、かなり強烈です。

ストレート&ブラック

3つ目は、かなりショッキングな構図だ。大木からブラ下がる人間の足、その下に倒れた踏み台が転がっている。つまり、クルマが売れないことを悲観するあまり、我が身をはかなんだのである。

1行だけ添えられたコピーには、こうある。

“One of these days, you'll be sorry you didn't buy a Volkswagen.”
「いつか、あなたがVWを買わなかったことを、後悔する日がやってくるだろう」

リセールバリューの高いVWを買っておけば、こうした不幸に遭わなくてすむ、と訴求する広告だが、ここまでブラックに表現してみせるとは。われわれ日本人の感覚や常識では考えられない。こんなに直接的に、あるいは残酷に言ってのけるなんて……。これもあちらの国では、誇張されたユーモアなのだろうか。

ところで、これらの広告に使われたクルマは、いったいどこのメーカーのクルマか? どこかで見たようでもあるし、実際に存在しないモデルのようでもある。いくらなんでも、他社のクルマのオーナーに、首をくくらせるわけにもいかないだろうから。

Volkswagen/Paris
アートディレクター:Hugues Pinguet
コピーライター:Olivier Apers
フォトグラファー:Gimblin & James
エージェンシー:Louis XIV DDB, Paris

(文=金子秀之/2004年1月31日)

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金子 秀之

金子 秀之

早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。