第43回:『ジャガーの“比較広告”』(その3)

2007.09.01 エッセイ

第43回:『ジャガーの“比較広告”』(その3)

アメリカで始まった比較広告。クルマの比較広告の元祖は、クライスラーの低価格乗用車「プリマス」の広告だという。

比較広告の元祖

比較広告はアメリカが元祖、最古は1932年の「プリマス」の広告である。当時、プリマスはクライスラーの低価格乗用車で、売れ行きも不振。フォードやシボレーから無視されていた。プリマスの広告を担当したコピーライターは「3台を比べたし」と書いてクライスラーの社長に見せたところ、「この広告でいこう」ということになった。

広告は、明るくライティングされたプリマスにクライスラーの社長が寄りかかり、その上に「3台を比べたし」と太字で書かれていた。折しも、フォードとシボレーが新車を発表したため、きわめて挑戦的な広告と受け取られた。もちろん、この時代には“暗黙の了解”があり、名指しの比較広告を行うことができずに名前を伏せた。しかし、前後の関係から、誰の目にもフォードとシボレーであることは明らかだった。それから2ヶ月後、プリマスの売り上げは、前年同期に比べて218%も延びたといわれる。比較広告は、アメリカとカナダ以外の国では、ほとんど行われていない。前回紹介したブラジルの広告は、その点でも貴重な存在だといえる。

(2003年4月26日)

この記事の大きな画像を見るためには、画像ギャラリーをご覧ください。

金子 秀之

金子 秀之

早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。