第27回:『え、闘牛?(前編)』

2007.09.01 エッセイ

第27回:『え、闘牛?(前編)』

スウェーデンの自動車メーカーといえば、日本ではボルボに馴染みがあり、安全性の高いクルマづくりをし続けていることで有名だ。一方、同国の自動車メーカーで航空機メーカーでもあるサーブも、安全性の高いクルマづくりをモットーにする。ヒコーキとクルマをつくるサーブの、ちょっと変わった安全訴求広告。

牛と牛が角を突き合う情景か……、否、クルマとクルマの正面衝突である。クルマの広告ならば、普通は使わない場面だ。

スウェーデンの自動車メーカー「SAAB」は、安全性の高いクルマづくりがモットー。万が一事故に遭遇しても、ドライバーを保護するクルマづくりに精を出してきた。この広告は、欧州衝突安全テスト「ユーロNCAP」において、サーブ「9-5」が高い評価をうけたことで、これまでにない視点からサーブの堅牢性を訴求するためにつくられた広告である。関係者は、「サーブは、100%回避することができない事故から乗員を保護するため、安全性をモットーにクルマを作り続けているのだ」と語る。

サーブ(SAAB)の名は、スウェーデンの航空機メーカー「Svenska Aeroplan AB」の頭文字に由来する。第2次世界大戦中は軍需によって潤ったが、やがて訪れるであろう平時に備えて自動車製造への進出を決意、戦後の1946年にプロトタイプを完成させ、50年から細部92」として量産化された。
サーブは現在も、戦闘機や小・中型旅客機を製造する航空機メーカー。「落ちたら終わり」の飛行機をつくるメーカーだからこそ、安全性について特別の思い入れがあるのだろうか。

SAAB 9-5 “Crashtest”/Switzerland
クリエイティブディレクター:Frank Bodin
アートディレクター:Eva Keigel-Markous/Michael Schonhaus
コピーライター:Carine Blumlein
エージェンシー:McCann Erickson/Geneva
(2000年ニューヨーク・アート・ディレクターズ・クラブ入選作品)

(2002年12月28日)

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金子 秀之

金子 秀之

早稲田大学商学部卒業。資生堂のアートディレクターとして前田美波里のサマーキャンペーンを担当。1973年博報堂のクリエイティブ・ディレクターとして、サントリーの「ブランディ水で割ったらアメリカン」キャンペーンを手がける。1993年(有)クエスターを設立。広告製作及び海外広告の紹介をして現在にいたる。